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20XX年4月24日 "Apocalypse After"

20XX年4月24日 "Apocalypse After"("黙示録の後")




「……ハァ……ハァ……。」



俺はキャビンの中で苦しそうに息をしながら眠っている良の包帯を取り替えていた。



……ベッタリと包帯に張り付いた血を見る。少しずつ……黒くなっていっている様な気がする。


──操舵室にあった航海に必要な装置の殆どは、壊れていた。


……おそらく、良があのアンデットと戦った際に壊れてしまったのだろう。


新しい移動手段はもう……見つけていた。



──この島には、小型の飛行機が残っていたのだ。


これで……アメリカへ行ける。


……だけど、今の良では……とてもじゃないが、長い時間飛行機に乗る事に……耐えられないだろう。



「……良、ごめんな……。」



──全部、俺の責任だ。俺があの時……一緒に、連れて行っていれば……ッ。



「……違……う。颯のせいじゃ……無い……よ……。」



ふと……良の掠れた声が聞こえ、俺は驚いて彼を見る。


すると良は少し辛そうに目を開き……俺の事を見た。



「……お前のせいじゃ……ない。お前は……俺の事をずっと助けてくれて……守って……くれた。俺……弱いし、足手まとい……なの……にさ。」



そう言って良は力無く笑う。



「違う! 良は足手まといなんかじゃっ……。」



俺がそう良に向かって言うと、良は掠れた声で、



「……お前は……やっぱり……優しいな……。」



そう言った。



「……なぁ。颯……頼みたい……事が……あるんだけ……ど。」



「なんだ? 良? 」



少しの沈黙の後……俺がそう問いかけると、良は少し微笑い(わらい)……そして、言ったのだ。



「……俺がもし……化け物になったら……殺して……くれよ? 」



──と。



「……何、言ってんだよ。」



──いろんな感情が、込み上げて来る。



「……いいか、お前は助かる! 助かるんだ! 奴らに噛まれても生き残った人も居たってニュースでやってただろ!? だから……助かるんだよ! 」



……でも、助かった人達は皆……傷はすぐに塞がっていた。けど良の傷は今も……。



「……はや……て。」



良は力無くそう言う。



「なんだ? 良? 」



俺がそう良に問いかけると良は……俺の事を見た。そして……。



「もう十分……だよ。……お前は、生きて……くれ。 あり……がとな……。」



……そう言って良は、目を瞑った。



「……おい? 良? 」



さっきまで聞こえていたあの荒い呼吸の音はもう……無かった。


──俺はそれが何を意味しているかを、理解していた。……けど、理解したく無かった。



「……嘘……だろ。良……。」



俺は良の身体を揺する。






──すると良は、目を開けた。


あのアンデット達と同じ、白濁した目を。



「アァァァ……。」



意味不明な呻き声を上げながら良は俺の腕を掴み……噛み付こうとする。



「……ッ! 」



俺は良……いや、良の屍を振りほどく。


屍は倒れ……それから、起き上がってきた。



「……良。」



俺はそんな屍の眉間にハンドガンの銃口を押し当てる。



「……ごめん……な。」



そう言って俺は……屍の頭へ弾を放った。


銃声が止んだ時。


そこにあったのは頭を撃ち抜かれ、ただの遺体となった良と……キャビンに撒き散らされた腐った脳髄と血液の臭いだけであった。



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