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身バレ??

ここからワイルドサイドを押し進めていく予定です。

はあっ…………はあっ…………な、何とか追い払えたよう

だなぁ…………」


 アーロンは髪や身だしなみを盛大に崩しながら、

危機が去ったと安堵の声をあげた。洞窟は、彼が

無差別に飛ばした斬撃により、かなり改築されている。


「あ、兄貴~…………」


「んん? (カルロス)の遠吠えが弱々しく聞こえてきたなぁ。

何で近くに居ないんだ?」


 アーロンは、一心不乱に剣を振り回していたため、

その間、仲間達がどのような動きを見せていたのか

知らないようだ。


「いったたた…………急に無差別な斬撃を放たないで

くれる? あとちょっとで腕がザックリと持って

いかれる所だったじゃない」


「わ、私もお腹に怪我をしましたわ!(もう治し

ましたけど…………)」


 彼の斬撃から逃げていたパーティーメンバー達は、

自身の負った怪我について、アーロンに問い詰めだした。


「…………フン、しかし私のおかげでレッドドラゴンは

消え去ったではないか」


 しかし、アーロンはいる(はず)の無いレッドドラゴンを

引き合いに、自己正当化を図った。


「あ、兄貴…………流石にここにはアイツはいねぇ

筈だぜ?」


「そうよ。あることないこと分別して話してよね。

ってかアリス! 私、怪我してるんだから、さっさと

治療しなよ!!」


「わ、分かったわよ…………」


 ローズは痛みで気が大きくなる性格らしく、

アーロンに強く発言し、アリスに至っては

怒鳴り散らして気圧(けお)した。


「はーあ、これだから無能で鈍感な家畜共(おまえたち)

付き合うのは面倒なんだ、よっ!!」


「ギャアッッ!?」


 何を思ったのか、アーロンはローズの治療

していない方の腕の外部を、剣で刺し貫いたのだ。


「ア、アーロンs…ブゴッ!?」


 更に、治療中のアリスの顔面を、踵で蹴り飛ばした。


「文句タレに治療を受ける権限は無い。そして

アリスゥ、貴様はご主人様の許可無しに、何勝手に

治療しているんだ?」


「アッ!…………うぅ…………そのっ!…………痛っ!!…………」


 顔面を守っている腕を、何度も踏みつけながら、

問いただす。


「まぁまぁ、腹ぶった斬られたら、流石に直ぐに

治療しねぇt…ッギャアアアッッッ!!!!!」


「口答えが過ぎるぞ、カルロス」


 カルロスに至っては、姿を見ずに金的に蹴りを

炸裂させた。


「なぁ! この! アーロン! 様が! 聞いて!

いるんだよッ!!」


「あうっ! ぅうっっ!! はぃいぃ!!」


 アリスの腕がどんどん赤黒く変色するのに対し、

アリス自身の表情と声色は、なぜか明るいものへと

変わっていった。


「ねぇ! もう十分制裁は加えたでしょ!

もうやめて! アーr…ギャアッ!!」


 制止を叫ぶローズの頬に、アーロンの拳がめり込んだ。


「アーロンさまぁ…………もっともっと私に神聖なる

一撃を…………はぅぅううっっっ!!!」


 アーロンの蹴りが、アリスの全身を吹き飛ばし、

変な叫びを上げながら、サッカーボールのように

転がっていった。

 信じられないことに、全身から血を流して

いながら、その表情はいつもの惚け顔そのもの

だった。


 そして、アーロンの次なる獲物は、


『メコォッ!!』

「イッッッッデェェェエエエエエエッッッッ!!!!」


 当然、カルロスである。女2人と違って耐久力に

優れている為、容赦の無い全力の蹴りを炸裂させたの

だった。


(もっと…………もっとぉ…………)


 度重なる虐待により、精神を狂わされたアリスは

兎も角として、アーロンに口答えをした2人は思った。


((どうしてこうなった))


