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161話 当て馬娘の退場、その4 異端の王子様の主張です

 妹が暴走中。私は傍観中。

 日頃の控え目な姿からは想像できない、ものすごい剣幕です。


 私の知らなかった新情報が、妹オデットの口から飛び出しました。おそるおそる、暴走する妹に声をかけます。

 

「オデット。その男爵令嬢が流した『春の王家をおとしめるウワサ』とは、何ですか?」


 私の声かけに、妹は体の向きを変えました。

 おじ様に抱っこされている私を見上げながら、返事します。


「何でも、『春の王女は、じゅんけつを失っている』らしいですわね。

半月前に春の王宮についた翌日、医者伯爵家にお泊まりしたとき、医者伯爵のおじい様との会話で話題にでましたの。

どういう意味で言ったのか聞き返すと、医者伯爵のおじい様は、大慌てしておられましたわ。

以降、何度尋ねても、はぐらかすので、詳しく聞けておりませんけど」

「アンジェリーナ、オデット! 子供のお主たちが知らなくても良い言葉だ! すぐに忘れよ!」

「おじ様? 何を慌てているのですか?

『じゅんけつ』って、高貴なる王家の血筋のことですよね?

難しい言葉だとは思いますけど、それくらい理解できます。王家の純血は、王位継承権に関わることですからね。

末っ子のエルには、まだ理解できない概念だとは思いますけど……」

「まあ、おじ様ったら! 私やお姉様を、また小さな子供扱いしましたわね!?

いくらなんでも、『純粋な本家王家の血筋』を指す『純血』くらい、知っておりますわ!

医者伯爵のおじい様も、私を小さな子供扱いして、理解できないと思い、ごまかしておられましたのね」

「な、なんだ。二人とも、もう知っておったのか。

そうだ、王族の血筋を指す、純血だ。

子供、子供と思っておったが、王家の血筋の概念を理解できるほど、成長したのか。わははっ!」


 私と妹に軽くにらまれ、おじ様は豪快に笑ってごまかします。

 おじ様と言い、医者伯爵家の大人たちと言い、私たちを子供扱いしないで欲しいものですね!


「……そっちの純血に落ち着いたのか。良かったぞ」

「ええ、その点は同意します。ローも、安堵の表情をしていますよ」


 ……春の王太子レオナール様といとこのラインハルト様は、妹と東の男爵令嬢の方を見ながら、コソコソ話をしています。

 最後は、妹の婚約者、ローエングリン様をご覧になられました。

 

「ミケ、ジャック。あなたたちは、ずいぶん落ち着いておりますね。

もしかして、ウワサを知っていたのですか?」

「えっ……うん。ほら、僕らは、北の名君の後継者だから! ねっ、ジャック?」

「そうそう! 俺とミケは、北の名君の愛弟子だせ?

師匠の知ってるウワサは、俺とミケも知ってるって」

「姉さんに教えないと決めたのは、おじい様だからね! 僕たちは、悪くない!」

「おう! 俺たちは悪くない!」

「そうですか。おじい様の……北の名君の命令なら、騎士見習いのあなたたちは従うでしょうね」


 私に不意討ちされた弟ミケランジェロと、はとこのジャックが、取り繕いながら話しているのが分かったので、それ以上、突っ込むのを止めました。

 軍事国家の王子として育てられている弟たちは、おじい様に口止めされたら、絶対に黙っているでしょうからね。


「……医者伯爵家の場合は、オデットが問い詰めて言い逃れできなくなり、仕方なく作戦に関わらせたと言うことでしょうか?」

「そうなんだよ、姉君。こっちは完全に自分(ぼく)のおじい様のミス。

半月前、医者伯爵の離宮へ、初お泊まりにきたとき、北の名君から密命を受けていると思って、おじい様は話しかけたらしいんだ。

まさか、何にも知らされていないと思わなくてさ」

「何も知らないから、きちんと調べましたわ」

「オデットが調べた上で参加したのなら、問題ないのでは?」

「……それなんだけど……おじい様がミスした五日後、オデットが王家に反逆しそうな貴族の情報をまとめて、おじい様の所へ持ってきたんだ。

そこには、医者伯爵家が情報収集中だった、西の侯爵家や子爵、東の男爵家の悪事が、三年前のことまで細く記されていた。

おじい様は度肝を抜かれて、言葉を失ったんだよね」

「あら。『北の名君の監視網』を使えば、情報を集めるくらい簡単ですわよ?

