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瞬殺、そしてサポート

ゴールデンウィークまで、2日以上空けないように

投稿予定です。

64話


「今日はやけに冒険者を見かけないな~」


 武器屋の店員が、ポツリと呟いた。普段なら、

C級以上の冒険者達が、より強い武器を求めて、

この店に次から次へと足を運んでくるのだ。


「ま、たまにはこんな日があっても良いよな。

ここ、時給制だから、人がこないだけ楽って

ことだしgi…んぎぃやぁあああっっっ!!?」

『ガシャン!』

『ガスッ!!』


 店員が和んでいた時に、突如として巨大な揺れ

が襲いかかってきた。大地震というにも、初動が

大きく、飾られていた武器の大半が落下し、彼も

舌を噛んでしまった。


「おい! 大丈夫か!?」


 未だ余波で揺れているのだが、店長がいの一番に

彼の安否を確認しに来た。


「な、何とか…………でも、舌が痛i…」

「ぬぅあんじゃ、こりゃあああああああッッッ!!!

今すぐに掃除と片付けを済ませるぞッッ!!」

「は、はぃぃ~~(行動早すぎぃぃ…………)」


 だが、店の(さん)(じょう)を目の当たりにした瞬間、彼の

安否をかなぐり捨てて、掃除と片付けに取りかかった。


~20秒前・付近の林~


「ゼブル様、街には冒険者1人として見当たりません」


 木に匹敵する程、長い四足と首を持ち、その緑頭

には、4つの巨眼を持つモンスターが、自身の根城

にいる幹部に報告を行った。


 頭が緑で首から下が茶色である辺り、正に木に

()(たい)する斥候といったところだ。


『おや…………底辺のぺーぺー1匹存在せぬか?』


 幹部は、斥候(せっこう)に威圧するように問いただした。


「絶対に…………居ないと…………だ、断……言…………

出来ます……………………!!」


 斥候は、怯えながらも言いきった。


(フム、流石に斥候8名風情が、反乱を画策(かくさく)している

可能性は低いか)


 最終確認を経て、ゼブルは彼等の報告に沿った

判断を下すことにする。


『作戦は決行じゃ。行けぇい!! (よこしま)なる非道の

軍勢よ!』


 (せつ)()、5000体は上回るモンスター達が、

工業都市の前方に出現した。


『さぁ、思う存分、殺戮(さつりく)を繰り返すのじゃあ!!

ファッファッファッファッファーーーーー!!!』


 ゼブルは、真に無力な民達の(じゅう)(りん)を思い浮かべ、

()劣極(れつきわ)まりない高笑いを発していた。


『『『『『『『『パァン!!』』』』』』』』


 その時、8つの破裂音が同時に響き渡り、即座に

異常事態を確認しようとしたのだが…………、


『…………何…………じゃと……………………??』


 彼の五感は、8匹の斥候いずれにも仲介させる

ことが出来ず、否が応でも8匹が同時に殺された

ことを悟らされた。


『(後頭部から…………鋭利な槍による高速の突き??)

貴様、状況を確認して報告せぃ!!』

「はぃい!?」


 区画ごとの斥候が、死傷する事態は想定していた

為、即座に予備軍の1匹を転送した。


 見たり聞いたりと、五感で知覚することは出来ず

とも、区画の地形はこれまでの情報から把握して

おり、座標指定でモンスターを転送することは可能

なのだ。


(…………絶対ヤベェ状況だろ、コレ)


 斥候モンスターは、転送の直前、自身が死地に

送られている事を(さと)っていた。近距離の1、2匹が、

同時に死亡した程度なら、他の斥候の確認がある

ので、比較的安全が保証されている。


 だが、今回は離れている8匹の同時死亡という、

明らかに常識を逸脱(いつだつ)しすぎている事態に見回れて

いる。


(けど、直送された大部隊が死んじm…ぁっ暗

ああっっ!!?)


 だからといって、大部隊や工業都市ごと焼き払う

ような攻撃を、しているとは思えないと考えた斥候

の読みは、甘かった。辺り1面が、闇に包まれて

居たのだ。


「臭…………」


 そして、これが彼の遺言となった。


『…………雑魚が余裕で死ぬ炎熱。同温の炎魔法なら、

もう少し(ぬる)く感じたじゃろうな』


 斥候の物理防御力と魔法防御力を参考に、彼を

焼殺した攻撃が、物理の炎だと推測した。


(加えて、嗅いだことの無いような異臭に、魔王軍(ワシ)

幹部()を彷彿とさせる"闇"。炎は"あの男"にしては

低温すぎるが…………フム、工業都市に、"要確認人物"

が潜伏しておるな)


 そして、その人物が人類最強兵器(フレイ)ではなく、

以前自分達()を嗅ぎ()回ってき()た視線()であることを

悟った。


『(工業都市の攻略は無駄骨。都市ごと滅したかの

確認も、後回しじゃな)F地点襲撃裏部隊、裏手に

周った赤鬼と共に、寂れた集落を(さら)()にせぃ!!

そして、例のブツを奪い去れぃ!!!』


『「『『「グオオオオオオーーーーーー!!」』』」』


 ゼブルはモンスター達の士気を一頻(ひとしき)り上げると、

彼等をリジョンの裏手へと転送した。


(さて(いや)しき視線よ、お主の能力は、圧倒的な攻撃と

"足を止めての遠方視"に留まるのかの?)


