次回、リリウス死す!
本編の登場人物
リリウス・マクローエン
本編の主人公。デュエルキングを自称する変態。
フェイ・リン
世界一の武術家を目指して西方に流れてきた修行中の少年。真人間。
カトリーエイル・ルーデット
見た目はイケてるレディーだが中身は……。リリウスの相棒。
ルル・ルーシェ・ユーゲン・クライシェ
ラサイラ魔導学院一年生。ロマン武器職人とかいう変態。魔槍ロンギヌスを操りし者。
コンラッド・アルステルム
ラサイラ魔導学院一年生次席。じつは大型船舶七隻所有。執事フェチの変態。
キングのデュエルはエンターテイメントでなくてはならない!
さっそく大市とかいうフリマでネタアイテム探すぜ!
フリマやってる陽光公園ってのがけっこう広いんだ。中に闘技場とかあるしね、東京ドームの隣にある後楽公園のノリだわ。
「らっしゃいらっしゃい、野菜安いよー、野菜ー!」
フリマで野菜売るな馬鹿。
って思ったら奥様が殺到してるぜ。正月も三日目だしそろそろ買い足したいんですね。
「さあここに取り出したるは家宝のマジックアイテム―!」
初日に金貨二千枚で家宝売ってたおっさんがちょっとだけ妥協してたぜ。
半値になってるけど誰が買うんだよ。安い中古品探しにきたフリマ客がそんな金持ってるわけないだろ。
おっと見慣れた馬鹿ども見つけたから無視するぜ。
ええい、俺の袖を掴むな伯爵!
「世紀の発明家ルル・ルーシェの究極マジックアイテムはいかがでしょうか?」
「ふっつーに声かけてきたあ……えぇぇ、何してるんですかあ……?」
「お嬢様の旅費作りにございます」
「伯爵さんは?」
「わたくしの総資本がどの程度かは申し上げかねますが、問題はないとだけ」
マジもんの伯爵様だからね。
旅費どころか自家用クルーザー……大型客船くらい持ってそうだな。伯爵だし。
「ここだけの話、今回は購入された方が良いと思いますよ?」
「マジのトーンじゃん。何なの?」
「どうしても夜の魔王の呪具が欲しいお嬢様は後生大事に保管していたアイテムを出品しております。どれも大変強力なアイテムです」
「例えば?」
「げひっ、ふひひひひ、知りたいかね?」
超うぜー、でもこの自信はマジの奴だな!
ルルが何気なく大きな木箱を渡してきた。蓋を開けると占い師が使いそうな水晶玉がダースで丁寧に梱包されている。水晶の奥には紫色の光が火花散らしてて普通に綺麗なインテリアだわ。
「こいつは封魔弾頭だ。魔力を込めると十秒後に大爆発する」
マジック手りゅう弾じゃねーか。爆発ってどんなもんかな?
「一区画くらいならまるごと吹き飛ぶ」
「……マジもんのやべー奴じゃん」
一区画って200メーター平方だから爆撃機並みの破壊力じゃん。
使い捨ての超火力とかイラネー……くっ、買っておけば後々何かに使える気がするぞ!
「やるじゃんルル、正直あんたのことクソ使えないロマン武器職人って侮ってたぜ……」
「ふっ、大爆発もまたかっこいいからな」
それはわかる。大爆発もまたロマンなのである。
キックで倒したはずの怪人がなぜか爆発したけど、かっこいいから問題ないのである。宇宙なのになぜか爆発音がするってファンから文句言われたジョー〇・ルーカスはこう言ったね、俺の宇宙では出るんだよって。すべてはかっこいいからだ。
「ルル、あんたの見立てで一番いい武器をくれ」
「こいつだ、神を射抜く槍ロンギヌス」
すげえかっこいい槍が出て来たぜ。
柄の部分にすげえびっしり魔法文言が彫り込まれてるし、部屋に飾っておくだけで尊敬されるレベルじゃん。
「実演してみせてやろう、吼えろロンギヌス!」
ルルの全身から紫電が放射され、そいつがロンギヌスに集まっていく。なんて幻想的な光景なんだ! 紫に輝くロンギヌスはまるで地上の太陽みてーだ。
「……なんぞ(びくっ)」
ルルの周りに六人の幽霊の魔導師が現れたぞ。
ほんでブツブツ言い出したぞ!?