三年前にウワサが流れたときから、おじい様は、西の侯爵家や東の男爵家を警戒しておりましたもの」

「あのね。成人していない子供が、国家転覆に関する決定的な証拠を揃えるなんて、異常なの! それも、たった五日で!

これを知った医者伯爵家の全員が、戦慄したよ」


 ロー様は、眉を寄せながら、あきれた声を出しました。

 妹は東の男爵令嬢に背を向け、雪の天使の微笑みを浮かべて、受け流します。


 ……本当に、恋する乙女は強いですよ。

 医者伯爵家の役に立ちたい一心で、妹は情報を集めたんでしょうね。


「……オデットは、北の名君の血筋を、色濃くひいておるようだな。

詳細な情報を元に、軍師一族が作戦を立てれば、見破れる者は皆無であろう。

わしですら、反逆者たちを泳がしていたのが、医者伯爵家の作戦と気付かなかった。

ローエングリン王子殿下に言い寄り、オデットとの仲を邪魔すればするほど、『春と雪の軍事同盟を破棄させようとする、国家反逆罪』を積み重ねることになる。

……まこと、末恐ろしい、ひよっこたちだ。生まれてくる子供も、希代の名軍師に育つであろう」


 軍人のおじ様は、しみじみと感心した声を出しました。そのあと、豪快に笑います。


 オデットとロー様は、おじ様の方を向くと、直立不動の姿勢になりました。

 二人とも、右手で拳を作り、拳を左肩近くに当てながら、右手を胸にくっつけます。

 オデットとロー様は自分達の作戦を評価してくださった、偉大なる軍人に、騎士の敬礼をしたんですよ。


 ……それにしても、私には考えることが増えました。


「『春の王女は、純血を失っている』ですか……。

しかも、このウワサを流すように指示を出したのが、西の侯爵家。春の王女ファム嬢の母親の実家です。

ウワサを言い換えると『ファム嬢は、春の本家王家の血筋を失っている』と、言うことになりますね。

王女の血筋を全面否定するウワサを流すなんて、西の侯爵家は、何を考えているのでしょうかね?」

「お姉様。私はお会いしたことありませんけど、西の公爵王女殿下は、ウワサ通り、ご両親に似ておりませんの?」

「あー、ファム嬢は、森の王家の先祖返りだそうですからね。

内面の性格や嗜好は……父親より、母親似かもしれませんけど……」

「……お姉様が言葉を濁すなんて、珍しいですわね?」

「オデット。ここにいる赤毛のおじ様と、金髪の雪花旅一座の座長夫妻は、血の繋がった親子です。

ですが、外見だけを見比べたら、誰も親子と信じないでしょう。

おじ様は海の王家の血筋が出たので、海の王族を見たことある人なら、髪の色がそっくりだと、納得してくれると思いますけどね。

先祖返りとは、そんな存在だと思っておきなさい」


 私が具体的な例をあげると、周囲の貴族たちは、去年の夏に、春の国にやってきた、海の第一王子を思い出すような仕草をしました。

 そして、おじ様に視線をやり、「ああ」と軽く頷く動作をしています。

