事務子と生活保護①
主に医療費についてです。
私が仕事で携わったことのある市町村の場合についてです。
生活保護という制度はほどんどの方が知っているものだと思います。
不正受給問題や生活保護の方が市役所の職員を脅した事件など、マイナスのイメージを持たれることもありますが、病気や失業などで生活ができなくなったとき、誰でも申請できる生活を再建するためのセーフティーネットです。
今回から2回に分けて、生活保護についてと、患者さんが生活保護を申請したとき・生活保護の方のとき、医療機関はどのようなことをするのかについてお話させていただきます。
厚労省のホームページには生活保護についてこのように書かれています
・生活保護制度は、生活に困窮する方に対し、その困窮の程度に応じて必要な保護を行い、健康で文化的な最低限度の生活を保障するとともに、自立を助長することを目的としている
相談、申請窓口はお住いの市区町村になります。
生活状況や資産などについて調査ののち、申請の可否が伝えられます。
申請したことのある患者さんのお話を聞くと、市役所の窓口へ相談へ行き、申請後およそ1ヶ月で受けられるかどうか分かるようです。
ここからは病院を受診するために必要な保険はどうなるのかについてお話します。
申請期間中の健康保険はどうなるのか?
申請時に現在かかっている病院について聞かれます。
かかりつけがある場合は保護課から病院へ生活保護の申請をしていると連絡がいくか、病院を受診する際に渡すよう申請中の旨が書かれた書類が渡されます。
病院は確認をしたら、医療費は一旦保留になります。
生活保護を申請するということはお金がないということなので当然医療費の支払いができません。
また、生活保護が決定した場合、医療費は保護課から支払われるので、後日保留分の医療費を保護課へ請求します。
生活保護の方の健康保険はどうなるのか?
生活保護になったら保険の資格は喪失し、代わりに医療券というものが発行されます。
これは、病院を行くたびに保護課へ申請し発行してもらいます。
医療の適正利用をしているかチェックするためにそのようになっています。
過剰な受診が疑われる場合は保護課の担当者から指導が入ります。
また、社会保険に加入している方は社会保険と医療券の併用になります。
病院の窓口で社会保険と保護課で貰った医療券の2つを提示しなければいけません。
国保に加入していた方は10割保護課から支払われるようになりますが、社会保険に加入している方は7割は社会保険から支払われ、3割は保護課から支払われます。
これは請求時にこちらでやるものなので、患者さんはどちらであっても負担はありません。
生活保護は最低限の保障をするものなので、利用できる他の制度がある時はそちらが優先になります。
医療費も、公費(特定の病気について医療費を補助するもの)が適用される場合はそちらを申請しなければなりません。
特殊な例ですが、過去にホームレスの方が救急搬送されてきたことがあります。
この場合医療費はどうなるのかと言いますと、受診日(搬送された日)に遡って生活保護の申請ができます。
住所が分からないので、救急車が呼ばれた場所の市町村が生活保護の申請窓口になります。
医療費が払えないことが明らかなので、病院が損失を被らないようにこのようになっていると聞いたことがあります。
退院後は、生活再建のための支援が入ります。
次回は保護課と病院間でやっていることについてお話します。
次回は8/6投稿予定です。




