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46.確認

「ニラードの連絡が消えたか・・・」

ヲサイヤは心配そうにしている。城門を守っている彼は、既に城内で何か不穏な出来事が起きていることに落ち着けなかった。既に超級魔法使いの援護が向けられたが、それでもすべてが解決するまでは安心できない。ただでさえ国の超級魔法使いはこの非常時に国中を飛び回って治安を監視している。緊急時に割ける人員はこの城内においてもそう多くない。北の魔女がどれほど活躍してくれるかは分からないが、ここは彼女に期待するよりほかはなかった。

「城内は特に異変はないのだな」塔付近でのトラブルの波及を懸念しているヲサイヤは何でも城内の様子をユハに確認していた。ここにきても元兵長としての忠誠心が働いている。

「現状城内は問題ないですが、もし何かあったらヲサイヤ様にも協力していただくかもしれません」執事の声色は常に落ち着いている。有事の際にも、こうやって他の人々をなだめてきたのだろう。少し心が穏やかになった気がする。そんな彼の心を引き戻したのは、後方での事件であった。

兵の一人に促されて振り返ったヲサイヤは、信じられない光景を目にした。見慣れた囚人服の群衆が勢いを伴ってこちらに向かってきていたのである。

「ニラード、敗れたのか・・?」素早く城内に連絡を打つ。応援をたのもうと考えたが、数的には何とかできないほどのものではなかった。何より、城の守りをこれ以上手薄にできない。

「やるぞ、皆」元兵長としてのリーダーシップを発揮し、兵を囚人の方へ率いていった。取りこぼしはここで一網打尽にしてやる。兵の中でも上級、超級魔法使いが率先して攻め込んでいく。これでかなり状況は有利だろう。

とここで、先ほどまでの数とは比べ物にならないほど囚人の数は増えているのをヲサイヤは目にした。おそらく何者かがかくまっていただけの数がこの場に解放されたに違いなかった。

「やってくれるぜ」自らも攻め込もうと考えた彼を更に驚かせるものがあった。視界の奥の方に見えていた黒い影がぐんと大きくなり、その姿が捉えられるようになったのである。

「竜だ」

長い間王都の付近を飛ぶことのなかった翼竜が、大空を舞うようにして飛んでいるのである。その頭に座っている者の姿を捉えることはできなかったが、とっさにこの者は通してはならないという本能が彼を刺激した。

「貴様ぁぁあ!」

高く跳びあがろうと身震いをした。しかし、その側から闘志を削がれる感覚もする。同時に様々なことが起こりすぎていた。落ち着け。この場を支配できるのは唯一俺だけだ。落ち着け。落ち着け。辺りを見回したヲサイヤを、更に悲惨な状況が取り囲んでいた。

これまで注意を払っていたのは城門から外の世界。そして今問題が起こって対応しているのは城門から内の世界。この間、城門から外の世界に注意を向けられていないことが敵に好機をもたらしたのだろう。今、ヲサイヤの視界を捉えたのは、黒人形たちと一人の大男の姿であった。完全に挟み撃ちにされていたのである。

先の竜に際して彼から気力を奪っていたのは確かにこの大男であるようで、その手が自分に向けられ、魔法の力を受けていることをこの場で感じることができた。

「お前、例の大男だな」

以前、ジャニーと対峙したはずであろうこの男は、今度は再びその上司であるヲサイヤの目の前に現れたのである。この輩も無論、黒魔法使いである。

「ユハ、聞こえるか」

連絡を繋いだヲサイヤはこの状況を知らせようとする。前方、黒魔法使いと黒人形。後方、囚人と竜。挟み撃ち。これだけの情報を伝えようと努めたが、なぜか一言たりとも伝わっていく感覚がしなかった。それだけの集中力が続かないのである。原因は恐らく敵の黒魔法使いであった。

「聞こえるか・・・この・・畜生!」

諦めて連絡を切ることにする。途切れるコネクトのその最後の最後に新たな信号が入ったことを、ユハや執事はともかくとしてヲサイヤは気づくことはなかった。


「こちらスニーク。聞こえたら返事をお願いしたい」


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