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25.ヲサイヤ

 ヲサイヤはベッドから転げ落ちて見せながら、部屋の床に触れて振動させた。ピンポイントで他の7人の頭の中に響いていくように。彼らが最高の目覚めのまま起き上がることのできるように。彼らが覚醒したころには賊の半分ほどの数が部屋の中へなだれ込んでいた。上級魔法使いが召使を引きよせ、5人で固まる形となった。超級魔法使いはベールを張り、一時その場の状況を掴もうとした。

 勿論、敵はそのような情けをかけてくれるはずもなく次々と襲いかかってくる。自らが特攻しなければならないと判断したヲサイヤは、周りの椅子やら机やらを浮かせて相手方の方へ投げやった。軽々とそれらを砕いていく相手を見た彼は、マントを広げ、その中から風を送った。よほどの人間では耐えられない風圧のそれは、賊の何人かを入り口へと吹き飛ばした。ひときわ大きな男は風を受けながらもまっすぐこちらに近づいてくる。超級魔法使いはベールを相手の両側へと送り出し、そいつを挟み込もうとした。一度は相手をひるませたかと思いきや、それすらもはじき返したその大男は風の強さにも慣れたらしく、ずんずんとヲサイヤの方へと近づいてきた。二人が並ぶと、その大男はヲサイヤの背丈の二倍ほどもある。その大男に向かってヲサイヤは手を伸ばす。腕の描く直線が描く先はその男の顔面であった。

 「何が目的でやって来た」その大男の顔は暗くて下からでは表情が掴めない。

「何か言ってみたらどうなんだ」再びヲサイヤは詰問するが応えない。

「なるほど。自分がどうなってもいいんだな。俺たちは命を狙われた身で、何をやっても正当防衛になる。答えないと反撃だ」

 そこで大男は拳を振りかざし、ヲサイヤの頭に振り下ろした。ヲサイヤは広げていた手の5本の指を握るようにする。すると、男の顔のパーツが中心にまで引き寄せられた。顔がゆがむ痛みに悶絶する大男に対し、ヲサイヤは今度は集めていた指を一気に解放し、再び拳を開いた。大男の顔面は破裂し、肉片が四方へと飛び散った。彼は振り返り、言った。「お前たちも見ただろう。大将のようになりたくなければさっさとこの場を離れるんだな」敵の集団は呆気なく走り去り、その場には8人と一つの死体だけが残った。

 彼は、破壊された扉部分を超級魔法使いに直させた。扉の前に死体を晒し上げ、彼らは部屋に籠った。上級魔法使いが言う。

「これはやりすぎでは・・・他国に乗り込んでその国民を殺してしまっては、外交問題に発展しかねません」

「何を言っている。この王国の王であるところの使者がこの地で襲われたとあれば、それこそこの地域自体の問題となる。それに命を狙われたんだぞ。俺はお前達7人を守る義務がある。こうして敵の集団に見せつけておいた方が後々抑止力になるのだ」

そう言った後、ヲサイヤはさらに呟く。

「それにしてもこの場所がなぜ知れていた?」



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