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173話 西地方の没落劇、その3 大人たちを、手玉にとってあげましょう♪

 春の国の西地方の新興貴族である、フリードリヒ一世男爵、二世伯爵の親子。

 元西地方の貴族だった医者伯爵家、次期当主ローエングリン王子も、その正体は知らないようですね。

 婚約者である、私の妹オデットに話題をふりました。


「ねぇ、オデットは、フリードリヒ親子にあったことある? どんな印象を持ってる?

領地に定住してないし、王都には来ないから、自分(ぼく)は一回しか見たこと無いんだよね」

「あら、一回だけなのですか?」

「四年前、レオナールが王太子に指名されて、『立太子の儀』のときに、参加していたのを遠くから見ただけだね。

西地方の領地には、ふらっと現れるけど、王都には寄り付かないみたいだからさ」

「……王都は苦手だと、おっしゃっておりましたわね」

「苦手? なんで? 王都は、国の経済の中心だよ?

平民の商人なら『王都で一旗上げよう、お金持ちになって、貴族の仲間入りをしよう。現在の春の国なら、それが実現できるから』って考えそうだけどね。

事実、春の王宮に出入りする商人は、昔は『西地方の復興支援に』、今は『北地方の復興支援に』って、寄付をして来る者が多いと聞くよ。西地方に平民から貴族になった商人が住んでいるからね」


 フリードリヒ親子の正体を知るオデットは、チラチラと私を見ながら、言葉を選んで発言しました。

 この場で、私がフリードリヒ親子の話をするなんて、予想していなかったからでしょうね。姉の足を引っ張っらないか、気になるようです。 


 オデットとロー様の話を聞いていた、うちの弟ミケランジェロと、はとこのジャックが軽い雑談を始めました。


「ミケ、聞いたか? 春の王都で一旗上げて、貴族に成り上がるんだってよぉ。

商人の癖に、ちっぽけな夢だな。ちっぽけ過ぎて、哀れだぜ。

一端(いっぱし)の商人なら、一つの国で満足せず、世界を目指せよ!」

「うん、聞いたよ。世界を駆け巡り、世界中の人間を相手に商売して、世界中から実力を認められてこそ、真の商人ってもんだよね」

「お貴族様になるために、お金をかき集めて、寄付する?

王族と親戚になるために、お金をかき集めて、賄賂(わいろ)を送る?

頭悪いぜ、バカっでやんの。権力に頭を下げるんじゃなくて、権力に頭を下げさせるのが、商人の真髄なのによ!」

「真の商人っていうのは、権力を手に入れるために、こちらから動いたりしないよ。

功績と実力を認められて、『力を貸してください』って、向こうから権力を持ってこさせるもんだからね。うちみたいに」

「そうそう! うちみたいに、『是非とも、お願いします!』って、王族から頭を下げて頼まれたから、爵位を受け取って、貴族になるもんだぜ!」


 生まれた頃から常に一緒で、双子のように育てられたミケとジャックは、阿吽の呼吸ですからね。

 商務大臣と商人の家系の西地方の新興貴族を見比べながら、ケラケラ笑っておりました。

 会話を聞いて、西地方の商人の家系の新興貴族たちは、「ムッ」っとした表情を浮かべて、睨んできましたけど。

 その程度の睨みなんて、いたずら盛りのやんちゃ坊主たちには、効きません。


「善意の寄付は、人間として当然の行いだから、絶対にやるけどさ。爵位をもらうための下心の寄付なんて、馬鹿げてるよね。

ましてや、王族と親戚になりたいからって、脱税して賄賂するなんて、商人の風上にも置けないよ!」

「脱税や賄賂するなんて、心底、商売の腕と頭が悪い証拠だぜ。商人なんて向いてないから、やめっちまえってんだ!

腕利きで人徳のある真の商人は、お偉いさんの方から頭を下げて頼まれるから、いろいろと引き受けるもんだぜ?

