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マクローエンの悪魔 中編

 ぼやけた眼鏡越しに見る風景のように白くなった町は積雪に沈んでいる。老いてはいるがピンと背筋の張った老執事に抱きあげられた俺は泣いていた。何が悲しいのかなんて今の俺にはわからない。


 凶悪な面構えの、だが優しそうな眼をしたおじさんが俺の頭を撫でる。


「そう泣かないでくだせえ。お屋敷に行けばぼっちゃんの親父さんがいるんです、年の近いご兄弟もおられます、お屋敷に行くのがぼっちゃんにとって一番なんです」

「……バーンズおじさんも来てくれる?」


 おじさんが首を振る。


「俺はわがままを言って職責を下りた身です。ファウル様が許しても奥方様は許さんでしょう。……ぼっちゃん、俺とぼっちゃんじゃ住む世界が違うんですよ」

「なんでぇ?」

「世の中そういうものなんです」


 俺が手を伸ばして届かなかった。おじさんは苦しそうにじっと俺を見つめ返していた。やがて……


「親父、ぼっちゃんを頼む」

「私は私の職責を果たすのみだ。リリウス様を男爵家に迎え入れると決めた奥方様に従うまでのこと」


 俺を抱き上げた老執事が歩き出す。ゆっくりと景色が遠ざかっていく。

 森の傍にあるこじんまりとした、だが住みやすそうな平屋と、その前で佇むおじさんの姿が遠ざかっていく。


 俺は手を振り続けた。でも手を振り返されることはなかった。



◇◇◇◇◇◇



 わがはいはリリウス、今日も今日とてレベル上げの日々である。……他にやることないんかって? そーだよ。


 兄弟仲は最悪だ、目が合うなりバトルが始まるポケモンの世界観だ。

 屋敷の使用人とも最悪だぞ。だって夕飯の度に賄い争奪バトルが始まるからね。あいつらをどれだけ倒してきたか覚えてもいねえよ、だって毎日やってるしね。

 モンスターとの関係も最悪を更新し続けているゾ。最近では俺が森に入った途端にあいつらが逃げ出すのがわかるんだよ。あれ完全に怪獣から逃げる一般市民の構図で笑うわ。


 カネはねえ、友達もいねえ、話し相手すらいねえ。こんな現状を簡潔にまとめるとこうなる。俺の人生ハードモードすぎねえ?ってやつだ。

 こんな状況で子供がまっとうに育つわけがねえ。将来的に百グレるの確定だぞこんなの。児童相談課は何をしている!?


 そんな俺の一日は起床と同時に厨房に殴り込みをかけるのである。


「どわあ! りっ、リリウスぼっちゃん!?」

「よこしな、その寸胴の中身をなァ!」


 侵入と同時にコック長を殴り倒す。カエルパンチで顎を捉えて一撃ノックアウトだ。他にもコック長の息子と思われるコックもいるんだが……


「へへへ、どうぞ」

「日和るな、お前も戦え!」

「ナンデ!?」


 日和って朝飯を明け渡そうとしてきたのでとりあえず殴り倒しておく。憎んでくれて構わん、リリウス・マクローエンは如何なる者の挑戦も受ける!


 朝食を終えた俺はそのまま森にでかける。もちろん間食用のパンも幾つかパクっておく。俺にとって実家の厨房は食料品アイテムが確定で手に入る場所でしかないんだ。


 そして俺は森でレベル上げを始める。時計持ってないんで時間は何とも言えないんだが朝の七時に起きたとするじゃん。朝飯がだいたい五分で終わるとするじゃん。日暮れまで魔物狩りすっから07:05時から17:00までバトってるわけよ。この十時間のほとんどが移動時間なんだけど俺がんばってんじゃんよ。


 日が暮れてから実家にこっそり帰る。今日は厨房の窓から内部に侵入し、マクローエン男爵家の皆々様(クソども)に夕食を提供し終えた使用人どもを殴り倒して夕飯を確保するつもりだ。


「でさー……今、あそこの窓勝手に開いたよね?」

「いや、あの窓元々開いてなかったっけ……」


 和気あいあいとした業務終了後も夕食風景が一転ホラー展開になってるのクソうける。透明化した俺に気づけない使用人どもに向けて一応挨拶してやる。


「やあ、来ちゃった」

「ひいっ、り…リリウスぼっちゃんだー!」


 最初に逃げ出した奴をまずは蹴り飛ばす。仮面ライダーのような声に出して言いたい美しいライダーキックが使用人の後頭部に炸裂したが手加減はしておくぜ。最近の俺の蹴りって岩とか砕くからね。石投げられても痛くも何ともねえしむしろ肌に当たった瞬間に石が砕けるしね。


 俺が出入口を塞ぎ、八名集まってた使用人どもは窓側に寄っていく。いいね、じつに良い態度だ。俺とお前達の関係はこうでなくてはならない。


「理解してくれるな?」

「な…なにを?」


 何をときたか。素晴らしいな、何をときたか!


