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最強の業火と躍動するトレーニー達

4/29 お待たせしています。23時過ぎに次話を

    投稿します。

65話


業火瀚(ごうかかん)(げき)


 フレイは、普段の双剣ではなく、2つの剣が柄

で合体した、上下に刃が存在する両剣を背に構え、

腰を低くした姿勢を取った。


『『「『『グオオオオオオーーーーーー!!』』」』』


 1km先には、1万匹程居そうなモンスターの

集団が、街へ迫らんとしている。対するフレイは、

瞬時に両剣を毎秒1000回転レベルまで加速し、


()(ばく)


 一薙ぎで、高速度かつ、徐々に広がっていく

飛ぶ斬撃を放った。


嵐塵(らんじん)

『パチン!!』


 その斬撃が、最前線のモンスター達の足元に

潜り込んだ瞬間、指を鳴らした。


『『『『『パァァァアアン!!!!』』』』』


 刹那、斬撃が瞬間的に超過熱され、周囲の地面

が急膨張。あまりにも膨張速度が速く、それは

大爆発と化して、ありとあらゆる存在を粉砕した。


『ギャオッ!?』

「ナ、ナンダ…………コレ…………??」


 今の爆撃で2000匹以上は死んだが、この事実

は後続達にも、大きな動揺を与えている。


炎爆槍(えんばくそう)。俺を前に、余所見とは随分自信が

あるらしいな」


 フレイは両剣を片手剣に分解しつつ、業火で

瞬間加速する、飛ぶ突きを4連続で繰り出した。

直線上のモンスターを倒す目的もあったが、

目に見えるモンスターの居ない方向にも

撃ったこの攻撃は、


~魔王城~


「ぬあっ!! 4匹同時に死んだじゃと!?」


 ゼブルに情報を送る、斥候(せっこう)4匹を瞬殺する為

であった。


~アント・ネット街国・裏側の草原~


(ごう)()(しゅう)(げき)


 2振りの片手剣を、再び両剣に戻し、今度は

円上の飛ぶ斬撃7発を、フリスビーの要領で

飛ばし、群れを包囲するように囲った。


(しょう)()(けい)

『パチン!!』


 すると、今度は勢いよく業火が吹き荒れ、

モンスター達を一網打尽にした。しばらく

残るフリスビー斬撃は、扇風機として業火に

酸素を供給する役割があり、確実に群れを

燃やしていく。


『コノテイドデ、オレタチハシナン!!』

『オマエ、ココガハカバ!』


 だが、A級以上の炎熱耐性が高いモンスター

達は、辛うじて生き延びているようだ。


 フレイはこうなることも想定しており、技名

を口ずさみながら、回転する両剣から無数の

飛ぶ斬撃を放ち始めた。


「安心しろ、お前らの墓場は直ぐに出来る。

(ごう)()(しゅん)(げき)連爆処刑(れんばくしょけい)

『『『『ギャゴゴガッッ!!?』』』』


 生き残りの300体程が、着弾と同時に大爆発

を起こす飛ぶ斬撃によって、一瞬で壊滅した。


「フン!」


 それでも、S級相当の怪物が5体残ったのだが、

次の瞬間、彼は自らの得物を投げ飛ばした。


『バカメ!』

『アタルカ!』


 怪物達は歓喜した。だが、


業火迴(ごうかかい)(げき)

『ボォン!!!!』


 両剣の1万倍大きな物体が、音速を超えた

ような轟音を鳴らしながら、人間より小さな

両剣が、業火を発して、目まぐるしく加速した。


(ごく)楽浄熱(らくじょうねつ)


 加速した両剣は5体に知覚されることはなく、

内4体を切り刻んだ後、摩擦熱で気化した。

そして荒ぶる両剣は、(てん)(のぼ)った。


『グアアッ!?』


 生き残りの1体はこの攻撃を、目の前の男が

空気が爆発するほどの、熱波を放ったものだと

勘違いした。


『ズン!!』

「楽にしてやる」


 天へ上っていた両剣は、人の掌へ収まった音

とは思えない轟音を響かせながら、フレイの手

に戻った。生き残りが見ているフレイは、熱の

イタズラによる幻影だった。


業火速(ごうかそっ)(こう)


 彼は、両剣を回して周囲の炎を全て巻き取り、

限界まで両剣に集約しつつ、余剰分を自らの

衣服に纏った。


『』


 彼が両剣を怪物へと向けた瞬間、怪物は、

まるで蛇に睨まれて動けなくなった蛙の如く、

彼の殺気に(こう)(ちょく)した。


(ない)爆四散(ばくしさん)