六代前に北の侯爵から『ぜひ、親戚になってください』と頼まれて、雪の国の王位継承権を持つ、春の高位貴族の花嫁をもらったりとか。

二代前の春の王妃を親戚に持ち、当時の国王から『ぜひ、我が国の貴族になってください』って頼まれて、北地方の貴族の一員になった、俺の家みたいに!」

「そうそう。『春の王位継承権を持つ、善良王の直系子孫の跡継ぎ息子になら、男爵家であろうとも、安心して王女を預けられます』って、春と雪の先代国王たちが認めて、春の王妃になるはずだった雪の王女を、息子の花嫁に迎えて、孫たちは雪の王族の戸籍を得た、僕の家みたいにね!」


 やんちゃ坊主たちは、いたずら心満載の雪の天使の微笑みを浮かべました。しかも、言っていることは、非の打ち所がない事実ばかり。

 睨んだ商人の新興貴族たちは、言い返すことができません。もののみごとに、返り討ちにされました。


 北地方の新興貴族と、西地方の新興貴族対決を、横目で見ていた医者伯爵家の次期当主。

 婚約者の家が圧勝したので、三つ年下のやんちゃ坊主たちをたしなめることなく、婚約者との会話を続けます。


「なんでフリードリヒ親子は、王都が苦手なのか、オデットは聞いたことある?」

「十八年前、医者伯爵家が王族に格上げになったときに、お祝いを述べるために王都に来て、体験した出来事が、原因だそうですわ。

お祝いを申し上げるため、初めて息子を伴い、医者伯爵家へ向かったとか。ビシッと正装して医者伯爵家へ行ったら、医者伯爵のおばあ様に捕まりましたでしょう?

そして、王都に住む西地方の世襲と新興貴族の方々が、緊急の王女命令で医者伯爵の屋敷に呼び出され、フリードリヒ親子は皆さんから取り囲まれ、世襲貴族の仲間入りをするように説得されたとお聞きしております。

そのときの感想として、『王都は、堅苦しい礼儀作法が求められるから、苦手だ。自由闊達に動ける、商人生活の方が気楽でいい』と、おっしゃられましたわね」

「あー、うん。王都住まいの貴族になると、堅苦しい礼儀作法を求められるよね。自由気ままな平民の生活が長いと、規則だらけの貴族の生活になじむのは、大変だと思うよ」


 ……棒読みの王子様の発言を聞いた春の貴族たちは、『医者伯爵の女帝様に会いたくないから、王都に来ない』という、フリードリヒ親子の本音を察したようです。


「そうですか。オデット姫の言葉を聞くに、フリードリヒ親子は、今後も王都に定住するつもりがないようですね?

四年前のレオナール『立太子の儀』も、開始直前に会場に滑り込み、儀式が終わるや否や、すぐに姿を消して会話ができなかったのです」

「ええ。『私とローエングリン様が結婚するときに、結婚祝いとして、私に領地を譲り、間接的に医者伯爵に返しても言いかな』とも、言っておられましたわ。

十八年前、王都で医者伯爵のおばあ様から『医者伯爵家が手放した、先祖伝来の西地方の領地を、ぜひ引き継いで欲しい!』と言われて、困惑したそうですわね」

「あら? わたくしは、本音を伝えただけですよ? 困惑する要素など、ありませんね」

「……西の公爵家の先代当主様からも、『今まで西地方に寄付してくれた、復興資金の総額を考えると全然足りないが、西地方の大恩人に、わしが生きているうちに恩返しをしたい! 年よりの最後の願いをぜひ聞いてくれ!』と熱心に説得されたのも、あるのかもしれませんわ。

