20XX年12月25日 "Apocalypse Before"
20XX年12月25日 "Apocalypse Before" ( "黙示録の前")
「……はぁ? ありえないだろそんなん……。」
俺は心底呆れながらそう言った。
「いやいや!本当なんだって! 動画も見たんだぜ!? 」
俺が呆れている事など露知らず、同じ大学に通っている幼馴染の良は真剣な顔を俺に近づけながらそう言った。
「……大体さぁ、ゾンビ? そんなの居るわけないだろ……。」
──俺は心底呆れながらそう言った。
……ったく、世間はクリスマスムード一色でこんなに華やかでカップルが溢れかえってるってのに……俺は彼女もいなくてこうして訳の分からん事を真剣に喋ってる友達の話を聞いている、か……。
──……あぁ、泣けてくる……。
「だーかーらっ! 日本じゃほーどーきせーってやつでニュースにはなってねえけど本当だって! その証拠に最近いろいろ厳しいだろ!? 」
──……まあ、確かに最近空港の検疫がかなり厳しくなってるって言うし、大学で全員月一で健康診断受けさせられるよなぁ……、けど……。
「流石にゾンビなんてありえねぇって。」
そう言う俺に対し、良は少しイラついた様な声で、
「例の隕石が落ちた周辺で死んだ人間が生き返ったんだよ! それで生き返った奴らは人を食う様になったんだぜ!? それで食われたやつも蘇って……って、言う感じに増えて行ってるらしいんだよ! あとゾンビじゃねえって! いいか、向こうじゃアンデットって呼ばれて──。」
「ギャアアアアアァァァァァッッッ!」
「……へっ? 」
俺たちの頭は一瞬真っ白になった。
──何故かって?
答えは簡単。少し離れた席に座っていたすげえ具合の悪そうな婆さんがいきなり連れの爺さんの首に噛み付いて、その爺さんが血を噴水の水みたいに吹き出しながら断末魔の悲鳴を上げたら……ポカンとなるだろ?
……そして、俺は気がついたら良の手を強く握ってカフェの外にいた。
──周りにいる人はみんなパニックになってて、さっきまでいたカフェの中では爺さんの首に噛み付いていた婆さんと……噛まれた爺さんが、逃げ遅れたのであろう人を……喰っていた。
「……ぅっ。」
喉の奥から何かがこみあげて来る……けど俺は必死にそれを飲み込み……馬鹿みたいに口開けて立ち尽くしてる良の手を握り、逃げた。




