159話 当て馬娘の退場、その2 王子様たちは、男爵令嬢を敵認定しました
人垣が割れ、道が作られるのが見えました。
若葉色の肩マントをなびかせながら、医者伯爵家の次期当主ローエングリン様は、人垣の中の道を歩きます。
「ライ、雪の王子殿下たちをご案内してくれ。
それから、僕の婚約者候補たちも、こっちへ来るがいい」
春の王太子であるレオナール王子は、いとこのラインハルト王子に声をかけます。
赤毛のおじ様に抱っこされている私には、レオ様の声に、困った王家の微笑みを浮かべたライ様が、軽く頷く姿が見えました。
「ミケランジェロ、オデット。私たち五人姉弟が『善良王の直系子孫であり、春の王位継承権を持つ雪の王族である』と未だに知らなかった、無能な春の貴族たちへ、知らしめるときが来たようです」
レオ様たちより先に、弟と妹へ、軽く状況説明しました。
ミケとオデットを強調することで、弟の隣に居た、はとこジャックの身分は知れ渡っていないと教えます。
ミケとジャックは顔を見合せ、目配せしていたようです。
……やんちゃ坊主たちが、一瞬、嬉しそうな表情を浮かべました。イタズラを思い付いた顔つきですね。 ジャックの身分「雪の国、西の公爵家の王子」を、効果的に披露するタイミングは、ジャック本人に任せると、私が言外に言ったことを、読み取ったのでしょう。
やんちゃ坊主たちから目を離し、 倒れそうな顔色になっている、王妃候補たちに目を向けました。
レオ様に呼ばれましたが、恐怖で足が動かないようですね。
ただ一人、南地方の男爵令嬢だけは、私たちに申し訳なさそうな表情を浮かべておられました。
「財務大臣の孫娘殿。あなたが、気に病む必要はありません。
あなたは王妃様に頼まれて、私と同様に、王妃候補たちの資質を見届ける役目を帯びていたのでしょう?
そして、王妃に相応しい存在になれるように、それとなく助言して誘導していた。違いますか?」
「……雪の天使の王女殿下。その通りでございます」
「あなたの助言を無視したのは、東地方の男爵令嬢です。
ローエングリン様に色目を使い、目をかけてくださった春の先代王妃様と、レオナール王太子殿下を裏切る選択をしたのは、男爵令嬢自身です。
あなたには、何の落ち度もありません。気に病まないでください。
さあ、こちらにどうぞ。レオナール王太子殿下のはとこ殿」
「……ご存知だったのですか?」
「春の国は、父方の血筋しか重視しませんが、雪の国では母方の血筋も重視します。
特に、私の属する東の公爵家は、王女が代々当主を勤める、世界でも珍しい女系王族。
それに、周辺国家の王族の親戚を把握するなんて、王族の一員ならば、当たり前のことですよ♪」
父譲りの眼力を引っ込め、人懐っこい雪の天使の微笑みを浮かべます。
負けたとでも言うように、財務大臣の孫娘殿は、一歩前に進み出ました。
孫娘殿に合わせるように移動したのが、春の王族で有数の色男です。
「お手をどうぞ、我が親戚殿」
「ラインハルト様。親戚回りと言えども、エスコートされるのは、ご遠慮しておきますわ。
わたくしの将来の伴侶は、外務大臣です。宰相では、ありません」
「おやおや、手厳しいですね。
王子として、貴族の娘をエスコートするのは、当然だと思っていたのですが」
「要らないと申しております。
後ろにいる、東の男爵家の方でも、エスコートしたらいかがですか?
レオナール様やローエングリン様に話しかけるときのように、だらしなく口を開けて、ヨダレを足らしながら、喜んでくださると思いますわ」
「……エスコートする相手を選ぶ権利は、私にもあるんですよ」
「あら。いとこの側室候補には、手を出しませんの。賢明な判断ですわ。
わたくしも、ラインハルト様が血迷って、はとこ王子の側室候補に手を出しておられたら、アンジェリーク王女殿下と結託して、あなたをやり込めましたわよ?」
チクりと嫌みを言われて、気まずそうに視線を泳がせる、ライ様。
エスコートしようと差し出した手を、そうっと引っ込めました。
「……いやはや、優秀な頭脳の持ち主である、あなたを私の妻の一人にしようと思って、父上にかけあったのは、本気だったからですよ?」
「将来の王妃筆頭候補のクレア様を、諦めるための口実でごさいましょう?
