《第四章 一節》 外界
『俺なりのすばらしい日々を満喫していたところで、危機に直面した。』
そんな大層な物言いをしていたところで内容は薄っぺらいのだろう?と言うかもしれない。だが、これはどの生物にとっても大切なことだと俺は信じている。
腹がぐぅーっと生意気な音を漏らす。俺は腹を叩いてはベッドに倒れ込んだ。
「腹減ったぁーーー!」
恐ろしいことに俺がこの一ヶ月の内に食事をした回数は二十回だった。通常の健全な男子の食事回数を軽く下回っている。それに俺が口にしていたのは自分が持ってきていた保存食や屋敷にあった冷凍食品・パンなどだ。今体重を測ったら大変なことになるに違いない。
とにかくこの一ヶ月で屋敷の食料は大幅に減少した。俺の手持ちも残り少ない。では外で買いに行けば良いと思うだろう。だがここで問題なのはあの夜来た道を俺が「覚えていない」ということだ。
安全かつ安心してスーパーマーケットに行くために行くための方法は一つしかない。
「あーっ、話すしかないかぁ・・・」
俺は棒状の栄養補助食品を口の中に突っ込んで起き上がった。口内に甘いチョコレートの風味が広がるとともに歯の裏側にくっついた。
「〜〜〜〜グッッ、、ゲッホゲッホ!」
昔は好きだったこの味も食べすぎたせいで飽きてきた。むせる回数も食べる度に増える。
「うーん、、早く食料難を改善すべきだな」
俺はベッドの脇にあったコップの水を流し込んだ。
* * *
「そう、そのようなことがあったのね。確かにあの状態で覚えていられる方がおかしいもの。気付けなくてごめんなさいね。」
午後仕事を終えた俺が書斎を訪ねると彼女はそこにいた。俺の姿を見ると「なんとなく来るような気がしたのよ。正解だったようね。」と言われたため少し、ほんの少しだけ怖かった。
「いえ、俺も言えなかったので。ただ食料がなくちゃ俺も厳しいので、道を教えてもらいたいんです。」
「森から抜けて、あなたの街にいく道を知りたいの?」
「できれば、知っているところがいいです。その方が勝手がわかるので」
彼女は横のテーブルの引き出しから一枚プリントを取り出した。備え付けられた羽ペンを手に取るとスラスラと何かを書いた。
「私もあなたの意見を尊重したいのだけれど・・・ホームタウンは危険よ。思い出してご覧なさい。あなたは家出してきた身。その中ホームタウンに行ってみなさい。親が警察に届け出を出していたら連行されるかもしれないし、知り合いに会ったら情報が回りその場は回避できたとしても次回はすぐに見つかってしまうことでしょう。その可能性の高い方法は進められないわ。あなたも家に帰ることは本意ではないでしょう?」
俺は頷くしか無かった。俺の考えが浅はかだったことを突きつけられ、自分が恥ずかしくなった。
「それでも食料は定期的に買わなくてはならないものね。良いわ。なら初日は私と行きましょう。」
俺は唖然とするしかなかった。
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