《第三章 三節》 屋敷
長らく更新が止まっておりすみませんm(_ _)m
不定期にはなりますができる限り元のペースに戻していけたらと思います。
「ふふふ…そこまで怯えなくて結構よ。少し遊びすぎてしまったかしら?」
お遊びも程々にしなくてはね?と笑う彼女を見た。遊びだったのか…?という訝しげに表情を伺ったが、それは本当のようだ。
「さて、屋敷の案内は終わりね。あなたの記憶能力は他と比べてはならないほど素晴らしいものだったはず。ここから先、自身の足で帰れるかしら?」
「勿論です。案内ありがとうございました。お陰様で今後もつつがなく過ごせそうです。」
「なら良かったわ」
彼女は光の刺すことがない庭を眺めた。
「今後も色々と不思議に思い、悩むことでしょう。その時は遠慮せず私を頼りなさい。生活環境は勿論のこと根本的な鎖についても微小ながら解決に導けることでしょう。」
「その時が来るのなら、」
お願いしたいと思います、と言ってその方を見る。時計の針は二本とも真上を指しているのにも関わらず廊下から覗ける庭は生い茂る木々たちを言い訳にできないほど真っ暗だった。
「あなたに特別課すことはこれから先絶対に増やさないと約束するわ。拘束するのは非常事態でなければ二時間以内に収め、あなた個人の時間を奪わない。」
どこからか吹いてきた風が彼女の髪を揺らす。ここの真上に満月があればあの夜と同じだ。
「話しすぎてしまったわね。この辺で解散としましょうか。先程の案内の通りこの屋敷のものなら好きなように使ってもらって結構よ。では、」
俺が礼を言う前に彼女は奥の部屋に吸い込まれていった。彼女のミステリアスな雰囲気はこれまでに見なかったため慣れるまでに時間がかかりそうだ。
「俺も、ありがとうございます」
もういない彼女の背中を思い出して感謝を伝えると俺は走って部屋に戻った。早速リュックサックの中からいるものを取り出し備え付けの机や棚に載せ、家具を移動した。その後再び屋敷の中に飛び出しては案内では確認しきれなかったところを確認する。
翌日からは彼女との約束通りの仕事に取り組んだ。とは言ってもそこまで埃も溜まってなかったことや実家の家事の方がハードだったことが吉と出たのか一時間ほどしかかからなかった。そのため屋敷全体の手の行き届いていないところを端から端まで探したが特に酷いところはなかった。強いて言うならば庭の木々の間にある雑草くらいだろうか。あの規模をどのように掃除していたのかが気になるところだ。
自室の掃除をして庭の掃除をして簡単な筋トレをしてを繰り返す日々を送って―――一ヶ月が経った。ガーデニングなどに夢中になりすぎていたことと屋敷の主に合わなかったことが原因で、俺はある危機に直面していた。
読んでくださりありがとうございました。