 俺は覚えているぞ。夕飯を貰いにきた俺に向けて「犬なら残飯でいいだろ?」とかほざいて目の前で皿を逆さにして笑っていたお前達の表情と悪意を!

 お前達の罪を理解しているか。これがお前達へと与えられる罰だと理解しているか。理解さえできないのなら俺を呪うがいい、恥じすら忘れたならお前達はただのケダモノだ!


「それは―――今からお前達を殴る理由だ!」


 リリウス神拳が男女関係なく炸裂する。男女平等の精神を以て端から順に炸裂する。慈悲はない、ないが手加減はきちんとある。女子は軽めにぺちっとビンタで済ます。こういうのは軽めのちょっと痛いくらいの方がいいんだよ。


 以前何かを勘違いした馬鹿が本気で歯向かってきたのでそれには全力で対処した。躾だ、逆らった方がひどい目に遭うと理解させるにはサンプルが一匹必要なんだ。そして恐怖は増減する感情なので定期的に躾け直す必要がある。これを怠ると反乱の火の手があがるので俺はきっちり管理させてもらうぜ。


 夕飯後、就寝。


「わーい、リリ兄あそぼー!」


 ただしリザ姉貴のベッドの下で就寝する。俺の部屋は時々ルドバト馬鹿コンビやアルドが襲撃しに来るから寝る場所は定期的に変えている。最近は地下牢が熱かったんだがその話をしたら姉貴に本気で憐れまれた。そんで自分の部屋で眠るようにと言われたのでベッドの下を拝領したぜ。

 ベッドの上からリザ姉貴の不満そうな呟きが聞こえてくる。


「そんなとこで寝たら風邪ひくかもよ?」

「地下牢と比べたらだいぶ温かいよ」


 上に熱源があるからこたつみたいなもんだ。


「ばか、ベッドの方が温かいに決まってるじゃない」

「ここもじゅうぶん温かいって」

「ったく、頑固なんだから。別に恥ずかしがらなくてもいいのにさ」


 やがて姉貴の寝息が聞こえてきた。俺も寝るかと目を閉じるが……


「リリウスはいたか?」

「いや、地下牢にもいなかった」

「マジかよこのままだとせっかくの新作悪戯が無駄になるぜ」

「あはは! あはははは! リリ兄どこだー?」


 廊下をドタバタと走り回るお馬鹿コンビプラスワンの元気のいい声を聞きながら思った。今夜俺眠れっかなーって思ったのである。


 姉貴、俺がベッドで眠らない理由はあの馬鹿どもから逃げてるだけです。しかしここも時間の問題な気がする……



◇◇◇◇◇◇



 今日も元気に魔物狩りの日々である。何かしらの変化を求めたい気持ちはあれど現状を改善するよりも現状に甘んじてしまっている俺ガイル。


 これは怠惰だ、サボタージュだ、そう思いながらも現状を良しとしてしまう。……明確なヴィジョンを描けていないせいかもしれない。

 これをしたいからこうする!という明確なヴィジョンを思い描けず、こうなりたいという漠然としたヴィジョンしかないからこんな感じなんだ。ぼやけた写真からは何も読み取れないのと一緒だ。

 レベルが上がり、パラメータが目に見えて増加し、俺は確実に強くなっている。だがそこから? 強くなった、じゃあ次は?って感じだ。


 今日の魔物はでかい熊だ。立ち上がった時の威圧感は凄まじく、身長は5~6mはあるんじゃないだろうか。

 最初は姿を見せて釣り、すぐに透明化して惑わせた。そして木々を蹴りながら熊の背後に回って頭蓋骨と首の隙間にザックリと小剣を突き刺してトドメを差してやった。……まったく手慣れた作業だ。


 嗅ぎ慣れた血のにおいにうんざりしていると……


「おーい、ぼっちゃーん!」


 声の方を振り仰げば崖の上に山賊らしき……いや凶悪な面構えの冒険者がいた。バーンズだ。

 視線を見るに透明化した俺のことは見えていないようだが俺を呼んでいる。しかも満面の笑みを浮かべてだ。面倒くせえなあ。突き放したはずなのに四日と経たずに遭遇かよ。


 透明解除!


