26.ヲサイヤ-翌朝
彼らが目を覚ましたのは、昨日の仲介人の声が部屋に入ってきたときであった。前日はあれ以外の奇襲はなかった。彼らは自分たちの部屋の扉が存在しないことなど気にもとめずにぐっすりと眠ることができていた。
「ああ・・・これはなんということでしょう!」
起きてきた一行に対して彼は言う。
「申し訳ありません。まさかこのようなことになろうとは・・・」
そう言って、彼はその死体をじろじろ眺める。
「・・見覚えがあります。彼はこの地域をねぐらに盗賊活動を行っていたグループの一員でしょう。こちらで領主様に引き渡していくことといたします・・・ところで、お怪我はありませんでしたか?」
「全くない。幸いなことにな」ヲサイヤは話しているが、もはやこの男との会話に興味がない様子であった。
「ともかく、こちらにいるのは危険でしょう。今から城の方に案内いたします。そちらの方が安全です」
一行は砦を抜け城の方まで向かっていった。城下町を突き進み、次第に城の方に近づいていく。全体的に遠くから見えるその巨大な城は、遠目に見て山と間違える程に荘厳であった。よからぬ想像ではあるが、これほどの城を攻め落とすのにはどれほどの兵力を割くべきかとヲサイヤは考え、その無謀さにため息をつきたくなった。
城に漸く着き、一行は待合室に案内された。ここでしばらく待機せよとの指示に従い、しばしの休息を取った。毛皮の絨毯や動物のはく製などが飾られている。これらの動物はヲサイヤの生活圏では全く見られない類のものであろうことがその形状から予測することができた。住む地域も違えば、文化圏も全く異なるものになるのかもしれない。壁にもまた別の生き物の首が飾られていて、角の生えた熊のような見た目をしていた。顔の部分だけで彼の上半身ほどもあることを考えると、その体躯全体は王都周辺の一般の家と同じくらいあるだろうことが想像できた。
しばらくしたら声がかかり、一行は山海賊の長の賊長の元へと連れていかれた。これもまたかなり広い間で、家が三軒立ちそうなその空間に、賊長とその側近5人のみが控えている。
「よく来てくれた。王都の者よ」
賊長はそう声をかけた。その名をシュラッケンという。
「長い旅であったであろう。それに昨晩の事は申し訳ない。こうして急いで場を設けたのも、昨日の件があってのことなのだ」長は皆を椅子に座らせた。
「信書であるが、しかと読ませてもらった。事情は把握している」
そう言って、シュラッケンは姿勢を正した。彼ら一行の間にも同様の緊張感が走っている。この男は一体この後に何を言い出すのだろうか。気が気ではなかった。
「喜んで力をお貸しいたそう」




