事務子と事件②
まず、昨年起きた大阪の心療内科での放火事件について私なりに考えたことです。
ニュースで見た感じですと、この心療内科は復職を目指す人に力を入れていたクリニックだったのではないかと思いました。
心療内科・精神科は皆さんがよくイメージするうつや統合失調症、不眠、発達障害だけではなく、認知症や各依存症の治療などをしており、全ての症状に対応しているわけではなく、そのなかでも専門に掲げて診療しているところが多いと思います。(他の診療科でも同様です)
それを考えると、復職に向けての治療・支援を専門にしていたクリニックが今回の犯人のような方を診ていたのは不自然だなと思いました。
私が考えた可能性としては、この犯人が今まであちこちの心療内科でトラブルを起こしていて出禁になり、最後に引き受けたのが今回被害にあった心療内科だったかもしれないこと、もしくは役所から診察引き受けてと要請され引き受けたかもしれないということです。
基本的に医療機関は患者さんが希望したら診療は断れませんが、(応召義務)例外として患者さんとの信頼関係が維持できない場合や、他の医療機関で治療した方が良い場合は断ることが出来ます。
これらの理由で次の医療機関にバトンタッチして上手く可能性は正直五分五分な気がします。
トラブルを起こして出禁になった場合、自身が起こしたトラブルのことは顧みず「病院に追い出された」という思いで出禁にした病院だけでなく次の病院にもその恨みを持っていくことがあります。
また、設備や医師の専門性の関係で別の医療機関で治療した方が患者さんの為になると説明し、転院して頂いても「治療をちゃんとしてくれなかった」と勘違いされ恨まれることもあります。
こちらが患者さんの為と思っても恨まれるのは割とよくあることです。
患者さんにとって、自分がいきたいと思った病院・治療してほしいと思った医師が完治させるのは当たり前と思う方は非常に多く、現実問題として出来ないと説明して、次の治療に繋げるお手伝いをしても「拒否された」「追い出された」と思われてしまいます。
患者さん側のこの思いは、こちらがどれだけ心を尽くして説明しても訂正することはほぼできません。
拒否されたという思いが強い患者さんは、こちらが患者さんの為を思って説明しても、患者さんとしては、医療従事者は自身の生殺与奪を握っている上の立場の人間と思い、最初から対等な人間という認識がないため、否定のような案を出すと被害的になることが多いです。もちろんこちらの説明・言い方が悪い場合も残念ながらありますが、この認識の違いは訂正が出来ない為、トラブルになることは避けられません。
だからといって患者さんが望むままの言葉・治療をすることは、法律に触れるうえに患者さんの為にならないため、あえてやらざるを得ない状況は出てきます。
理解して頂きたいのは医療従事者だって嫌われるような事はしたくありません。
しかし、患者さんの命がかかっているために覚悟を持って言わないといけない時があるのです。
もし今回の事件がそのような背景がある場合、そうして医療機関を転々としてきた犯人が年月を経て、逆恨みの思い・妄想に繋がり放火したのかもしれないと私は思いました。
心療内科だから起きた事件というよりも、犯人のこれまでの人生でそうさせる何かが蓄積され、放火したのが心療内科だったのではと思います。
そしてこの事件で心配されるのは心療内科に通院している患者は危険だという差別が生まれること、まさに今治療している患者さんが自分も事件を起こすような人間なのかと思い込み、治療を続けず悪化したり、治療をしている・したいと思っている患者さんの周りの人間が心療内科は危険な所だという思いから、受診させないということです。
治療をしている人でも、健康な人でも犯罪を起こす人は関係なくいます。
差別が起きないことを祈るばかりです。
本日あと1本投稿します。