『―――殺せ!』
『殺せ!』
『殺せぇぇぇぇ!』
『神を殺せぇぇぇ!』
この幽霊さんたち神様にどんな恨みが……
「滅殺の祈りを得、ここに究極の雷撃を顕現する さあロンギヌスよその終界の光にて全てを焼き払え!」
おおっ、なんという輝きだ……
のほほんとしたフリマ会場でぶっぱなしていい奴じゃねえこれ……
「えい!」
ルルがロンギヌスを変な投げ方で―――投げたー!
カランカランカラン……
二メートルも飛ばなかったロンギヌスが石畳にも刺さらずにそこらへん転がったぜ。
うん、薄々気づいてた。だって魔力そんなに流してなかったし。
「はぁはぁはぁ……ど、どうだ?」
「うん、かっこよかったよ」
俺が拍手をすると固唾を呑んで見物していたフリマ客からも温かな拍手がやってきた。
フェイクでもここまでのクオリティ出されると素直に賞賛するしかねえぜ。ルルお前すげえよ、ロマン武器職人としての誇りだけは絶対に捨てないんだもん。
こいつ変態だけど信念のある変態なんだな。買わないけど。
「今ならこのロンギヌスがなんと三十ユーベルで!」
俺はソッコー透明化して逃げた。
ありがとうよルル、お前のエンターテイナーっぷりは忘れないぜ。お前に渡航費与えるとフェニキアで戦うはめになるから、何が出てこようが絶対買うわけねーんだ。
その後、オルトス魔導学院テーブルゲーム研究会なる連中からボドゲを三つ購入した。俺ボドゲ大好き、前世でも古い洋物集めてたし。
詳しく話を聞いてみると、昔からあるグレート・アドベンチャーなるボドゲのオリジナル改良版らしい。プレイできる種族を増やしたり、今では馴染みのないイベントをなくした近代版だとか。
空中都市にはコアのボドゲファンが集うカフェがあり、古き良きボドゲから自主製作ボドゲをみんなで楽しんでいるとか。紳士の社交場って奴だな。今度顔出してみよう。
そろそろ時間なので合流すると二人とも自信に満ち溢れた顔つきをしてるぜ。
さっそくカトリ宅でお披露目だ!
「では僕からだ」
フェイが机に置いたのは古めかしい箱物だ。カーテンを閉め始めたので何かと思えば箱物が灯りを撒きながら回り出した……
「これは幻灯機か?」
「綺麗ねー」
どこぞのお祭りの光景を映し出した幻灯機が室内に温かな光の像を映し出す。
不思議とそれを見るフェイの表情は穏やかだ。こんな顔もできるのかと驚くほどに、年相応の少年らしい顔だ。
「むかし父の買ってくれた幻灯機を飽きる事もなく見続けていた。ちょうどこんな奴さ」
「お前にもそういう時代があったんだな」
ガキの頃から修行漬けのイメージだったぜ。
「むかしの話だ。今は亡き家族の顔はもう思い出せないが、どうしてか幻灯機を見ていると心安らぐんだ……」
「…………(チラッ)」
「…………(チラッ)」
カトリたんと瞬時にアイコンタクトする。
フェイの思い出に難癖をつけるか否かの相談である。
(フェイはもう優勝でいいんじゃ……)
(うん、綺麗な思い出に点数つけるなんてできないよ……)
フェイの古き良き思い出に点数をつける勇気はなかった。
フェイお前の勝ちだよ、でもこんな一発芸大会にガチの思い出の品持ってくるのは卑怯だよ。もし仮に俺らが人の心を持たないパリピだったらお前の思い出メタクソにコキおろして笑い飛ばしてたぜ……
勝負は必然的に俺とカトリたんの一騎打ちか。へへ、先行は譲るぜ。
「じゃーん、ラブチェックだよ!」
掲げたのは一枚の鏡だ。なんかのマジックアイテムかな?
「これさ、こうやって使うわけ」
机に置いて覗き込むと文字が出てきた……あなたは男性ですか、女性ですか?
「出てくる質問に答えていくと相性診断してくれるの」
ハイテクなのかローテクなのかわからねえ奴だな!