四年前、クレア様がラインハルト様の恋人であったことぐらい、同世代の貴族令嬢は知っていましてよ。
残念ですけれど、わたくし、ラインハルト様のような臆病者は、好みではありませんの。
花嫁候補など、こちらから、お断りいたしますわ!」
財務大臣の孫娘殿は、ツンと顔を反らしたあと、レオ様の方を見ました。
正確には、レオ様の近くに控えている、王太子の側近をご覧になっています。
王太子の側近は、裏返った声を出しました。
「……レオ様、将来の外務大臣の伴侶って!?」
「すまん。黙っていて、悪かった。僕の母方のはとこが、お前の花嫁予定だったんだ。
将来の王妃候補を監視する役目を、母上が頼んでいたから、僕が婚約者を決定するまでは、紹介できなかった。許してくれ」
レオ様は、幼なじみの親友兼王太子の側近である、外交官の子息殿に頭を下げました。
頭を上げると、子息殿の背中を押し、将来の花嫁の所へ向かわせます。
おっかなビックリ、財務大臣の孫娘殿に近づいた、外交官の子息殿。
なんとか手を伸ばし、エスコート始めます。挙動不審な言動をしながら。
「えーと、その……キミがボクの花嫁さん?
こんなに近くに居たなんて、思わなかったよ」
「わたくし、かなり、アプローチかけておりましたよ?
王妃教育が終わった後、いつも、話しかけに行ったではありませんか!」
「ゴメン」
「わたくし一人だけ、南の海の言葉の特別授業を受けることが決まったとき、覚える自信が無いと弱味を見せた相手は、あなただけですよ!」
「気づかなくて、本当にゴメン!」
おおう、外交官の子息殿が押されています。
結婚する前から、尻にしかれそうだなと思ったのは、内緒にしておきましょう。
「あはは。色男のライも、恋する乙女の前では、形無しだね。
まあ、彼女の言動は、王家の親戚だから許される範囲だけれど」
私たちの近くまで歩いてきたロー様は、人垣の方を向きます。
お姫様抱っこしていたオデットを、ゆっくり床におろしながら、話しかけました。
「レオの母方のはとこの事、オデットも、知っていたよね?」
「はい。春の王宮に来てから、王族の親戚になる方々の戸籍を、春の国王様の許可を得て、調べさせてもらいました。
春の王妃様の母親の妹が、財務大臣の孫娘殿の母方の祖母になりますわね。
母方の祖母の血筋など、春の国では一番無視する親戚関係なので、春の国内で彼女の存在は、知られていないのでしょう」
「そうなんだよ。レオの父方の祖母……先代王妃様の親戚であるクレアは、有名なんだけどね。
現王妃様の親戚関係には、無関心な貴族が多くてさ。母方の血筋を無視して許されるのは、春の国内だけだよ。他国では通じない。
国際社会でも通用する、有能な貴族を探すために、貴族の力試しを兼ねて、レオとライの父上たちは、色々と裏でやっていたわけ」
いたずらっ子の王子スマイルを浮かべて、ロー様はオデットと楽しそうに会話されます。
「財務大臣の孫娘の存在に気付くのは、私やお姉様に課せられた、力試しの一つでもあったのでしょうけど……。
ローエングリン様も、何か、力試しを受けましたの?」
「うーん。春の王太子になる資格を得るために、自分に課せられたのは、『自分だけの力で、自分だけの天使を手に入れること』かな?」
謎かけのような言葉に、オデットは、小首を傾げます。
ローエングリン様は、照れ隠しのように、右手で自分の頭を何度も、撫でていました。
「一つ目の試験は、姉君のせいで、『平民の農家から成り上がった男爵家の娘』って思われていたオデットを、分家王族の次期当主である自分の正室として相応しいと、春の王族の大人たちや、春の貴族に認めさせること。
二つ目は、オデットの持つ雪の王族の戸籍を隠して、春の貴族の娘として輿入れできるように、雪の国を説得すること。
三つ目は、オデットの家族から、自分も家族と認めてもらうこと。
この三つが、自分の力試しとして、行われたんだと思うよ」
「まあ、たくさんありましたのね」
「うん。アンジェリーク王女殿下に、将来の義理の弟として、認めてもらうことから始めたね。
王女殿下を説得しないと、一つ目の善良王の直系子孫の血筋を押し出して春の貴族を説得することも、二つ目の雪の国を説得することもできないからさ」
「ローエングリン様の試験内容としては、適切だったと思いますけれど?
