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38.見つけました





 私たちは今ルカ皇子が言っていた魔道具を盗んだ人物を見張っている。

 木の上から。

 何の冗談かと思うかもしれないが、ここが一番その人物を監視できる場所ところだ。

 一応ルカ皇子に許可ももらっている。



 けれどその対象の動きはない。

 部屋で一人になれば怪しい動きがあるかと思ったのだが、黙々と自身の仕事をしていただけだった。

 そこでやり方を変え、証拠となるものを探すことにした。



 簡単には見つからないこと覚悟をして部屋に忍び込む。ただ忍び込むのでは、もちろん見つかってしまう。

 そこで水と光魔法を合わせたものを自身の体の周りに発動させると、透明に見せることができるのでそれを使うことにした。

 例えるならば、理科の実験でやった光の屈折を応用したようなものだ。



 エミリーには木でそのまま待機してもらい、レイと私が水と光を合わせた(その)魔法を使い、転移で部屋に移動した。

 音をたてないように………怪しい部分がないか確かめる。




 『レイ、怪しいところあった?』


 『いや、まだない』



 それからしばらく探したものの、物を動かせるわけでもないので何も見つからない。

 疲れた………。

 対象が部屋から出ないと何もできない。

 そう思った私は、転移でルカ皇子のところに転移してどうにか部屋から出してほしいと頼んだ。

 彼はやるだけやってみると言い、少し緊張しているのか顔が引き締まっていた。



 「失礼します」


 「何の用だ」


 「お話があります。ここでは少し話ずらくて………」


 「すぐに向かう」




 ようやく対象はルカ皇子と共に部屋を退出した。

 これで好きに探せると思い、傍にあった本棚に並べられている内の一冊に手をかける。

 その本は薄い見た目に似合わずとても重く、手から滑って床に落ちてしまった。



 ────────カチッ




 カチッ?

 そう考えているのとほぼ同時に本棚が道を作るように左右に分かれて動き出した。

 隠し部屋………だよね。

 私とレイはその隠し部屋に入ってみると中心には机があり、その上にワイングラスのような形をした金色の物が置いてあった。


 『レイ、これって………』


 『あぁ……ルカ皇子の言っていた魔道具だな』



 私はその魔道具を手にしようとした瞬間、隠し部屋ではないほうの部屋の扉が開く音がした。

 まずい。戻ってきた。


 「っ! 誰かそこにいるのか?」



 焦りが若干混じりながらも、必死にそれを抑えているような声だった。

 その人は速足で隠し部屋に向かってきて、恐る恐る部屋の中を見渡す。


 「………気のせいか」 



 部屋の中に誰もいなかったことと、魔道具がきちんとあったことを確認するとホッと息をつき、隠し部屋の扉を閉めて出て行った。

 ……危なかった。いくら相手から見えないからと言ってもバレないか内心冷や冷やした。

 証拠というか盗まれた物自体を見つけることができたので一度エミリーがいる木の上に転移した後、報告をしにルカ皇子の元に向かった。





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