物理偏重・筋出力向上理論
修行場に向かう道中、2人を鍛えるに当たり、
スキルのレベルによって、どの程度物理攻撃力に
差が出るのかを確認するため、ステータスを
見せてもらった。
基本的に、赤の他人にはステータスを見せるべき
ではない。その為、俺は基礎能力しか見せないという
条件を提示し、その上で見せてくれるかは2人に
任せたのだが、あっさりと見せてもらえた。
・バルディ・I・ラッシュ レベル15 職業 : 斧戦士
HP 800/800 MP 30/30
物理攻撃力 600
物理防御力 400
魔法攻撃力 20
魔法防御力 40
身体操作性 100
敏捷性 400
幸運力 150
斧術レベル5
剛力レベル3
頑丈レベル2
韋駄天レベル2
加速術レベル1
跳躍レベル1
腕力レベル4
脚力レベル3
エアロビタフネスレベル3
アネロビタフネスレベル2
・ミュール・M・ジョルニア レベル14 職業 : 槌戦士
HP 700/700 MP 80/80
物理攻撃力 400
物理防御力 320
魔法攻撃力 45
魔法防御力 80
身体操作性 200
敏捷性 280
幸運力 150
槌術レベル6
剛力レベル1
腕力レベル1
脚力レベル2
エアロビタフネスレベル5
アネロビタフネスレベル2
照準レベル2
回避レベル2
アクロバットレベル1
視覚レベル1
聴覚レベル1
触覚レベル1
平衡感覚レベル1
2人とも類時点が多い職業なのだが、基礎能力や
スキルを比較すると、面白い程個性が出ていた。
しかし、その後の筋トレにおける使用重量を
比較した時、物理攻撃力の差以上に重量の差が
大きいことが分かった。
「うおおおおおおおおおっっっ!!」
「むぅうぅうううぅぅ………………!!!」
「もっと速く! この瞬間は常に全力!」
2人の挙上を加速させるように鼓舞しつつ、
倍は違う重量差を考える。
(原因は、間違いなく剛力スキルと腕力、脚力スキルに
あるだろうな。岩挙げだと、特に腕力スキルが関連
していると見た)
バルディは、上半身の筋肉量で言えば、間違いなく
俺を超えている。故に、古典的な筋トレ方法のみで、
腕力スキルのレベルを4まで成長させられたと考えれる。
『『ズゥン!』』
「ゼェ!…………ゼェ!…………」
「はぁ…………はぁ…………」
一方ミュールは、凄く鍛えた女の子といった体型に
留まっており、性別の影響もあって、特に腕力スキルが
伸びにくいということが考えられる。
「おお! 剛力が4に上がったぜ!!」
「やった! 私も2に上がった!」
「「イェイ!」」
『パァン!』
早速スキルが成長したらしく、2人はハイタッチ
した。
「早々に成長できて何よりだ。成長した気分は
どうだ?」
「全身筋肉痛で、全力なんて出やしねぇのに、
力が漲って来るぜ!」
筋出力が向上したことで、バルディは動けないのに
力が溢れ出てくる感覚を覚えたようだ。
「本当に直ぐに結果に現れて、とても嬉しい!
だけどコーチ、どうして一瞬で結果が現れたの?」
ミュールは結果に喜びつつも、高速成長の
カラクリに疑問を抱いているようだ。
「カラクリとしては、3つの要因が考えられる。
1つ、2人が今まで体験したことのない筋トレを
行ったことで、前代未聞の筋力向上が起きたこと。
2つ、ほぼ全身の筋肉を一気に使用したことで、
筋力向上…………即ち剛力スキルのポイントが最大限
獲得出来たこと。
3つ、真に全力を発揮したことで、これまた剛力
スキルのポイントが最大限獲得出来たこと。
ざっとこんな要因が考えられるな」
「1つ目は何か分かるぜ。最近大きくならねぇなぁ
って時に、種目を変えたらあっさり成長したり
するからな」
「でも、2つ目と3つ目に出てきたスキルポイント?