『貴族の一員ではなく、領主代理人としてなら、領地管理を引き受る』とお答えしたと、お聞きしましたもの」

「分かりました。今でも、フリードリヒ二世は、医者伯爵の領主代理人の感覚なのですね……。

わたくしとしては、いい加減、貴族としての自覚を持ってほしいのですけれど!」


 優雅に扇子を閉じながら、医者伯爵の女帝様は、本音を口にしました。

 自由奔放なフリードリヒ二世伯爵に、西地方の貴族として、きちんと領地に定住して欲しいのでしょう。


「おばあ様。医者伯爵家にとって、フリードリヒ親子はどのような存在なのか、お聞きしても、よろしいですか?」

「西地方の大恩人ですね。フリードリヒ親子がいなければ、ここまで西地方が復興、発展することはできなかったでしょう。

戦後から四年前までにかけて、西地方の復興のために寄付してくれた累計額は、春の国庫予算十年分にあたります。

この寄付をもとに、破壊された各地の都市再建が進んだのは、言うまでもありません」


 春の王妃様に抱っこされている、オデットからの質問に、女帝様はスラスラと答えました。

 ちらりと視線を動かして、分家王族の当主をみやります。鉄面皮のネロ公爵当主は、しぶしぶ口を開きました。


「ネロ。あなたにとって、フリードリヒ親子はどのような存在ですか? 西地方の貴族の総元締めとして、答えなさい」

「……我が父が認めて、貴族の称号を与え、医者伯爵家が認めて、領地を与えた人物なのだ。人徳者であるのは言うに及ばず。

また、西地方の貴族の眼差しを見れば、尊敬を一心に集めているのは、一目瞭然。西地方の誇りなり」

「ホホホ。珍しく、わたくしと意見が合いましたね」


 扇子を優雅に広げ直し、女帝様は満足そうに微笑みます。

 ここで、ネロ公爵当主が、気に入らない返答をしていれば、容赦なく王族の戸籍を剥奪したと思いますよ。


 ちっ! 命拾いしましたか、ロリコン中年王子め。


「去年の夏、フリードリヒ二世伯爵は、初めて娘たちを連れて、西地方の領地に姿を現したと、報告を受けています。

娘がいるなら、婿養子を迎えて、領地相続をしてくれば良いものを。

娘を嫁に出すから、領地相続できないなんて意見は、わたくし、認めませんよ!

『医者伯爵家に領地を返したい』というのなら、わたくしのひ孫王子の誰かと娘を結婚させ、生まれた子供に領地継承してくれれば、円満に解決する問題です!」


 えーと……女帝様のひ孫王子たちって、最後の孫になる十八才のローエングリン様より全員が年上で、すでに結婚していたような?

 しかも、孫王子やひ孫王子たちは、貴族時代の名残で親からの独立を促され、さっさと結婚しました。

 現在、医者伯爵家の離宮で暮らしている、孫やひ孫世代は、ローエングリン様だけです。

 この結婚している方に、もう一人花嫁を迎えさせて子供を得る……すなわち、女帝様の玄孫やしゃごに領地を相続させるなんて、さすがに暴論すぎやしませんか? 西地方で暴動が起きますよ?

 ローエングリン様のお父君も、同じように感じたのか、女帝様に意見しました。


「母上。医者伯爵家が、次代の国王になりうる子供を輩出する条件が、西地方の領地をすべて手放すことでした。

それをくつがえし、取り戻そうとするなど、春の王族として、貴族たちに示しが付きません。

没落した世襲貴族が、現在の領地を治める新興貴族に、領地を返せという事態が起こりますよ?」

「それは、わかっています。けれども、フリードリヒ二世伯爵は、オデット姫に譲ってもいいと発言したようですからね。

雪の国の王女である、オデット姫の領地になるということは、雪の国に春の領地を渡すということになるのですよ? 

それならば、フリードリヒ二世伯爵の娘と結婚させた方が、春の国の将来のためになりましょうね」

「母上のひ孫王子は、全員、既婚者です。新しく側室を迎えろと?

去年の夏、西地方で行われた商務大臣主催のお茶会や夜会に、医者伯爵家の代表として出席した甥は、『フリードリヒ二世伯爵の双子の娘は十四、五才に見えた』と報告してきました。

年齢から考えて、我が医者伯爵家で一番釣り合う人物は、我が息子ローエングリン。オデット姫と婚約中のローエングリンに、もう一人婚約を結ばさせ、側室を迎えろと?

