他の案はないのですか
「そうですね。
水が出るまで掘ってみると言うのもいいかもしれませんね。
砂漠とかだと白い塩が溜まっている箇所を掘ると水が出ると聞いたことがあるような気がします」
そう龍美が言うと、
「なにそのフワッとした情報。
そこにあるの? ないの?」
とリラがまったくフワッとしていないツッコミを入れてくる。
「で、そこから水路を作って水を流すんですよ」
神官が腕組みして、眉をひそめた。
「えーと。
まず、水を発見し、井戸を掘り、水路を作って、水を流すんですよね?
さっきも思いましたが、それには莫大な年月がかかるのではないですか?」
「んー、ですので、とりあえず今回は水を見つけたら、汲み上げて。
民たちに並んでもらい、バケツリレーみたいに運んでもらったら良いのではないですか?」
あるいは、そうめん流しみたいに、と言って、
「そうめん流しとはなんですか」
と神官に問われる。
「竹を……
えーと、木とかを繋いで、なんか上手く水を流すんですよ」
ここ、竹なさそうだな、と思いながら、龍美は言った。
リラが果物を、ほら、と龍美にもくれながら言う。
「ねえ、あんたって、水をなんとかする案を考えるために呼ばれたんだっけ?
ほんとに聖女や生贄にならなくていいの?」
「水が手に入るのなら同じことですよ」
むせるくらい果汁がいっぱいの果実をかじりながら、龍美は言う。
……あるところにはあるんだろうにな、水。
この果物がなってたところみたいに、と思いながら。
「あの娘はどうしている?」
水のない水辺に置かれた椅子で王、アンヘルが休憩していると、龍美のもとに行かせた神官が戻ってきた。
若き神官、バシリオは渋い顔をして言う。
「何やらいろいろ申しております。
アイディアだけはたくさんあるようです。
実現不可能なものや危険なものが多いですが。
ともかく、おとなしく生贄になる気も雨降りの儀式をやる気もないようです」
「……そうか。
似ているのは顔だけか」
と呟き、アンヘルは立ち上がった。
「顔、似てますかね?」
とバシリオは小首を傾げていたが――。




