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9)エピローグ

20年前に書いた初作品、続きを投稿します。


人類が初めて独力で宇宙へ旅立ってから一万数千年後。

 人類が初めて独力で宇宙へ旅立ってから一万数千年、長期にわたる神不在の時代を迎える。神は忘れられ、概念が作り替えられ、超越存在化し、各地で異なる唯一神が信じられる時代もあった。

 しかし地殻大変動により現れた神々の遺跡をきっかけに、人類は神々の記憶を取り戻す。

 その遺跡から、人類出生の謎が解け、なぜ人類が常に神々を求めてしまうのかを理解した。

 それから、人類の親でもある神々を捜し求める時代が始まった。銀河系進出の時代である。


 人類は不安を解消する親を必要としていたわけではなかった。苦しい時代を生き抜き、立派に成長した人類を、一目見て欲しかったからであった。

 人類は長い年月をかけ、星系移住と拡張を繰り返した。時には現地の知性体を教育し、遺伝的改造も行った。いつしか人類は、神々と同じ立場になっていた。生存圏はやがて銀河全域に達したが、不思議な事に神々や本国、支配星系の痕跡は見つからなかった。


 そんななか、惑星がいくつも破砕されたような大量の破片群を持つある星系で、軌道基地遺跡が見付かった。

 調査隊により発掘された”蒼き星”遺跡と同じ記録装置は、 2万年を超える時を経て再生された。それは”古き船”で帰星した白派の1神が残した物で、そこには驚愕の事実が残されていた。


 ”白き神”が召還された時代、神々の国家は末期症状を迎えていた。様々な不満を低階層、支配星系の奴隷に向ける事で解消し、厳格な階層制度を利用して富を集める者は、その高貴なる責務を果たす事を忘れ享楽に耽った。

 反乱は、支配される者だけではなく、心有る神々からも起こった。しかし中央政府の武力による弾圧により、緊迫しつつ小康状態に陥っていた。そこに、白き神の帰還が重なる。

 ”古き船”の本国星系到着前に宇宙船舶事故を装った暗殺が実行されたが、早くに目覚めていた”白き神”は難を逃れる事ができたのだった。

 到着後、”大なる神”から最下位神への降格と蟄居を命じられた”白き神”は、赤色巨星化した主星を持つ寂れた星系に退いた。そこは宙域に難所の多い不便な場所だったが、助言を求める神が殺到し、いつしか現政権打倒を目指す神々の精神的支柱となっていった。

 圧政をしかれていた各星系では、白き神の人望と知略から急激に勢力図が変わっていった。奴隷知性体の昇格も行われ、本国の中央政府が追い詰められたその時。その愚挙は行われた。

 各支配星系の通人惑星にしかけられていた、惑星破壊装置が起動されたのである。

 記録には、基地の母星含む2つの居住可能惑星が次々と破砕されていく様子が残されていた。悲痛な叫びが飛び交う無線が徐々に静かになり、やがて沈黙した。

 星系外縁の資源開発の為に設置されていた軌道基地はからくも難を逃れ、遺跡となったのだった。

 後に基地に到着した通信船によれば、この暴挙で銀河の居住可能惑星は急速に数を減らし、数十億の知性体とそれ以上の野生動物が失われていた。

 ”古き船”で救援船団を率いた”白き神”は、各地の惨状を知り、血の涙を流しながら静かに決断した。本国星系の抹消である。

 ここを残していては、各星系に生き残った僅かな民も、根絶やしにされてしまう。愛する”蒼き星”の子供達も滅してしまう。

 ”白き神”はアムの技術を応用して開発するも封印していた、星系破壊装置を”古き船”に搭載し、本国星系へ突撃する。防御の厚いこの地で上位の神々を選択的に

攻撃する事は事実上不可能で、罪の無い神々や野生生物を丸ごと滅するという”大なる神”と同じ罪を犯さなければならなかった。それでも躊躇は無かった。

 ”白き神”と”古き船”は、星系中央で装置を起動し、星系と共に消滅したのだった。


 銀河進出後に神々と出会うことが無かったのは、これが理由だった。本国消滅からまもなく、遺跡の記録も途絶える。この記録を残した住人も、その後の星系大変動を生き残る事がかなわなかったらしい。調査隊が発見した

この記録は、銀河に広がった人類と知性化種族に大きな衝撃と悲しみを与えたのだった。


 人類統治機構は、遺跡の記録から割り出した白き神の没した座標、”本国”跡地へ調査船団を送り出し、その指揮は人類の最上位に位置する”王”、アムン自らが取る事になった。

 ”本国”跡地に着いた船団の、司令室空間に浮かぶアムンが感慨深げに呟く。

「とうとう来ましたよ、貴方が愛した神のもとに。」

 胸元にある”新しき王”の遺影に話し掛ける。

「神の子孫であり新しき王の子孫でもある我々人類も、とうとうここまで来ることができました。愛しい貴方達に会いに。」

 司令空間にいる部下達も、黙して同じ空間を見つめていた。アムンは続ける。

「貴方がたに会うことは叶いませんでしたが、我々は貴方方を忘れません。立派な神々となれるよう、我々は歴史から学びます。決して同じ過ちをしないよう。」

 いまだ人類にも造ることができない、光さえ飲み込む漆黒の穴の縁で、神と人類の子孫達は虚空を見つめつづけた。いつまでも、いつまでも・・・。


  終幕。

誤字ご指摘/感想は読ませていただきます。お返事はしませんが、ご容赦を。


この”神々の名残”は、プロット作成開始が05年8月18日、通勤電車に東芝リブレットやウイルコムW-ZERO3を持ち込んで少しづつ加筆したもので、最終話のファイル名は07年6月20日。約20年前の作品です。

初作品で未熟な部分も多いのですが、当時の情熱をそのまま残したいと思い、改行以外は修正無しでアップする事にしました。色々と大目に見て下さると助かります。(評判が良かったら、20年ぶりに新作を書くかも?)

ここまでお読みいただき、ありがとうございました!心より感謝します。

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