 ……………………と。


 しかし、この場の誰もが見ていながら、対策一つ

練れていない事があった。ショウが生き延びている

ことを知らないのが原因ではあるが、彼が受けた

仕打ちは、3人とは比較にならない。強度も、

期間も、人数も。そして、その恨みは、到底4人に

計る事など不可能なほど巨大なものであるということを。


~ショウ改め、ワイルドサイド~


「そ、そーですよねー! グリーンドラゴンが討伐

されたーなんて記録は何処にもありませんしー、

ワイルドさんのヒイヒイヒイヒイヒィア…………

ヒィア? おじいさまが人知れず討伐した遺品で

あるなら、納得ですー!」


 リズが、俺の付け加えた補足説明に納得した

ように、胸を撫で下ろした。気分でグリーン

ドラゴンの鱗を見せたは良いものの、信じて

もらえず変な噂が流れる危険性を思い浮かべ、

先祖の遺品と言うことで納得してもらった。


「ま、そう言うことですよ。風の噂で、現在最強と

名高いアースヒーローズ総出でも、レッドドラゴンに

敵わなかったって聞きましたし」


「あー、あの人達ね~~。ウッサンクサイ人達

ですよね~~」


 意外にも、リズはアースヒーローズを毛嫌い

している様子だ。俺がショウだった頃に、クエストの

手続きをしていた頃は、他の冒険者と相違の無い

笑顔で送り届けてくれていたので、驚いた。


 営業スマイルだったと言われたら、それまでだが。


「意外ですねー。リズさん、アースヒーローズ嫌い

なんですねー?」


「…………特に、リーダーが嫌いかな。今朝ですねぇ、

彼が直接受注しに来たんですよ!」


 急に発音が強くなった。


「真面目で礼儀正しいショウさんが来ない時点で、

上手く手続き出来るのかなぁと心配だったん

ですけど、何かそれ以上に本ッッ当に人間性を

疑いましたよ! ええ!」


 凄く怒っていらっしゃる。キレた熊並の迫力だ。


「さ、差し支えなければ、教えて頂けますか?」


「聞いてくださいよ! あんのナルシストの

アーロンだかが、いきなり"君ってかなり

可愛かったんだね"とか言って、私を油断

させた瞬間に、胸を掴もうとしてきたんですよ!!」


 …………たまにアリスやローズといちゃついていた

のは見てきたが、あの変態、裏でとんでもねぇこと

していそうだな。


「…………何ですか、それ。ギルド長に訴えましょうよ」


「…………今となっては誤った判断だと分かりますが、

私は(とっ)()に後退してしまい、あの男の指先が、胸の

先端部すらかすらずに、後ろのデスクにぶつかって

しまったのです…………。そして事務員さん達の椅子が

後ろに倒れていく音が…………」


 急に爆音が響くもんな。驚いて後ろに倒れるのも

頷ける。というか、リズが何かに驚いて爆音を

ならしていたのは、聞き耳を立てていたから

なんとなく知っていた。


「状況証拠が本人のみなのは弱すぎますね…………

不快ではありますが、避けずに声の一つでもあげれば、

物品証拠と目撃者を増やせましたでしょうし」


「そうなんですよー! 報告しても、結局、ヒップ

アタックでデスクにヒビを入れた女ですって白状

するだけになっちゃいます!」


 アーロン、何としてでものさばらせる訳には

いかないな。そして…………


「その辺についてはノーコメントで行きます。

しかし、次期英雄候補が酷い有り様ですねー」


「全くです! ショウさんが殿(しんがり)で犠牲になったって

報告したときも、特にカルロスさんの嘘泣きが凄く

胡散臭かったし…………って、ワイルドさん、あなた

ショウさんと顔立ちが似ている気がしますけど…………

もしかして…………」


 最初にバレるなら、この人だろうなとは

思っていた。けど、もうちょい隠したいな。


「ぇえ!? いやいや、俺ごときがもうすぐA級に

上がる超速ルーキーに比肩しませんって!」


「…………飛び級でD級に上がる人が何をおっしゃいますか」


「ウグッ!? けど、似顔絵で見たショウさんと、

俺、肩の筋肉とか髪型とか違いすぎません?」


「じーーー…………」


 リズは食い入るように俺の顔を見てきた。


「腕とか、胸とか…………」


「じーーー…………」


 まだ確証が得られない様子だ。


「ショウさん、こんなことしましたか?」

『ピクピクピクピクピクピクピクピクピク

ピクピクピクピクピクピクピク!!!!!!!!!』


 俺は大胸筋を左右合わせて毎秒6回収縮運動させた。


「ぶはっwww あ、ごめんなさい! そ、そうです

ねぇ、ショウさんなら、こんなことはしませんね!

私の勘違いでした。兎も角、クエストクリア

お疲れさまです!」


 報酬金を受け取った。


「軽く食事と修行をしてから、午後にまた来ますね~」


 俺は、そう言って誘おうと思っていたバルディを

探し始めた。


「何よ! 現場を見ていない癖に良くもまぁ、

否定できるわね!」


「だーかーらぁ! ソイツは他人のそら似な

変態野郎だって! 俺の憧れのカルロス様が

そんなマネしねぇよ!」


 声のする方を見ると、緑髪の女の子と、赤髪の

大男が何かの口論をしていた。どちらも戦士系の

装備をまとっており、大男の方はバルディだった。


「バルディ、何かもめ事でも起こしたか?」


 不穏な単語が聞こえたのもあり、俺は話しに

割って入ることにした。

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