 先祖返りと言う存在を、しっかり認識したことでしょう。


「去年の秋、森の国の第三王子殿下が来られたので、春の王宮の方々は、森の王族もご覧になっております。

ファム嬢と森の王子はそっくりだと、皆さん、言っておりました。

森の第三王子は帰国するときに、我が家の藍染反物を求めて領地へ向かわれたので、オデットたちもお会いされましたよね?」

「ええ、お会いしました。公爵王女殿下は、森の第三王子殿下のような、茶色のお姫様ですのね……」

「はい。普通では、金髪の父親と銀髪の母親から、茶髪の娘が生まれるなんて、考えもしないでしょうね。

私たちは、おじ様という先祖返りが身近にいるので、不思議に思いませんけど」

「……公爵王女殿下の母方のおじい様は、孫娘の外見に納得できず、あのようなウワサを流したのかもしれませんわね。

それでも、娘の生んだ子供をかわいがらず、おとしめることを言うなんて……。

確実に西の侯爵家の血を持つ子供ですのに、見捨てるような真似をするなんて、信じられませんわ!」


 あ、妹が違う方向に暴走を始めた。


 ファム嬢をかばうなんて、予想外ですよ。

 実物を見たことがないから、かばえるんでしょうけど。


「オデット。 異端の外見は、保守派の貴族に受け入れられにくい。

だからこそ、わしは孫娘を春の王族として認めぬ、春の西の侯爵家の態度に納得できる」

「おじ様は、生まれたときから、雪の王子として認められていたと聞きますわよ!」

「わしの場合は、母親が女系王族の王女だった部分が大きい。王女の生んだ子供は、王家の血を持つ法則が適応されるゆえ」

「公爵王女殿下の母方、西の侯爵家とて、春の王家の血を持ちます。

両親が春の王家の血を持つなら、王女として十分ですわよ!」

「……まったくもって、聞き分けのない娘だのう。

先祖返りを証明するには、祖先の血筋の根拠が必要だ。近ければ、近いほど、国民は納得する。

だが、森の国とは、百年近く血のやり取りをしていないと、レオナール王太子殿下は、ハッキリおっしゃられたぞ。

先祖返りの血筋の根拠がとぼしいから、そこに居る下位貴族の男爵階級の小娘にすら、公爵王女殿下は侮られたのだ」


 おじ様は、妹の恋敵をあごで指し示しました。

 反論材料が無いのか、オデットは口元をへの時にまげ、おじ様を見上げます。


 見かねた私は、おじ様に合図して、下に降ろしてもらいました。

 おじ様はオデットに近づくと、私のように右手で抱き上げます。


「オデット。わしが、雪の国で王子として受け入れられた理由の一つは、近い祖先に海の王族がいたことだ。

わしの父方のひいおばあ様に当たる、雪花旅一座の座長夫人は、海の王家から嫁いできた、海の王女だったゆえ。

母上が赤毛の子供を生んでも、医者伯爵家は疑問に思わず『海の王家の先祖返り』と、すぐに判断してくれた。遠い祖先になる、春の八代目王妃も、わしと同じ容姿の肖像画が残されておったのも、根拠の一つだが。

