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茎ノ葉END

どう乗り込むか考えていたら、茎ノ葉君は菜園時の御曹司と幼馴染みらしく、普通に屋敷を通された。


そして今、目の前にいる。


金髪に赤目、まるで死んだ魚のような目をしている。

生気を感じられないというか、ヴァンパイアごっこをしているようで、開けたカーテン、棺のソファで対面している。


「それで、直談判というわけか」

「はい」

とりあえず権力には屈しないスタンスでいこう。


「別に強要したつもりではないんだけどね…」

「お前にはその気がなくても権限の強い菜園時だからな、皆恐れるさ」

口ではそういう茎ノ葉君だが、気のいい友人のように接しているように見える。


そんな風に親しい友達がいたことはないから実際のところはわからないけど。


「実成の家、金無いだろう?

だから縁組みを斡旋したんだ」

つまり、あの令嬢との婚約は茎ノ葉君の為、というわけか。


「お金が無いならバイトすれば?」

「実成の家は格式高いからね…

バイトなんてすると家名に傷がつくらしいよ…」

他人事のようなことを言うが、菜園時だって茎ノ葉君のような古名家でないにしろ、超有名な金持ちである。


「まあ、もしも自分が実成の立場なら、気にせずバイトしたかもね」

自分から家名がどうだとか言っておいて他人は気にしない様子で、なにやら携帯をいじりながら誰かにメールして完全にmy、worldに入っている。

こいつ…私よりヤバイかもしれない。


茎ノ葉君よく何年も友人でいるなあ…。

ああ、茎ノ葉君は優しいというかいい人だから…そして菜園時の御曹司に対する嘲りの言葉は私にも同じく返るわけで。


「誰からのメールだ?」

「茶川」

「懐かしいな、暫く疎遠になっていたから久々に会いたい」

また知らない相手の話が出た。


私は、結局何をしに来たんだ。

婚約者問題は茎ノ葉君が言えばなんとかなったし、完全に余計な事をしただけではないだろうか。


なんで今更気がつくんだろう。あの令嬢と仮面夫婦になってもそれは茎ノ葉君の人生で、私が介入する余地はない。


「あ…こんにちはプリンセス・ミルフィナ…え?明日は登校するのかって…?もちろん君がいるなら毎日でも…」

御曹司は誰だお前と言いたくなるほど嬉しそうに通話している。


ひょっとして海外のプリンセスが彼女なの?


「彼女か?」

「彼女なんて恐れ多い…プリンセス・ウィッチの彼女は女神に等しいと思っている…けど…ミルフィナが聞いたら女神なんか…と嫌がられる…」


お姫様の魔女に片想い中?

なりきりヴァンパイアといい、今度は魔女ごっこか…。


うさんくさいがしかし、家にも葉陽斗のようなあり得ない存在が堂々といるため、人のことを言えない。


「そういう実成は…彼女…誰?」

今更?


「園崎さんだ」

急にじっとりこちらを見てくる。


「あーどこかで名前を聞いたと思ったら…研究所の人か」

多分両親のことだろう。


以降、御曹司は研究所についてなにも言わない。


「ここに来て婚約を解消したいなんて、実成は園崎が好きなの?」

私が茎ノ葉君の意思を聞かず暴走しただけである。

御曹司が知るわけがないが、そんなわけない。


「わからない」

だろうね。


「じゃあ婚約解消しないの?」

「それはしたいが」


「おすすめはできない…もう屋敷から全ての貯金が消えた実成の生活を考えると…」

さすがに家で面倒を見る義理もない。


八方塞がりではないか。


また御曹司が電話をとる。

「中津?」

先生と知り合いだったの?


「実成…食費はともかく家はなんとかなるよ」

「…?」


茎ノ葉君と共に、マンションへ戻る。


事情を聞いた中津先生のご両親が家賃は出世払いでいいと、タダにしてくれたらしい。


なんとも良く言えば優しい、悪く言えば奇特な方達である。


「また園崎さんと一緒に通えるんだな」

「そうだね」


今日は記念に、これから二人で植物園に行くことにした。


「出世払いと言われていたけど、どうするの?」

「将来、植物の研究をしたい」

「そう」

もしその意思が変わらないなら両親に茎ノ葉君を紹介してみよう。

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