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もしかして、俺ってばかなのか?

 「げっ!」


 思わず、俺はそんな声を上げてしまった。


 「授業中は禁止だろ」


 そのとおりだ。弁解のしようがないのは確かだ。しかし、俺は人生にとって重要な調べ事をしている邪魔をされた気分でもある。

 ついつい俺はその手を振り払おうと、力を込めて体をよじりながら腕を振ってしまった。先生から見れば、反抗的な態度以外の何ものでもない。


 「それをよこせ。没収だ」


 クラスメートの視線が俺に集まる。何か俺への非難の言葉も聞こえてくる。

 待て待て、それって、さっきも俺は経験したではないか。

 あの時と同じように、奈央の事が気になる俺は奈央に目を向けた。

 やっぱり、俺に冷たい視線を向けている。

 何と言うことだ!

 俺は自分で何をやっているんだと言う気になって、手にしていたスマホを先生に差し出した。

 その日、結局、俺は始末書を書かされ、職員室でこってりと説教をくらって、ようやくスマホを返してもらった。

 最低だった。

 奈央の俺への評価は落ちているはずだ。テストで満点を取っても、どれだけ挽回できるのか定かではない。

 しかもだ。

 もっと最悪な事に、俺のスマホにはテスト用紙は写っていなかった。


 俺は家に帰ってからあの装置を眺めて、この事をずっと考えていた。

 一日タイムトラベルしているのなら、俺が手にしていたスマホは俺と一緒に過去に行くはずだ。しかし、このスマホにはテスト用紙のデータも入っていなければ、カレンダーも今の日時と一致している事を考えれば、どうやら本当に一日リセットしているのかもしれない。


 そう言えば、俺が最初にこれを使った時、俺の手にこれは無かったじゃないか。

 俺って、気付くの遅すぎ!

 もしかして、俺ってばかなのか?

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