雪の国が許すとも、思えません。それこそ、四年前に結び直した軍事同盟が破綻します!」


 気難しい顔をしながら、女帝様と対等に意見交換する、王宮医師長。それどころか、女帝様を言い負かしかけましたからね。

 女帝様に押し負け、絶対服従する姿を見せた、西の公爵当主とは、正反対です。

 春の貴族たちは、堂々としたダンディな王子様に、尊敬のまなざしを向けました。


 そこら辺のシリアスな空気を、まるっと無視して、春の王太子は、こそこそと尋ねてきましたけど。


「おい、アンジェ。フリードリヒ親子は、何者なのだ? そろそろ、正体を明かせ」

「フリードリヒ一世は、義勇軍に所属し、後方支援を担当しておられました」

「ほう、義勇軍の出身なのか! アンジェが正体を知っているわけだ」


 私の父方の祖父は、義勇軍の総大将です。フリードリヒ一世は、おじい様の部下みたいなものだったんですよ。

 部下より、もっと気安く、一番頼れる相手でもありましたけどね。


「後方支援担当と言うことは、騎士では無いのか? 義勇軍は、湖の塩伯爵家で訓練された、平民たちなのだろう?」

「フリードリヒ一世は、騎士の修行をしておりません。彼は、一応、商人の家系ですからね。

戦争の間は、義勇軍の装備を一式揃えたり、裏切り王子に食料補給を断たれていた、西と南地方の騎士団に、食料供給する役目を引き受けられたと、お聞きしております」

「へー、義勇軍出身なんだ! 話してみたいな。最前線で戦っていた騎士たちからは、良く話を聞いてたけど、後方支援部隊なんて珍しいよ♪」

「ロー様。戦争時代、春の国所属の騎士団には、後方支援が存在していなかったはずですけど?

