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24.決闘




 「クリスティーナ様! 私と決闘をしてください!」


 「……わかりました、お受けいたします」



 私はヒロインこと、ヘレン様に決闘を申し込まれていた。

 学園にはいくつかの制度があり、決闘もその中の一つだ。

 決闘をするにはお互いの同意が必要で、双方に要求がある場合はそれを提示し、勝ったほうの要求が呑まれる。

 それを行う場所である闘技場には複数の魔法を組み合わされた結界が張られており、決闘で死ぬことはない。





 **********



 私は学園の庭でレイとミア様とでお茶をしていた。

 カップを机に置き、楽しく話していたのだが急に机が揺れたと同時に悲鳴がすぐ傍で聞こえた。

 その声は私が避けている女子生徒、ヘレン様のものだった。


 「……ヘレン様、大丈夫ですか?」


 「クリスティーナ様、なぜ私にお茶をかけたのです!?」


 「私は何もしていません。ヘレン様が机にぶつかってきてかかったのですよ?」


 「言いがかりはやめてください!」



 ……言いがかりはどっちだ。

 ヘレン様が机にぶつかり、私の飲んでいたお茶がかかったのだ。

 私は心配して声をかけたのだが、無駄だった。

 どれだけ言っても聞く耳を持たない。

 これほど話の通じない人は初めて見た気がする。 

 ヘレン様はそんなに私のことを悪役令嬢に仕立て上げたいのだろうか。



 私が彼女とアルフォード殿下と仲良くしているところを見ても嫉妬せずに手を出さないから自分から行動を起こしているのだと思う。

 ここまで来ると、怒りを通り越して呆れる。

 私はヘレン様と話して何度ため息したくなるのを堪えたか……



 「ヘレン嬢、机にぶつかってきたのは明らかにあなただった。ぶつかった衝撃でお茶があなたの服にかかってしまったのだ。まだ理解ができないのか?」


 「レイ様の言う通りです! ヘレン様、いい加減にして下さいましっ!」



 レイはいつもより声が低く、怒っているのがわかる。

 ミア様も普段は怒らないのだが今までの彼女の行いに我慢の限界が来たようだった。





 「~~~~っ! でしたらクリスティーナ様、私と決闘をしてください! 私が勝ったら先ほどのことを認めてください!」


 ここで冒頭に戻る。

 というかそんなに私がお茶をかけたと認めさせたいのだろうか。

 

 「………わかりました、お受けいたします。ただし、こちらにも要求があります。私が勝ったら今後私たちに関わらないでください」


 「では今日の放課後闘技場に来てください!」



 そう言いどこかへ行ってしまった。

 私は先ほどヘレン様の契約精霊を確認したところ、ゲームと同じで光の上位精霊だった。

 そのせいか、やけに自信があるようだったが私は私のために決闘に勝とうと思う。



 「……大丈夫か?」


 「えぇ………ねえレイ、ヘレン様ってやはり転生者よね?」


 「あぁ………俺との相性が最悪な(ひと)だ。まさかあの(ひと)がヒロインだったなんてな……」



 相性最悪だから今までヘレン様が近づいてくるたびに苦々しい顔をしていたのだろうか。

 私は精霊ではないから相性が良い悪いは分からない。


 「レイ、相性が悪いとどんな感じなの?」


 「それは精霊それぞれだが俺の場合は、相手が近づいただけで吐き気がする」


 「大丈夫なの!?」



 まさか吐き気の症状が出るとは思わなかった。

 相手が遠くに行けば収まるらしく、私は安心した。



 **********



 すぐに放課後になり、レイとミア様と共に闘技場へ向かった。

 そこには戦う準備をしているヘレン様がいた。


 私は全種類の魔法を使えるが表向きは風の精霊、レイは雷の精霊と契約したことになっている。

 多少やりづらくはなるが騒ぎになるよりはいい。

 審判は私たちの担任ということでリアム先生がすることになった。



 「では、始めっ!」


 リアム先生の言葉で決闘は始まったがそれも一瞬で終わった。

 もちろん私が勝った。


 「ク、クリスティーナ・フォルク公爵令嬢の勝ち!」



 審判をしていた先生でも何が起こったかわからないという表情を浮かべていた。

 リアム先生の言葉で始まった後、私は風で自分の周りに結界とヘレン様に向けて攻撃を仕掛けた。

 ヘレン様はそれに対応できずに負けてしまった、それだけだ。


 「ヘレン様、私が勝ったので今後は私たちに関わらないでくださいね」


 「………」



 ヘレン様は気絶をしているわけではないが放心状態だった。

 なんで私が負けたの? とでも思っていそうだ。

 私たちは闘技場を後にした。


 「ティナ様、おめでとうございます!」


 「ミア様、ありがとうございます! これで静かになるわね!」


 「そうとも限らないぞ?」



 私は伸びをしながら言ったが、レイはそれを否定気味に返してきた。


 「………え、これで何かしてきたら陛下に来年からでもクラスが同じにならないように脅す(お願いする)わ! そうなれば、少しは落ち着くわよ」


 「脅し(お願い)をするのもいいかもな……」



 私とレイは、ニヤリと悪い顔をしていたと思う。

 後ろでミア様が何の話か分からないという顔をしていたが知らないほうがいいこともある。




 ~~~~~~~~~~~~~~~


 ───ぞくりっ!


 (なんか今悪寒がしたぞ……? 嫌な予感がする)


 国王の予感は的中することになる

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