って何なの?」
「スキルポイントは、ステータス表示画面で確認
出来ないけど、見えない所で貯まっていき、一定数
貯まったらスキルが成長する要素だ」
「えーと…………筋肉の細胞が増えたら、筋肉が
デカくなるようなものか」
「まぁ、そんな感じだな(筋肥大は細胞増加
じゃなくて、細胞自体の肥大化だったと思う…………)」
バルディの筋肥大理論は間違っていたが、例えは
結構的確だったので、聞き流した。
「それで、どうしてコーチ式のトレーニングだと、
ポイント増加が最大になるの?」
「俺の筋トレ法だと、必然的に筋肉の力を
最大限に発揮することになる。即ち、力に
直結する剛力スキルにとっては、最もポイントが
貯まりやすい動作ということになるのさ」
「成る程。けど、それは理解できたがよぉ、どうせ
なら何百回も行った方が良くね? 例えば重りを軽く
するとかしてさ」
「良い質問だな、バルディ。10tの岩を1度挙げる
より、1tの岩を100回挙げるほうが、効果は
10倍だ。言いたいことはこんな感じか?」
「ああ」
「力学的な仕事量だけ見れば、確かにそうとしか
見えない。しかし、実際に筋肉が力を発揮する
条件は、扱う重量と回数だけでなく、フォームや
加速度等も影響する」
「コーチは速く動かしていたけど、私達の教官は、
ゆっくりじわじわ効かせろって言っていたよ。
この辺は何が正しいのかな?」
「結論から言うと、速く…………正確には短時間で
大きく加速させるように挙げるのが正しい。2人は
物理学とか習っていないと思うけど、これだけは
知っておくべきだ」
F = m × a
「あ、この場合の質量は、岩の重さだと思えば良いよ」
「つーことは、岩をスッゲェ加速させれば良いって事か」
「岩の重さは固定だから…………あっ! なるべく反動を
使わず、だけど最大限に加速させれば良いのね!」
「その通りだぜ、ミュール。体重移動を0にして、
鍛えたい筋肉だけをフルパワーで縮める。そしたら
岩は最大限に加速できるのさ」
って、陽筋君がいつも語ってたなぁ~~。
「成る程なぁ~。加速無しだと岩の重さしか
ポイントが入らねぇが」
「加速すれば岩の重さがその分、倍増して
ポイント加算されるのね!」
「そう言うことだ。さて、熊肉パーティーをしよう」
「おっしゃあ! 筋肉の肉だぁ!」
「トレーニング後に肉なんて、とても嬉しいわ!」
2人とも、喜んでいる所悪いけど
「おっとぉ、1つだけ条件がある」
「「??」」
「死ぬ気で早食いしろ。とあるスキル取得の
特訓だ!」
「「わ、わかったぜ」」
俺は最早慣れっこだが、2人は2回以上、生死を
さ迷う吐き気を感じた模様。
「2人ともよーく頑張った! 瞬食っていうスキルが
身に付いたと思うけど、どうかな?」
「か、完璧…………だぜぇ…………うっぷ」
「私も~~…………ゲットしたぁ…………ううう…………」
「これを乗り越えれば、次はもっと肉を食える。
だから、俺が戻ってくるまで休憩だ。俺は危険な
修行をするから、近づいたらダメだよ」
そう言って、崖の谷間に向かった。
「フゥゥゥゥ………………」
息を整え
「オラララララッ!!」
大量の小石を、あらゆる方向に、最大限に早い
ペースで投げた。
『ピロリン♪
スキル : 早投げを獲得しました。
』
「ここからだ」
『コツン』
正面は視力で、視覚の外は、聴覚、触覚を駆使し、
小石の軌道を感じ取った。因みに、小石の速度は
平均して時速400kmといった所だ。
「おお…………これは…………痛ッ!!」
最も発達している視覚で認知した小石は、難なく
避けられた。しかし、聴覚と触覚で認知した小石は、
それなりの頻度で直撃した。痛い。
「成る程ね、俺もまだまだ視覚に頼りすぎって事だな」
初めに、聴覚がその音を拾った。次に、触覚が
ソレに揺られた空気の揺らぎを認知した。間髪
入れず、嗅覚がソレから発せられる良い香りを
嗅ぎ取った。
『ピロリン♪
気配察知レベル1を獲得しました。
』
「修行の谷間へようこそ、クレインさん」
「ッハッッ!?」
出来るだけ気配や足音を立てず、クレインさんの
背後から話しかけた所、声すら出せない程驚いたようだ。
『ピロリン♪
隠密行動レベル1を獲得しました。
隠密行動がレベル2に上がりました。
』
「単刀直入に聞きます。クレインさんは、アース
ヒーローズのアーロンを恨んでいますよね?」
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