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65 ヲサイヤ、復讐

彼の前方には黒人形と大男の黒魔法使い、そして後方には城の尖塔から解き放たれた囚人たちが迫ってきていた。

こちらの戦力は自分と兵。どう配置すればこの場を制することができるのかを、この元兵長は長年の知恵と経験から考えだそうとしていた。敵の囚人の中には竜がいる。そして何よりも注意しなければいけないのがあの大男。以前も城門を破っては、ジャニーを無力化することに成功している。すると、超級魔法使いを・・・

ヲサイヤの集中力はここで途切れることとなる。敵の大男が手のひらをこちらに向け、何やら魔法をかけているらしい。

「ダメだ。まともな思考ができない」。ジャニーに聞いたところによると、敵の黒魔法は感情を操作する類のものらしい。兵を錯乱させたり、戦意を無気力化させたりする。今のこの集中力の妨害も彼の得意とするところだろう。じっくりと戦略をたてることができない状況は彼にとっては不利であった。これからの判断は、全てヲサイヤの直感で行うこととなるだろう。

「よく聞け!これから命令をする!俺以外の兵は全て、後方の囚人を確保に努めよ!」

兵の中に驚愕の声が漏れる。まさかこの男、一人であの黒人形と大男に立ち向かおうとするのか。

しかしながら、意見している時間もなかった。魔法使いの一群は一斉に敵の方へと向かっていき、囚人たちを数で威嚇することに成功していた。


「さて、これで集中できるな」

やはり敵の精神操作の魔法が仲間の兵に及ぶことは避けたかった。ジャニーの報告からも、その混乱の様子は常軌を逸していたらしい。自分一人でならまだこの場をコントロールしやすい分、有利になるという逆説が存在していたのを見抜いたのである。

大男はまだこちらに手を向けている。狙いを定めて逃さないのだろう。こちらも攻撃を受けている以上はもう攻め込まないと、消耗が大きい。

ヲサイヤは地を蹴り敵の方に向かっていった。黒人形たちも反応し次々と襲い掛かってくる。

黒人形たちの強さは取るに足らないものとなっていた。やはり脅威となるのはあの男だろう。気になるのは、彼に近づいて行く度にその魔法の力が強大になっていっているということだった。

「クソ・・あんまり敵を残した状態で畳みかけるもんじゃないな」

ヲサイヤは飛び上がった。マントを広げ、中から吹雪を巻き起こした。先の旅でショーフェンに向かう途中で遭遇したものを封じ込めていたのだ。

吹雪に慣れていないためか、敵側にも一定の効果があるようだった。少なくとも突風によって黒人形たちは吹き飛ばされ、大男に近づく隙が生まれた。

「この機に決める」

空中で白い鳥へと姿を変え、一気に男に迫っていく。懐に潜り込むと姿を戻し、無力化を試みた。

それがよくなかった。彼の思考は一度完全にロックされ、敵の黒い黒い魔法へとハマっていった。


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