その後方支援を請け負ったのが、裏切り王子に荷担した、裏切り者の貴族ばかりなんですから。そこの西の侯爵家の先々代当主とかね」

「……まあね。それでも、戦争を知る、おじい様世代の方々の話は興味深いよ。

深き教訓を得て、戦争は繰り返してはいけない歴史だと、再確認させられるからね」

「よりによって、そこの西の侯爵家の現当主と娘が、雪の軍神一族である、雪花旅一座を侮辱して、春と雪の国は、戦争開幕寸前ですけどね。

さすが、医者伯爵家の王女殿下が、野蛮な獣と呼ぶ、忌まわし血筋だけありますよ。

低知能の獣らしく、人間のような学習能力が、全然見受けられませんからね」


 会話に割り込んできた、ローエングリン様に相づちを打ちながら、妹の恋敵の家を、堂々と侮辱してやりました。

 赤毛のおじ様が睨みをきかせているので、彼らは怖がって、口を開くことができません。私のやりたい放題です♪


「あ、フリードリヒ二世には、息子居ないわけ? もし居たら、跡継問題とか、自分(ぼく)の側室問題とか、解決するんだけど」

「……ロー様。フリードリヒ二世殿は、領地相続をしたくないんですよ。今みたいに、またお家騒動が起きますからね。」

「また? またお家騒動? フリードリヒは、平民の血筋では無いのか?」

「あっ! ……レオ様、今の私の発言、忘れ……」

「忘れるわけなかろうが! 本当は、平民では無く、貴族なんだな!?」

「……平民ですよ。フリードリヒ殿は、本来ならば受け継ぐべき領地を乗っ取られた、元貴族の家系です」

「乗っ取り? おい、どういう事だ!?」

「……とある国に、正式な当主に当たる祖父が殺されて、受け継ぐべき領地と、後継者の証の名前を、奪われた人物がおりました。

その人物の血を受け継ぐのが、フリードリヒ二世殿です。

ご自分の子供の代で、同じような事を起こしたくないから、頑なに西方の貴族として行動するのを拒むのですよ」

「むっ? 当主が殺されたと言うのなら、王家に訴えて、奪われたの領地を取り返す事も、可能であろう? 正当な血筋なのだから」

「……殺された祖父母は、不幸な事故で亡くなったとして処理されたと、お聞きしています。

お家乗っ取りした相手はずる賢く、簡単に自分の味方を増やす、卑怯な方法を知っており、先手を打っていたんですよ」

「貴族が味方を増やす、卑怯な方法? ……ふん、賄賂か。自分より身分の高い者へ、賄賂を贈って、取り入ったんだな!」


 ……いやはや。性格を熟知している親友って、ある意味、思い通りに動かしやすいですね。

 春の国の商務大臣の作り上げた、「賄賂を増やすカラクリの話」がレオ様の頭をよぎったようで、すぐに賄賂説を挙げてくれました。

 

「では、ここで質問です。殺人を事故として処理できる方法って、レオ様は、どんなものを思いつきますか?」

「むっ? なかなか難しい問いかけだな……賄賂のヒントから考えれば……。

一番上なら父上のような国王、一番下なら死体を調べる騎士や医者、真ん中なら法務大臣を抱き込むとか」

「えー、もう正解にたどり着いたんですか! 悩むと思ったのに……どれだけ、万能の頭脳なんです!?」

「……待て。その驚きようは、なんだ? お家乗っ取りした悪党は、冗談抜きで、国王を抱き込んだのか!?」

「正確には、事故を調べた、地方騎士団所属の騎士。

国王に提出する、当主夫妻の死亡原因の書類を書いた、医者。

法律に基づき、新しい当主を指名する責務を負った、当時の法務大臣。

国王代理を名乗ることを許されていた、王族の権力者。

簡単にまとめれば、レオ様の指摘した人物全員を、悪党は賄賂で自分の味方にしたわけですね」


 私の明かした正解に、思わず「驚愕」の視線を寄越す、春の王太子。

 ハンサムなお顔を、思いっきり仏頂面にして、心底不機嫌な声を出しました。


「……待て。待て、待て! なんだ、その腐りきった国は!? 最悪じゃないか、生き地獄だぞ!」


 王太子のはとこ王子は、ある事に気づいたようです。

 医者伯爵の次期当主ローエングリン様は、顔色を悪くしながら、私たちの会話に割り込みました。


「あのさ、レオ。嫌な事を思いついちゃったんだけど……。

フリードリヒ二世伯爵が、今も我が国の新興貴族に名を連ねているって、大問題じゃない?

春の国の新興貴族って言うことは、『今も腐りきった国がこの世に存在していて、フリードリヒは祖国に戻れず、正統な跡取りを名乗れていない』って事、だよね?」


 ロー様の指摘で、ピシッと凍りつく会議室。

 真っ先に発言したのは、思わぬ人物でした。


「アンジェリーナ。どの国なのだ!? そのような腐りきった国、わしも把握しておらんぞ!」

「いくらおじ様でも、内緒です。フリードリヒ二世殿は、ローエングリン様がご指摘されたように、祖国で正統な血筋と認められておりません。

すなわち、今も命の危機にさらされており、正体を明かしたとたんに暗殺される可能性がありますので、内緒です」


 およ? まさか、おじ様まで、食いついて来るなんて!

 あの表情は、本当に焦って、聞いて来ていますね。大漁、大漁♪


 私とおじ様の会話を聞いて、生唾を飲み込む、春の国王陛下。


 視線を険しくして、私を見つめながら、扇子を広げてて思案にくれる、医者伯爵の女帝様。


 鉄面皮の眉間にシワを刻み込み、私をガン見してくる、西の公爵当主などなど。


 春の王族の大人たちは、事情を知っているっぽい私に対して、どのように問いかけるか、考えあぐねているようでした。

 先ほどおじ様を軽くあしらって見せたように、大人顔負けの理論展開をする、口達者な子供ですからね、私は♪

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