春の医者伯爵家が明言したから、雪の国でも、国際社会でも、先祖返りの王子の存在は受け入れられ、わしは雪の王子の戸籍を持てたのだ」


 おじ様が体験談を語っても、妹は納得できない顔つきをしています。


「……雪の王子の戸籍を持っていても、実際に目にして王子と認められるのは、別の話になる。

保守派の貴族は、赤毛の王子を奇異の視線で見つめた。雪の国の王子としてふさわしくないとし、密かに排除しようとした。

わしが倭の国に一人で派遣されたのは、倭の反乱に巻き込まれて、死ねば良いと願う、保守派貴族のせいだ。

反乱を鎮圧して凱旋帰国したわしに、保守派貴族も、とうとう膝を折り、忠誠を誓ったよ。

わしは、軍神一族の王子として、ようやく雪の国に居場所を得ることができた。

オデット。わしの言いたいことが理解できるよな?」

「……その国の王族として認められるには、自分で道を作らねばならないのですね?」

「そうだ。オデットは、先ほど、そこの反逆者の小娘の所業を、暴露した。

湖の塩伯爵のひ孫として、恥ずかしくない実力を見せたから、春の王家の色を一つも持たずとも、医者伯爵の花嫁として春の国民に認められようぞ」


 聞き分けのない姪っ子を、おじ様は、気長にさとします。

 オデットは、ちょっと落ち着いたのか、コクンと首をたてにふりました。


「しかし、西の公爵王女殿下は、まだ実力を示しておらん。

むしろ、国際社会に名前をとどろかせた理由は、春の国の恥になること。

これでは、保守派の春の貴族は、春の王族として認めてくれんだろうな。

無期限の留学と称して、王位継承権を放棄した上で戦の国へ追いやられたのは、保守派貴族の影響だと思うぞ」


 自分で、自分の居場所を作ったおじ様の言葉は、重い響きを伴います。

 春の貴族ですら、雪の王子の発言に、静かに聞き入っていました。


 ……まあ、王位継承権を放棄するように、春の保守派貴族を裏で操ったのは、ラインハルト様だったりするんですけどね。

 宰相の息子でもあるライ様は、政治手腕が同年代の三人の王子の中で、ずば抜けていますから。

 将来の春の国で、政治の表を牛耳るのが国王のレオ様なら、政治の裏を牛耳るのは宰相のライ様でしょう。


「だが、王族を排除しようとする過激な保守派貴族など、王家の忠臣とは呼べぬ。そこに居る小娘が良い例だ!」


 おじ様は、ギロリと妹の恋敵を睨み付けました。

 視線につられて、東の男爵令嬢に視線が集まります。


「王族を支えるべき貴族が、己の都合だけで、王族をないがしろにした。

王族の長である、国王の判断も仰がず、勝手に行動した。貴族の自己判断で、勝手に行動し、王族を排除しようとした。

これが忠臣のやることか? 王家を支える貴族のやることか?

そこの小娘の家しかり、西の侯爵家しかり。

お主たちがやっていることは、四年前に内乱を起こした、雪の南の公爵家となんら変わらん! 忠臣どころか、反逆者だ!」


 おじ様は本気で怒っているのか、怒鳴り声にも、睨み顔にも、迫力がありすぎます。

 男爵令嬢だけでなく、王妃候補たちも、周囲の貴族たちも、男爵令嬢を捕らえていた近衛兵ですらも、すくみあがりました。


 そこはかとなく漂い始める、お手洗いの匂い。

 周囲の人々は、顔をしかめたり、鼻をつまんだりしながら、元凶を見ます。

 東の男爵令嬢は、大勢の前で赤っ恥をかきながら、とうとう意識を消失しましたよ。


「うん? 意識を失ったのか? 軟弱な小娘め!

おい、お主たち、バケツに水をくんでこい。こやつにかけて、不快な匂いを洗い流すついでに、たたき起す!」

「はいっ、将軍閣下!」


  おじ様の怒声におされ、王太子の近衛兵二人が走りだしました。


「おじ様、ストップ! ここは春の国です、雪の国ではありません!

勝手に命令しないで! 近衛兵も止まって!」


 とっさに叫ぶと、一人の近衛兵は立ち止まりました。が、もう一人は、そのまま遠くに行ってしまいました。

 立ち止まり、微妙な顔つきで戻ってきた騎士に、軽く怒ってしまいます。


「なんで、勝手に行動するんですか!? あなたたちの主は、王太子でしょう!」

「いやその……将軍閣下に命じられるとつい、条件反射で」

「将軍閣下? ……おじ様。この近衛兵を覚えていますか?