でも面白そうじゃん。
カトリたんと俺で交互に計六十問ほどの質問に答えると……
『相性89パーセント よこしまな心の持ち主同士が良い具合に拮抗していますね』
「喜んで……いいのかな?」
「いやダメでしょ」
よこしまって一回使っただけの鏡にひでえ扱い受けたぜ。
フェイ、そんな笑っちゃダメな奴だよ。本気で失礼だよ。
「うさんくさいと思ったが中々面白い。これ僕とこいつでもできるのか?」
「男同士でもできるはずだよー」
「よっしゃ、やってみるか」
ポチポチ……
ポチポチ……
鏡の中で何かがグルグル渦巻いている、結果発表は……
『相性67パーセント 口では何と言っても深い信頼で繋がっていますね。互いに素直になることでさらに良好な関係になれるでしょう』
「それはねえな」
「ありえん」
つまらんな、さては当たり障りのない答えしか出てこない無難なパーティーグッズだな?
場を盛り上げることはあっても盛り下げはしない空気読めるアイテムだな?
俺はもっとドス黒い、人間関係がギクシャクするような結果が見たいんだよ!
「じゃあ次はフェイとカトリたんね」
「よっしゃ100パー狙ってみるね!」
「こいつとより低いってことはないだろうな」
おい、親友になんてこと言うんだ。もっと素直になれ。
ポチポチ……
ポチポチ……
グルグル~……
『相性4パーセント この魔性の女はあなたの手に負える相手ではありません。早い内に関係を断つが吉』
最高の結果が出たな!
フェイは何やら神妙な顔つきだが、カトリたんは唖然としてるぜ。やべー魔性の女だもんな。最高に笑える。
「これおかしい! 壊れてるッ!?」
鏡を手にしたカトリたんがぶん投げたが俺が空中でナイスキャッチ。こんな面白いアイテム壊すなんてトンデモナイ! ギルドで人間関係ぶっこわさなきゃ!
「リリウス君それ渡して! 壊すの、その邪悪な鏡は壊すのぉ!」
「落ち着け魔性の女!」
「そーだー! 壊したって俺らが覚えてるから意味ねーぞー!」
「君達も壊せばいいって事だよね!?」
俺の存在軽すぎない?
暴れるカトリたんは腹筋を撫でさせながら宥めると大人しくなった。真人間宣言なんだったの?
そしていよいよ俺の出番だ。腕を組んで強者のオーラ出しながら言ってやるぜ。
「キングのデュエルはエンターテイメントでなくてはならない!」
「ほほぅ、自信たっぷりじゃん。あたしっつー頂点を越えてみせな」
「ま、お前ごときには負ける気はせんな」
俺の評価低そうな発言やめい。
机に出したのはよくある賽子振ってヘックスを移動する人生ゲームだ。ルールをめっちゃ早口で説明するぜ!
「こいつはいわゆる人生ゲームだ。サイコロ振ってマスを移動するだけの単純なゲーム性だがそれゆえに何度でも遊べる傑作なんだ。人生には色々ある、結婚したり子供が生まれたり会社が潰れたり、それらを疑似的に体感しながら誰よりも素晴らしい最期を迎えるんだ!」
「「ふーん」」
もっと興味持とっか!
俺もまだプレイしてないけど面白いよ? 一回やってみよ?
「ぎゃああ! まぁた子供生まれたー、八人目だよー!」
「借金がえらいことになっているんだが……返せるのかこれ?」
「子供が内乱を起こして領主追われたんだけど……」
「おい、債券が足りないぞ。なんだこの借金の額返せるわけがない」
ゲーム終了。
俺はぶなんにマイホーム持ちの総資産580ユーベル。カトリたんがマイナス700ユーベル。フェイがマイナス80000ユーベル……
雑魚すぎない君ら?
「それじゃ、優勝者だと思う人を指差してー!」
ここは満場一致でフェイだ……あのねフェイ自分を指差すのやめようね。協調性のねー連中でそれやると全員自分指してノーゲームになっちゃうからね。
「それじゃ、罰ゲームだと思う人を指差してー」
二人そろって一斉に俺を指しやがった。嘘だろお前ら……
すまん、イイワケさせてくれ。
「何度でも遊べるボドゲは新年の定番だ。退屈な時間を意義あるものに変えるボドゲは繰り返し遊ぶことでその真価を発揮するんだ。それを一回負けたくらいで逆恨みみたいな評価を下すのは間違っていると思うんだ」
「いや、これ一発ネタ大会だし」
「趣旨をはき違えている」
「そもそも一回で真価を発揮できないような物を評価させようってのはおかしいよね?」
「底の浅さが露呈したな。素直に結果を受け入れろ」
君ら俺をバッシングする時だけ相性いいよね?
4パーのくせにほんとは仲いいの?
悪魔みたいに笑う連中が俺の運命を握っている。いったいどんな恐ろしい罰ゲームが……




