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冬に咲く青いバラ(05)

本編の登場人物


リリウス・マクローエン

 本編の主人公。ケツにスプーンねじ込む悪魔と恐れられている変態。ロザリアお嬢様の手下A。番外編時では9~10歳である。


バトラ・マクローエン

 マクローエン家四男。鏡大好きナルシスト。以前は庶子であるリリウスを拒絶していたが、最近は弟として多少は認識してきた。一つ上のルドガーが帝都に留学したので遊び相手に困っているという理由もあるだろう。


ロザリア・バートランド

 ゲーム『春のマリア』における悪役令嬢。我儘で高飛車な高慢ちきと三拍子そろっているが、友人や身内に対しては周囲が驚くほどの優しさを示す。まだロリなので戦闘能力は低め(それでもリリウスの五倍強い)。


バイアット・セルジリア

 ロザリアお嬢様の手下B。通称デブ。いつもおやつ食べてる食いしん坊だが、他の部分は意外にもしっかりしている。自己管理能力だけが問題。


ガーランド・バートランド

 帝国騎士団長にしてロザリアの兄。騎士団の世代交代に腐心し、手駒の一つとしてリリウスに目をかける。

 小一時間かけて戻ってきたお屋敷はなごやかなムードに包まれていました♪


 ざけんな!



 屋敷の前には超巨大なドラゴンが忠犬の如くおすわりしてて超おとなしい。


 屋敷の庭園では毛布被った大勢の見知らぬ連中が、鼻水垂らしながら温かなお茶をすすっている。うちの使用人はそいつらの相手でバタバタ大忙しだぜ。だって300人はいるもん。ちょっとした炊き出しの風景だぜ。


 お、姉貴発見。


「姉貴、無事か!?」

「リリウス?」


 姉貴の胸に飛び込む。相変わらずペッタンコだな。むしろペッタン湖だわ。


「こいつはいったい何の騒ぎなんだ?」

「それは……」


「ごきげんよう」


 目の前にロザリアお嬢様がいた。

 目の前にロザリアお嬢様がいた。大事な事だから二回言った。漏れなくついてくる閣下の御姿が見えないので、ホッと胸を撫で下ろす。


「お嬢様!」

「リリウス!」


 再会のハグとともに感涙。閣下とかいう恐ろしい生命の危機が去ったからね!

 そしてお嬢様もペッタン湖でしたとさ。


「リリウスの馬鹿馬鹿! なんでいつまで経ってもうちに来ないのよ!」

「お嬢様……」


 お嬢様、そんなに俺の事を思っていてくれたんですか……?

 こんなん泣いてしまう奴だろ!


「おにーさまの話し相手って本当に大変なんだからね! ちょっと話すだけでケーキ一個分くらい糖分使っちゃうんだから!」


 あれれ、もしかしてリリウス君は生贄ですのん?

 うーん、どうもお嬢様は順調にワガママにお育ちのようですねえ……


「感動の再会はさて置き」

「置かないでよ。もっと愚痴を聴きなさい」


 置きたくないけど気になるもん。


「あのでっけえドラゴン何事ですかね?」

「帝都守護竜よ(どやぁ)」


「帝国の守護神がなぜマクローエンに……」


 バトラの慄きは理解できるぜ、だって帝国の切り札だもん。


 帝都守護竜とは初代皇帝にして最強のドラゴンライダー、ブレイド・エクスロード・ドルジアとともに近隣諸国を平定した伝説の氷竜である。と言えば多少の語弊がある。


 裏切りの魔女シェトロアとの決戦において落命した氷竜はブレイドに懇願した。


『我が身を死霊に変えよ。我が魂は朽ちるとも、我が翼は永遠に帝国を守護するであろう』


 アンデッド化した氷竜はその言葉通り、帝都守護竜となり永遠に帝国を守護し続けているのだという。


 だから疑問。なんでまた帝都守護竜でうちに来るの?

 遊びに来たって感じじゃありませんよね?


 物を言わず物も食べず、魔力だけを糧に起動する帝都守護竜の運用には莫大な魔力が必要なはず。大陥落と呼ばれる大穴に生贄(現代では魔物の血を用いるけど昔は人間だったんだってさ!)の血を満たしてようやく起動できるような、恐ろしく燃費の悪い決戦兵器だったはずだぞ?


「それについては俺から説明しよう」

「……!」


 俺の背後には閣下がおりました。

 どうも潜伏魔法で隠れてやがったみたいですね。


 決して逃がすまいと掴まれた両肩がめっちゃ痛いです。


「季節ごとに配達させている遠征の招待に、一度も! 応じなかった! 薄情なお前に俺から懇切丁寧に説明してやろう……!」


 ひぃぃぃぃ!? めっちゃ根に持ってやがるぅぅぅぅぅぅ!


 この後めちゃくちゃ懇切丁寧に説明された。


 閣下が怖くて半分くらい聞いてなかったけど、精霊獣とかいうやべー魔物退治に同行させられるみたいですね……


「ではフォルセへと進軍する! 総員、守護竜に乗りこめい!」


「「「…………(ふるふる)」」」 


 毛布被って温かなお茶をすする、鼻水垂らした屈強な騎士どもが、ちからなく首を振って拒否ってるぜ。


 そりゃそうだ、真冬の北極圏のお空を旅してきたんだもんね。凍死してねえのが奇跡だよ。

 閣下、ここは慈悲の心であたるべきですよ!


「よかろう、では出発は一時間後とする!」


「「「…………はぁ~~~(クソデカため息)」」」


 さすが閣下だぜ、弱い人間の気持ちってやつを理解してねえ。

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