 そして、工業都市の斥候を一掃した人物の力を

見定め始めた。


~1分前・工業都市・ワイルド視点~


(来たな。誰も居ないから、敢えて大群で蹂躙しよう

としているのか、俺の力に対抗するために、この数を

寄越したのか、どっちだろうな)


 5000匹のモンスターの転送を確認した俺は、

手始めに斥候8匹の後頭部に、座標指定を行った。


(多数(アロット)極小(ミニマム)召喚(ゲート)海底(マリアナ)旋回弾(ライフル)!! 解除(クローズ)!)


 一瞬にも満たない刹那で門を開き、そして閉じる。

そんな刹那であっても、1億800万パスカルの力

は、細い海水を超音速まで加速して、斥候の頭を

ミンチにしてしまう。


(顔が完全に破裂した所で、(ビッグ)召喚(ゲート)海底(マリアナ)

攻城砲(キャノン)!!! 解除(クローズ)!!)


 それが、半径20mまで拡大したら、どうなるか。

隕石衝突さながらの、巨大なクレーターを作る程の

威力になるのさ。


 地震だって起こしてしまう水の塊を、1秒も出す

わけにはいかない。半秒で閉じて、モンスターの

残数の確認作業を行う。


(流石、大自然の力。円の範囲に居たモンスターは

全滅、範囲外のモンスターも、ミンチか良くて

全身(ぜんしん)()(さん)だ…………)


 草原が地獄絵図に変わった様に、気を取られそうに

なるが、もう一踏ん張り集中をしなければいけない


(ここだ)


 地獄絵図に、新たな斥候の姿を確認して、0.01

秒経つかどうかの瞬間で、俺は奴の周囲8点に(スモール)召喚(ゲート)

を発動し、重油で囲った。更に、1m離れた地点8点

にも小召喚を発動し、砂漠の乾いた風を吹かせた。


(囲って1秒半後、着火!)


 そして、奴が闇を感じた次の瞬間に、跡形もなく

焼殺したのだ。(むご)い攻撃だが、それだけ()(ちら)の手の内

を見せることが、後々の戦闘で響くということだ。


「それに、この世界の人類を、ここまで虐げた魔王軍

に属するということは、同等の報復を受けても文句を

言えないということだ」


 忌々しいアースヒーローズ時代に学んだ、この世界

の歴史。その話の中で、人々がモンスターに、言葉に

することすら()(まど)うような、惨い殺され方をしたこと

も学んだ。幾つかの廃村では、その跡が今でも残って

いる。


「っと、この隙に次の斥候を送られたら、俺の過失だ。

確認しつつ、別地域m…」

『こちら、グロリアス王国! 右方がモンスターに

押されているので、人員()(てん)を頼む!』

『こちら、ウァームタウン! 前衛に多くの負傷者が

出たので、手の空いている回復役を補填してくれ!』

「了解!」


 二つ返事と共に、俺は既に確認した各地域の戦況と

医務室の状況を元に、転移させる人員を決めた。


~大和王国~


「「「うお!?」」」


 侍達が強すぎて、()(ぼう)けを食らっていた10名

程を、召喚(ゲート)で転移し始めた。


『グロリアス王国の前線援護をお願いします!』


「わ、分かった!」

「凄い、本当に転移した…………」

「行くぞ!!」


~同じく大和王国・医務室~


「うわっ!?」

「きゃっ!?」


 回復係役半数…………7名程を転移し始めた。


『ウァームタウンの負傷者回復をお願いします!』


「分かりました!」

(よし! 誰も死なせないよ!)


 俺は、彼等の中にいた、顔に包帯(ほうたい)を巻いた女性が

印象に残った。


(さて、他の場所は…………チックの地域が少し

押されだしたか。指示がなくても状況に応じて

転移させよう。城下街はフレイさんの無双が

始まりそうだし、リジョンは…………奇襲がヤバい

と見せかけて、バルディ達が向かってるから、

一旦様子見か)


~リジョン・バルディ視点~


『ウッシャアアアッ!! 1足先に、数を減らす

ぜぇ!!』


 9割以上のモンスターを倒した俺達は、司令塔

の指示があった右側に向かっているぜ。


「ギャアアアアア!!」


 ジョセフの補助魔法で軽く音速に達している俺は、

ティグを背負って走っている。上で何か叫んでいる

気もするが、もうちょいデケェ声で頼むわ。


「あのバカ、速すぎよ!! スタミナ考えてるの!?」

「僕、これ以上の速度はキツいよ!(というか、

ジョセフ君を引っ張って、この速度で安定している

君が凄すぎだよ!!)」

「あばばばばば…………」


 後ろからは、ちゃんとあの2人とジョセフが

付いてきているから、俺らが程よく減らしておけば

安定するな。


「仕方ないわね、リョウにジョセフ、お先に援護

お願い!!」

「「え、うわああああっっ!!」」


 ほぅ、手数の多いリョウと補助を出来るジョセフ

を、ハンマーで先に向かわせたか。真面目なだけ

あって、頭の良い判断じゃねーか!


「さぁて、やるかぁ!!」

「ゲボッ!! ゲボッ!! オロロロロロ…………」


~アント・ネット城下街~


「ここは1つ、お前らに絶望を与えてやろう」


 フレイ・パイロンが、眼前を覆い尽くすモンスター

の軍勢に、臨戦態勢を取った。

最後まで読んでくださりありがとうございます。

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