医者伯爵家は、春の国の軍事権限をすべて握る家です。次期当主たる、ローエングリン様の行動は、春の国のすべての騎士団に影響を与え、春の国の将来の軍事力に直結します。
軍神一族の王女と対話を重ねるのは、春の武官の世襲貴族に、ローエングリン様の有能ぶりを見せつけ、忠誠心を抱かせるには最適かと」
「……オデット王女殿下は、軍事国家の王族だけあり、自分の事情を理解してくれているから、ありがたいよ。
うちは、春の国で唯一の武官の世襲王族だからね。次期当主である自分の花嫁は、武官の血筋で無いと、春の国の未来の役に立たないんだ。
自分に言い寄ってきた、西の侯爵令嬢とか、東の男爵令嬢は、文官の世襲貴族。足を引っ張るだけのお荷物にしかならない。
役立ずなお飾りの花嫁なんて、医者伯爵家からお断りだね!」
語尾を強めたロー様は、王妃候補である、東の男爵令嬢を軽くにらみました。
ライ様に命じられて、オドオドと歩き出そうとしていた令嬢は、恐怖で硬直します。
「……ローエングリン様が花嫁に望んだ『騎士の中の騎士、湖の塩伯爵の血筋』は、雪の軍神一族、東の公爵家にしか、今では残されていません。
湖の塩伯爵の血筋を、春の国が手にするには、雪の国王様を動かす必要があります。
そして、ローエングリン様の身近に居た雪の王族は、お姉様ですわね。
それも、湖の塩伯爵の血筋を受け継ぐ、軍神一族の王女。医者伯爵家が切望していた、存在です。
ローエングリン様が交渉する相手としては、適切だったかもしれませんね。花嫁としても、最適だったと思いますけど」
「あれ? オデット、焼きもちやいてくれているの? 嬉しいな♪」
「そ、そんなことありませんわ!」
おじ様への挨拶も忘れ、二人の世界に浸る恋人たち。
「……熱いな。若い者のノロケは、情熱的で見ていてあきぬよ。二人の気が済むまで、気長に待とうぞ」
中年世代のおじ様は、大人の余裕で、楽しげな姪っ子を見守ります。
この間に、私の弟とはとこ、顔色の悪い王妃候補たちが、近くに移動してきました。
男爵令嬢は、ライ様の近衛兵が強引に歩かせ、移動させています。
「真面目に答えるなら、アンジェリーク王女殿下は、自分の中では、花嫁の対象にしていなかったんだ。
医者伯爵家が、春の王族として、雪の国との軍事同盟を強固にするための交渉相手として、受け止めていたよ。
姉君が天から授かった外交交渉の才能は、ライの母上が『百年に一人の逸材』と言い切るほど、素晴らしいからね」
「お姉様を説得するのは、医者伯爵のお父様が引退された後の事も考えて課せられた、試験でしたのね?
春の軍事トップになる以上、雪の国のみならず、他国との外交会談の場には、ローエングリン様が同席することになるでしょう。
元々ローエングリン様は、春の国王になることを見越して、育てられておりますもの。
レオナール様やラインハルト様の代理として、国王業務を任せられる場面も、これから出てきましょうね」
「……へー、オデットって、そこまで見抜いていたんだ?
将来の王妃候補たちより年下なのに、国政について明るいんだね。驚いたよ」
ローエングリン様は、心から感心した声をお出しになりました。
妹は、不思議そうな顔つきになり、小首を傾げます。
「オデット。現在の春の王妃候補たちは、王位継承権すら持たない、単なる貴族の娘です。
私たちのように、生まれついての王女ではありません。王族の娘と貴族の娘では、教育レベルに天と地ほどの開きがあるのです。
貴族の娘に必要なのは、王子様に見初められるための、淑女教育のみ。
王位継承権を持ち、国王位を継ぐ可能を持つ、雪の王女の私たちは、淑女教育に加えて、王太子に匹敵する学問も教えられます。
ゆえに、単なる貴族令嬢の国政や外交についての知識は、私たちの弟、十一才のラファエロにすら劣るのです。
早い話が、王族の女性の公務を『美しく着飾って夜会でダンスする』とか、『キャッキャッ、ウフフと笑いながら、楽しくお茶会をすること』と、勘違いしている者たちばかりなのですよ」
「……お姉様。そのような思い込みをしている者が、本当に王妃候補なのですか?」
「オデット。この前の王妃教育、特別授業の様子を思い出してみなさい。
我が家の末っ子のエルですら、王妃教育の一環で、机の飾りつけをするように、春の王妃様から個別指導をいただきました。
けれども、そこにいる王妃候補を誰一人として、王妃様は個別指導しませんでした。
すなわち、六才の隣国の王女より劣ると、王妃様は判断されたのです。
王妃様が失望した理由ですが……あの日、あの場所で、彼女たちが、どのような会話を交わしていたか、覚えていますか?」
「雪の使節団を歓迎する夜会で着る、ドレスの相談だったよね、姉君。
ドレスの色や装飾が被らないように気を付けるのは、貴族の女性の社交の一つとは知ってるけど……。
先代王妃様、現王妃様、王弟妃様と、本家王族の女性が三人も居る場でする会話じゃない!
