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プロローグ
住宅が建っている地区からかなり外れたところにある、残土・廃材によって埋め立てられた谷。
まだ埋め立ては完全に終わってはおらず、立ち入り禁止区域の最も奥には残土によってできた急勾配の崖がある。
そこに朽ちたバルコニーが逆さまの状態で打ち捨てられて鉄骨ががれきに引っかかり、オーバーハングした絶壁のようになっていた。
そのバルコニーは、ペンキも疎らにはげて錆びの浮いた手すりが、かろうじて付いていた。
河内 角成は午後の日差しに照らされながら、手袋を錆びだらけにしながらそこに宙吊りでつかまっていた。
「くっそお、なんでこうなるんだ? 魔女の杖ってそんなに貴重、……なんだろうな、僕がこうなってるんだから」
角成はこの日の午前のことを思い出す。
プロローグ 終
第一章 深い記憶
第一節 いい名づけ
に続きます。




