きちんと働きましょうー七夕話ー<身代わりシリーズ 莉音&シオン>
七夕の織姫と彦星に対しての見解からのノロケ(笑)
「そういうわけで、織姫と彦星が年に一度会える日なんですよ。」
日本では今日、7月7日は七夕だという話をシオン様に話した。平和な日本という国を参考にして、より良い政務を目指すのだそうだ。さすがシオン様。でもさすがにイベントが大好きすぎる日本に呆れたりしないのだろうか。
「自分の責務を果たさずに周囲に迷惑をかけるなど、あってはならないことです。仕事とプライベートは分けなければいけませんね。」
「王子がそれを言うんかい。」
「何か言いましたか?兄上の側近その2。」
「その呼び方、何とかならへんのですか?」
ここはシオン様の執務室だ。私はシオン様と結婚してから、シオン様の仕事のお手伝いをするため、昼間はシオン様の補佐として一緒に働いている。関西弁のような口調で話すのは、お義兄様の側近の魔術師の方だ。
「すみません、第二王子。わいにはようわからんのですが、それは公私混同と違います?」
「『それ』とは何でしょうか?」
「その王子の嫁さん膝に乗っけて仕事しとんのは、仕事とプライベートを分けるべきだっちゅう主張に反してるんやないかと思うんですが。」
「私は妻を膝に乗せているわけではありませよ。」
「いや、どう見たって・・」
「私が膝に乗せているのは私の補佐官です。」
「・・・はい?」
「今は仕事中ですからね、彼女は僕の補佐官としてここにいるのです。妻を膝に乗せて仕事なんてしたくありませんよ。思う存分いちゃいちゃします。」
「し、シオン様!!」
その発言はどうなんだろうか。恐らく私の顔は真っ赤になっているだろうけれど。そう、魔術師側近さんが言う通り、私はシオン様の膝の上に横抱きにされている。酷く邪魔だと思うのだが、シオン様がこの方が仕事の効率が上がるというのだ。そしてそれは立証されている。
「あ、あのですね、お義兄様の側近の方。私もこの状態はシオン様のお邪魔になるんじゃないかと思ったのですが、確かに効率は上がっているのです。私がいない状態で100%とすると、私がこうしてシオン様のお傍にいる状態ですと、150%くらいになります。」
「補佐官さん、調べたんかい、真面目やなあ。」
「シオン様が悪く言われるのは嫌なので。」
「ふふ。莉音殿は僕のことが大好きですものね?」
「は、はい。」
「何やのこの空間?わい、ものごっつお邪魔やん。」
うう、恥ずかしい。
「それにしても、貴方がこちらに来るとは珍しいですね。いつもはあなたの部下が書類を持っていくのですが、このような雑用、絶対に貴方はしませんよね。できる限り僕と関わらないようにしている貴方がここに来た理由は?」
「う。わかっとるくせに、ほんま性格悪いわ。」
「莉音殿、もうそろそろ終わりますから、先に部屋に帰っていてください。」
「え?でも」
「待てや!ほんっと運命の相手が現れても、性格が全くブレへんな。」
「さ、莉音殿、部屋へ」
「すんません!わいが悪かったです。帰らんといてください。補佐官さんに聞きたいことがあるんです。」
「私ですか?」
側近さんは私に用がある?いったい何だろう、全く思いつかないな。シオン様は気付いてらしたみたいだけど。私に答えられることであれば、正直にお答えしよう。
「あの、その、補佐官さんのですね、そのぉ」
さっきまで切れ味抜群なツッコミをしていた人が、急にしどろもどろになった。びっくりだ。
「僕の妻の貴重な時間を貴方に使ってあげているんです。早く言いなさい。」
「お、お、お、おおおおおおととももも」
「え?」
「その、補佐官さんのお、お友達はいつこちらにいらっしゃるんやろか!!」
「はい?」
私の友達?もしかして、結婚式に来てくれた、きーちゃんとみやちゃんのことだろうか?
「莉音殿、彼は貴女のご友人に一目惚れをしたらしいのです。なので、次回、こちらに来られた時に、ぜひお会いしたいのだそうですよ。」
「そうなんですか!?知らなかったです。」
そんな話、二人から聞いただろうか?っていうか、きーちゃん、みやちゃんの、どっちなのかな?
「愛し合っている二人ですら、一年に一度の逢瀬なのです。10年くらい先でいいのではないでしょうか。」
「ちょ、それは長すぎや!!」
「ええと、聞いておいてみますね。因みに私の向こうの友人は二人いるんですが、どちらでしょうか?」
「二人?気付かんかったな。背がちみっこくて、可愛くて、すごく連れ去りやすそうな」
「連れ去らないでくださいね!?」
みやちゃんの方だな。というか、会わせて大丈夫なんだろうか。
「もちろん!!連れ去るんやったらちゃんと同意の上でや。なあ、わいと彼女を会わせてくれへんか?頼む、この通りや!!」
そう言うと彼は土下座した。いたたまれない!
「わかりました!わかりましたから、土下座はやめてください。来年の七夕なんて言いませんから!」
そして私は部屋に帰ってすぐ、みやちゃんに連絡を取ったのだった。
七夕の話、だったはずでした。




