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闇の馴致

二人は暗い闇の中を歩き続けていた。スニークが魔力を発したことでその空間への扉は開き、進むことができた。言いなりに彼は行進を続けていたが、まったく先が読めない。現状は様子を伺うしかないのだ。視覚以外の感覚を研ぎ澄ませる。足の感触。堅い。たまに滑りやすい。おそらく、岩肌のようなごぐごつとした地に足がついている。臭い。これは明らかに地中のものである。入り口を自分で開いた後、下る工程があったことからも分かることなのではあったが。聞こえるもの。今や、殆どなにも聞こえなくなってしまった。入ったばかりのころはそれでも並の打ち付ける、外の音に集中することもできたが、今やこの空間に響き渡るのは二人の足音のみである。

「ここは何なのかだけでも教えろ」

少しでも情報を集めようと彼は口を開くことにした。しかし返事はない。会話の全てを拒む意志が働いていた。

そのまま暫く歩き続けた。一刻ほど経ったあたりであろうか。急に相手が歩みをとめた。

「何だ。ここで最後―」

言い終わらないうちに、スニークは不意打ちを首筋にくらい、その後持ち上げられ、振り落とされた。あたり所が悪かったらしく、気を失った。


――目を覚ましたが、相も変わらず無音な状態であったので、スニークは土の感触で以てこれが夢でないことを確認するしかなかった。やっとのことで立ち上がる。まだ頭がはっきりとしない。一体どれくらいの間、意識を失くしていたのであろうか。自分が何をすべきなのか考えた。相手の気配は感じられず、完全に孤独な状態に落とされた。ともかく出口に戻らねば。足を一歩出し、大変なことに気が付いた。

「私はどっちに向かえばいい?」

確かにスニークが落とされた。その際、自身の体の向きが出口に面した側か、更なる深淵と対峙している側か、どちらかとも確認する術は、今の彼にはないのである。

もしこのまま間違った側に歩き続け、戻れなくなったら?奥行きがどれほどとも分からないこの空間の中を?

彼はここにきて初めて、今まで排していた選択肢のことを考えた。他の魔法使い、及びソニーワイドに助けを求めることである。謎の声に襲われた際、彼にはまだこの窮地を脱する希望があった。それゆえに、自らの力に頼ることにしていたのだが、もうそのようなことは考えてられない。

「こちらスニーク。現在、右も左も分からない場所にいる。詳細は後ほど報告するが、直ちに手を貸してほしい」

反応がない。

「おい。聞こえないのか。誰か返事をしろ」

やはり、望んだ結果はこない。

「くそっ、肝心な時に」

次にできることを考え、発動させた。うまくいかない。どうやら、魔法の類一切が使えない空間のようだ。更に絶望的である。自分の4感を全力で光らせなければ。しかし、出口に至るまでにはかなりの時間を要した。


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