 怪物が硬直している隙に、シルバードラゴンの

時とは異なり、得物の投擲で傷を作りつつ、刃に

接している細胞を瞬間加熱し、()ぜ散らせたの

だった。


「所詮、寄せ集めに過ぎなかったな」


 爆発で再発生した火炎を、燃える衣類に吸収

させつつ、炭と化した林を見やった。


(追加で斥候を送ってきていたようだな。周囲に気を

配りながら戦闘していたが、視線を感じなかった

事から、送られた瞬間に焼死したと見えるな)


 幾万回(いくまんかい)、物質を燃やしてきたフレイは、極々些細な

燃え跡の差異から、元の物質の姿を逆算出来るように

なっている。


「(魔王軍は、汚職が(はび)()っていたギルドよりも、

余程劣悪な労働環境らしいな)さて、少しだけ加勢

してやるか」


 自身がギルド長に就任する前の、ギルドの環境を

照らし合わせ、魔王軍の兵を(うれ)いつつも、同胞の安全

のために加勢しに向かった。


~ウァームタウン~


斬撃(スラッシング)旋風(ハリケーン)!」

津波(ウェービング)挟撃(ギロチン)!」


 魔導兵器2人が、全てをズタズタに切り裂く竜巻

と、全てを圧殺する津波をそれぞれ左右に繰り出し、

モンスターの群れを圧倒する。


「「「(サンダー)(ボルト)!」」」

「水は電気を良く通す」

「正確には、溶媒(血液)を含んだ液体だね」


 他の魔法使い達が、サタヤナの魔法の余波で

広がった食塩(血液)水を媒体に、最小限の雷魔法

で最大ダメージを叩き出す。


(このガキ、大味な攻撃を放っているだけと

見せかけて、生き残りを効率的に()(ちく)できる

用意までしている…………?)


 サタヤナの攻撃を見たローズは、それが単なる

一撃に終わっていないことに気づいた。


(私より…………優秀なつもり??)


 ひび割れたブロック床から平らなブロック床へ、

"ピョコ"っと跳び移るサタヤナを睨み付け、被害妄想

もいいところな嫉妬の眼差しを向ける。


『北門が後退中! 他より5名以上の援護を

要請する!』


 別の門のピンチが、報ぜられた。


「あんたg…」

「アッシが行くッス! ここはお願いしまッス!!」


 ローズが、サタヤナを乱暴に追い払おうと

したところ、彼女は素早く応援に向かうことを

発表し、剣士顔負けの速度で()けていった。


「強くて速くてパーフェクトリィ…………」

「サーちゃんなら、北門も安心ね!」


 その様子を見た他の冒険者たちは、彼女に信頼

を寄せていた。


「…………どこまでも()(しゃく)な小娘ね」


 彼女に憎悪を(たぎ)らせる人物は、ローズただ一人

である。


~北門~


「いってぇよおおおおっっ!!」


 脇腹から出血が止まらない戦士が、喚き散らし

ている。


「スーパーヒール!」


 しかし、フードを被った回復術士は、少しも

慌てずに、治療を開始した。


(軽麻酔、血流微遅延、傷口周りの治癒力を集中

増加!…………よし。遅延解除に気付(きつ)け!)


 その手際は見事の一言で、動作と出血を抑えつつ、

一気に回復してしまった。


「あああ! うぉお!?…………あれ?」


「傷は完全に塞ぎました。コレを食べて栄養を

補給してください」


 そして、傷が治ったことをいち早く気づかせ、

栄養補給食材を手渡した。


「モグッ、助かったぜ、姉ちゃん(…………で、

合ってるよな?)」


「いえ、お気をつけて!」


 顔が見えないために、年齢に疑問を持たれて

いることをスルーし、一瞥の後に次の患者に

取りかかる。


「お気をつけて! っつ、今の患者の後に後退

しましょう!」


 治療後、前線が押されている事に気がつき、

他の回復係に忠告をする。


『タタタタッ!』

「…………はい、終わりましたy…」

大地(アース)連続隆起(アッピング)!」


 患者に、治療完了を伝えた瞬間、前線の方で

何本もの上向きの槍が、出現していた。


「ヴィヴィアン様のようにはいかないッス!」


「助かったぜ姉ちゃん!!」


 サタヤナのフォローは雑だったが、攻撃範囲の

お陰で、前線に大きく貢献できた。


(サ、サンドラの魔法とは、あまりにも規模が

違いすぎる…………)


 ローリーは、自分のパーティーの同僚と比較して、

その規模の違いに面食らった。


「…………一応見てくるね。回復ありがとう」


「いえ、お気をつけて!」


 患者を見送った次の瞬間、


『グロリアス王国で、回復をお願いします!』


 ワイルドの要請が入り、真下に回廊(ゲート)が開いた。


「分かりました!」


 彼女は、まだまだ余裕がある様子だ。


~グロリアス王国~


『グギャアッッ!!』


 両腕に長い刃を生やした悪魔が、猛スピードで

デュランに接近する。


「甘いねぇ」


 だが、彼は流れるような剣閃で刃を避けつつ、

悪魔の胴体を両断した。


(大火竜と比べたら、どのモンスターも可愛く

見えてしまうぜ)


 昨日、戦った大火竜と比較して、どのモンスター

も弱く感じるのだ。他の冒険者に怪我人が発生する

中、デュランは余裕綽々と討伐数を稼いでいく。


(後ろ!?)