四年前、おじ様が捕虜にした春の騎士ですけど」

「うむ。この者は、春と戦の戦争の影響で没落した、西地方の男爵の血筋だ。

走り去ったほうは、同じく没落した子爵の子孫だったはず」

「将軍閣下は、我らの事を覚えてくださっているのですか!?」

「無論だ。捕虜にした全員を覚えておるよ。

たった半年間の付き合いだったが、お主たちは最後まで一人も脱落せず、わしの訓練についてきた、根性ある弟子だからな。

そして、お主のような没落貴族の子孫は、祖先についても、北の名君から聞いて知っている。

例えば、お主の祖父は、西の辺境伯領地を乗り越えてきた狂える王の軍勢と戦い、辺境伯領地に押し戻した所で力尽きた。

走っていった者の曾祖父は、最終決戦のとき、当時の春の国王を、狂える王の凶刃から身を呈してかばい、命を落とした」


 おじ様の説明に、周囲の春の貴族が、どよめきました。

 他国の王族が、没落した男爵や子爵の家のことまで知っていると思わなかったのでしょう。

 少なくとも、この場にいる春の貴族たちは、没落貴族のことなんて、頭の片隅にもありませんからね。


「祖先の後を継ぎ、春の王家に仕える騎士になったお主たちのことを、天国で誉めておると思うぞ」

「そこまで、我らのことを知って……」


 近衛兵は、即座に騎士の敬礼を取りました。感極まった顔つきになり、今にも嬉し泣きしそうです。


「将軍閣下のような上司を、自分は持ちたかったです!」

「何を申すか! 西の狼の元で働ける、お主の方がうらやましいぞ! わしの尊敬する将軍の一人なのだから」

「なんとも、身に余るお言葉を……。

ですが、将軍閣下のおかげで、我らは近衛兵になれたのです。このご恩は、一生忘れません!」

「近衛兵にまで上り詰めたのは、お主たちの努力の成果だ。胸をはって、己の努力を誇るが良い!

それから、わしを将軍閣下と、もう呼ぶな。近衛兵のお主の主君は、王太子殿下であろう?

騎士が仕える主君を見誤ってはならぬ。お主が剣を捧げるのは将来の春の国王であり、命をかけて守るべき対象は春の国民なのだ」

「将軍閣下……」

「思い出せ。お主の属する春の西地方は、戦の国との戦いで命をかけて春の国を守りきった、お主の祖先を含む数多の英雄が寝る土地。

お主たちは英雄の子孫として、『西の狼』を支え、新しい武官の世襲貴族を育てなくてはならぬ。

先人たちの思いを引き継ぎ、次代の新たな騎士に伝えよ。西地方の騎士の誇りを胸に生きるのだと!」

「はい、将軍閣下!」

「だから、将軍閣下と呼ぶなと言うっておるのに。まこと、強情なやつだのう。わはは!」

「紅蓮将軍閣下は、生涯の師匠です!」


 おじ様は、私の妹を抱っこしたまま、のっしのっしと近衛兵に近づきました。大きな左手で、近衛兵の背中を叩いてやります。

 近衛兵はよろめきながら、誇らしげに笑いました。


 遠くから、おじ様を呼ぶ声が聞こえます。戻ってきたレオ様の近衛兵が、声を張り上げていました。


「閣下! 将軍閣下! 水を持ってきました!」

「うむ、ご苦労であった!

レオナール王太子殿下。反逆者の小娘に、水をかけて叩き起こしたいのだが、許可をいただけるだろうか?」

「……構いません。許可します」


 おじ様に、突然話をふられた春の王太子は、すました顔で短く答えます。

 このときばかりは、圧倒的なカリスマを持つレオ様も、霞んで見えましたね。


「……異端の外見でも、偉大な王族が居るのに、我が国は……」


 そっと様子を伺うと、軽くうつむく、レオ様の姿がありました。

 盛大に、ぶちまかれた水音で、春の王太子のつぶやきは、誰にも聞き取れませんでした。

春の王子様たちを押し退けるほど、光る名脇役。

アンジェリーク秘書官の母方の親戚、赤毛のおじ様。

紅蓮将軍の本名は、「ウィリアム」と言います。


名前の元ネタは、オペラ「ウィリアム・テル」の主役、弓の名手「ウィリアム・テル」より。

息子の頭に乗せられたリンゴを射ぬいた話は、世界的にも有名。


ちなみに、紅蓮将軍の若い頃の話は「紅の炎、燃え立つ」にて、不定期連載中です。


……なんでって、久しぶりに戦闘シーンが書いて見たくなったから。

今でこそ、陰謀と恋愛系の話を書いておりますが、大昔はファンタジー世界の戦闘シーンばっかり好んで書いていた、アクション畑の出身なのです。

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