レオのはとこや、王妃の側近候補たちは、冷や汗かきながら、王妃候補たちが特別授業に集中できるように促していたみたいだけど、無駄だったね」
私と妹の会話に割り込み、侮蔑を込めた王子スマイルを浮かべる、将来の義弟。
さりげなく、会話の主導権を握りましたよ。オデットを独り占めして、会話したいようですね。
「無駄な努力をさせられて、特別授業をきちんと受けられなかった側近候補とレオの母方のはとこには、生まれついての春の王女である、自分のおばあ様が個別授業を開いて、フォローしておいたけど」
「あら、王妃の側近候補の方々が、私と一緒にお茶会していた理由は、特別授業のフォローでしたの?」
「うん。お茶会の準備をしたって、全員が最初にオデットへ、説明していたよね?
あれも、王妃の側近になるための試験を兼ねていたんだよ。
春の国方式と雪の国方式。由緒正しき王家の正式なお茶会の準備を、どの程度覚えているかの試験。
オデットは、雪の王女だから雪の国方式は知っている。そして、春の王位継承権保持者だから、春の国方式も知っている。
ちなみにオデットが指摘した間違いは、自分のおばあ様も把握していて、医者伯爵家の花嫁として相応しいか、オデットを試す試験でもあったんだ。
もちろん、オデットは合格だよ!」
「王位継承権保持者が、王家の正式なお茶会の作法をすべて覚えていなくては、話になりませんわ。
ましてや、私は春の分家王族の次期当主……場合によっては、春の国王になるかもしれない男性に嫁ぐのです。
予期せぬ事態で、春の王妃や、春の国母になるかもしれない立場の花嫁。
春の国の品位を落とさないためにも、春の王族の女性たちに認められる知識と礼儀作法と、国政能力、外交能力を身につけなければなりません!」
「王族の花嫁になる女の子は……生まれついての王族は、根っからの覚悟が違うね。
遊ぶことしか考えない、おろかな王妃候補とは、根本的に違うよ」
ロー様は、ゆっくりと、王妃候補に目をやりました。
東の男爵令嬢に、鋭い視線を向けます。
「レオや先代王妃様を裏切った、反逆者の君は、王家の思惑が理解できていないようだね。
医者伯爵家は、自分が生まれたときに春の分家王族になった。
言い換えると、生まれたばかりの男児……自分を春の国王位を継ぐ、王太子として育てるために、分家王族になったんだ。
後から国王の一人息子のレオナールや、王弟の一人息子のラインハルトが生まれたけど、自分が王位継承権を持つ王子として、生まれたときから教育されている事実は、変わらない」
ロー様の言葉を引き継ぎ、本家王族の王子たちが発言します。
「……アホには、まだ理解できないようだな。
僕たち三人の王子のうち、誰が春の国王を継いでも問題無いように、僕らは等しく帝王学を学ばされた。
現在の春の国は、三人の王太子が居るのと同じ状態なのだ」
「四年前、北地方の平定戦で、私とレオが派遣され、ローは春の王都に残りましたよね?
あのときは、ローが王太子になる予定だったのですよ。
北地方の半分を占領していた軍事国家に対応できる、軍事に強い国王が必要でしたから。
レオと私が、北地方の平定に成功して、生きて王宮に帰ってこられたので、国王の一人息子であるレオが王太子になっただけです」
「ローも、王太子になれる資格を持つ。ましてや、春の軍事トップになる男。
そんな、重要な立場の男の嫁に、お前のような浮気性の女を選ぶわけなかろう! 身の程を知れ!」
「私がローの立場でしたら、王妃教育を真面目に受けず、王太子を平気で裏切るような娘なんて、死んでも伴侶にしたくありませんね。
オデット王女殿下のような、善良王の直系子孫で、由緒正しき他国の王族を花嫁に迎えますよ!」
腕組みしたレオ様は、氷の視線を東の男爵令嬢に投げ掛けていました。
ライ様も無表情になり、軽蔑の視線を向けます。
あの……ライ様? ロー様?
一時間前に「先代王妃様の勘違いで王妃候補にされた、東地方の男爵令嬢に同情する」と言ったって、レオ様から聞いていますよ?
それでも、このような態度を取ると言うことは……浮気する女性が、生理的に受け付けないんでしょうね。
まあ、レオ様が、男爵令嬢を毛嫌いしており、お飾りの側室にして、数年後に恥をかかせる長期作戦を立てているのは、先ほど知りましたけど。
そもそも、王太子のレオ様は、前回の婚約者候補たちに浮気されて、婚約予定が破談になりました。
いとこのライ様も、はとこのロー様も、レオ様が心から傷つき、嘆き悲しんだ様子を見ておられます。
半年ほど経ち、ようやくレオ様が立ち直られた所で、この騒ぎになりましたからね。
レオ様の親戚の王子様たちは、浮気した東の男爵令嬢を「レオ様を害する、王家の敵!」と、認定したことでしょう。
……いいぞ、もっとやれ! 精神的に追い込んでやれ!
東の男爵令嬢は、私の妹の恋敵でもあります。姉の立場として、ライ様たちを全力で応援しますよ!