『カッ!!!!!』


 ついつい前に出過ぎた為、少し下がろうかと

思った瞬間、突如背後から"死の予感"を感じ取り、

大きく横に跳んだ。


 案の定、極太の光線が自らの立っていた場所を

掠め、70は居た直線上のモンスター達を、消滅

させた。


「アッハハハハハハッッ!! 皆様~~! 聖女様が

大活躍しますのでぇ、羨望の眼差しでご覧くださぁ

~~~~い!!」


 アースヒーローズの回復役・聖職者アリスが、

怪我人に回復魔法を全く使用せず、端正な顔が

歪むほどの顔芸をしながら、攻撃魔法の詠唱を

再開していた。


(せ、聖女って…………呼ばれていたよな…………あの人。

今、俺ごとモンスターを滅殺(めっさつ)しようとしてなかった

か??)


 前線の冒険者と同列まで下がったデュランは、

背後のアリスを見ながら、疑問符を浮かべていた。


(…………おっ)


 だが、更に背後の回復術士の姿を見て、表情が

明るくなった。


(あの娘、他の倍はテキパキと回復できているな。

順調そうで何より! ここに連れてきたワイルド

さんも、グッジョブだぜ!)


 馬車で見かけ、過労を心配していた女の子…………

ローリーが、かなり手際よく負傷者を回復できて

いるのだ。


 女好きが高じて、名も知らぬ彼女を目にかけた

デュランだが、彼女の心配が杞憂に終わったことと、

ワイルドの適切な人選に、気分を立て直す事が出来た。


~フォーレスト・ビレッジ~


「オラァ!!」


 ザ・荒くれといった雰囲気の狂戦士が、2振りの

手斧をモンスターに撃ち下ろした。


『ゴルゥア!!』


 しかし、サイクロプスの上位種である、10m程の

巨人、B級モンスター・タイタンは、深傷を負った

両腕を力任せに振り下ろした。


『ガギィィ!!!』

「!?、テm…ゴクン!!」


 完全に反応が遅れた狂戦士だが、間に入った重歩兵

らしき人物に救われ、その際にポーションを飲まされ

ていた。


「とどめを!」

「オラオラオラオラオラァ!!!」


 とどめを託された狂戦士は、重歩兵の背後から

飛び出し、剣士の連続斬りを超える手数のラッシュ

で、タイタンを仕留めた。


「な…………スゲェ連打撃ったぞ今…………!?」


 だが、自身の限界を遥かに超えた攻撃を放てた

事に、戸惑いを隠せない。


「速攻ポーション。僕オリジナルの強化ポーション

さ。ボサっとせずに、皆を手伝おう!」


「お、おお…………」


 重歩兵…………もとい、荷物運搬士・チックの説明を

受け、再び加勢に向かう。


(…………アイツ、当然自分もポーションで強化して

いるんだよな…………?)


 チックは、中サイズの荷物箱を背負いながら、

剣士顔負けの敏捷性で、モンスターの攻撃から

味方を守りつつ、彼等に適したポーションを、

半強制的に供給している。


(にしたって、あの装備でなんて速さしてんだよ…………)


 彼の"異様"とも言えそうな身のこなしに、

面食らっていたのは、狂戦士を始めとする、

ポーションを提供された冒険者だけではなかった。


「超速攻戦士と死霊術士に打ちのめされた俺を、

更に追い討ちする奴が現れるなんて…………」


 サウザンドグローリー所属の重歩兵・ドグロが、

明らかに専業重歩兵ではないチックに、全能力で

劣っていることに、打ちのめされていた。


 彼も、"今、動ける冒険者"として作戦に参加

しており、モンスターの足を止めるだけでも、

貢献しているようだ。


(俺が価値を発揮するには…………"命をかける"

というのが、最低条件らしいな…………)


 彼は盾と槍を構え直すと、奥から突撃してくる

モンスターの群れを睨み据えた。


~アント・ネット街国・正門前~


「ほ、本当に大体片付けるつもりなのか? あの

姉ちゃんは」


「ウチの腕利きならぬ、足利きの足技師が、

1年前まで、あの人の施設で鍛えていたって

言ってたぜ…………」


 後衛の魔法や遠距離物理が飛び交う中、防衛

ラインを敷く前衛達…………の、20m程先に、肩

程度まで金髪を伸ばした若い女性が立っている。


「さぁ~て、歩合制のボーナス、沢山貯めないとね~~」


 彼女は肩に掛けていた三節棍を、動かし始めた。

最後まで読んでくださりありがとうございます。

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