「おう、何か用かい?」

「大物を仕留めやしたね、解体に人手がいるんじゃないですかい?」


 バーンズが崖をズザーっと滑り降りてきた。でけえ図体のわりに身のこなしが軽やかかつ機敏だ。

 バーンズが近寄ってくる。それは他人ではなく優しいおじさんと子供の距離感なのだろう。


「解体だって?」

「ええ、こいつは見事なシロクマだ。毛並みは季節柄悪いっちゃ悪いんですがまぁそこそこの値にはなるでしょう」


 魔物の毛皮を売ろうってか。しかしこの巨体をか……

 解体はやり方がわからんし見るからに大変そうなので避けてきた。解体のために一ヵ所に長く留まるというのも俺の移動スタイルからはかけ離れているしな。


「ちなみに、幾らくらいになるんだ?」

「まだらができてやすからねー、あんま期待できねえっすね」


 期待できなそうだ。


「うまくいって金貨二枚じゃないっすかね」

「え、そんなすんの!?」


 おいおいおい急転直下だよ、下げてから爆上げだよ。金貨二枚は激熱フェスティバルだよ。

 そんな高額で売れるのなら売るしかないだろ。この熱意はバーンズにも伝わったようだ。にっかり笑顔で膝を着き、でけえシロクマにナイフを突き立て始めた。手慣れた手つきなのでつい見入ってしまう。


「もしかして解体は初めてっすか?」

「おう」

「じゃあ俺のやり方を見ていてくだせえ。ここのこう、少し深めに斬り込みを入れると剥ぎやすくなるんですよ」


 バーンズが一直線にナイフを引き、毛皮を開いて剥がしていく。

 仰向けに倒れているシロクマをテスト用紙にしてこうやってナイフを入れると剥がした時に綺麗な毛皮になると実演してもらった。


「そういえば血抜きはしなくていいのか?」

「こんだけでかいと難しいっすね。毛皮を取るならこのままでいいっす、肉が目当てなら部位を分けて吊るした方がいいっすね」

「なるほど」

「残った体温のせいで品質はどんどん悪くなるんで解体の前に何を目的にするかは決めておいた方がいいっす」

「ふんふん」

「川が近いのなら川に沈めてもいいっすね。ただ他のモンスが集まってくるかもしれないんで注意は必要っす」


 毛皮を剥ぎ、丸めて縄で固定する。

 バーンズが背嚢から取り出した折り畳み式の背負い庫にシロクマの部位を適当に載せていく。


「背嚢はお願いしていいっすか?」

「おう、任せろ」


 背嚢以外のすべての荷物を持ったバーンズが軽々と立ち上がる。毛皮ロールは肩に担いている。見るからに重そうなのに軽やかだ。これがベテラン冒険者のちからか。


 うーん、これが金貨二枚になるのか。夢が膨らむぜ。

 俺はスキップしそうなところをぐっと堪えてカウンゼラ市に帰るのである。



◇◇◇◇◇◇



 ギルドの正面入り口は知っている。だが今日は裏口からだ。


「ギルドの裏手は解体場になってんすよ。全国どこのギルドでも裏手は解体場って覚えておいてくだせえ」

「ふーん」


 豆知識だな。ちょっと役に立つ豆知識だ。


「その顔はピンときてませんね? 裏手が解体場ってことは臭いってことですよ、つまり初めての町でギルドの場所がわからなくても簡単に見つけ出せるってことですぜ」

「おっ、そういうことか!」

「まぁ毎回見つけ出せるとは限りませんがね! ガハハ!」


 それ地元民に道を聞いた方が早いんじゃ……?


 昼間だというのに裏手の解体場はガラガラだ。いや昼間だからか、きっと夕方になれば獲物を抱えた冒険者で溢れかえっているのだろう。

 解体場にあるテーブルでぷかーっとパイプを吹かしているおっさんがいる。バーンズに負けず劣らずガタイの良い凶悪な面構えのおじさんだ。年取った冒険者って姿形から顔まで似てくるんじゃないよな?


「おう、兄貴ぃ」

「え、兄貴?」


 バーンズが呼びかけるとパイプくわえたおじさんが「おう」と軽く手を挙げた。


「兄貴は冒険者ギルドのマスターなんですがね」


 めっちゃえらい人じゃん。


「普段は解体場のチーフなんですよ」


 うーん、人手不足を感じる。田舎特有の何でもできないといけない感じだ。

 ギルマスさんが苦笑しながら言う。


「受け付けもやってるぜ。うちみたいな田舎だと人を増やそうにも予算の問題があってな、職員五人で色んな仕事を回してんだ」


 従業員五人の零細営業所の所長か。うん、この人別にえらくも何ともねえわ。だって社長じゃなくて営業所の所長なんだもん。

 バーンズが背負い庫を降ろしてギルマスさんに見せる。


「うーん、この時期の毛皮はやっぱよくねえな」


 広げたシロクマの毛皮はあちこちが緑色のまだら模様になっている。シロクマは夏になると毛が緑色になるぞ。

 それプラス夏は毛が夏毛になるからな。俺も詳しくは知らんが敷物にするには微妙そうだ。


「でもよ、こいつはぼっちゃんが持ち込んだ物だぜ。よくねえのはわかってるが色をつけてくんねえか?」

「そうはいうがなぁ……」


 ギルマスさんがこっちをチラっと見てきたので俺氏オナシャスの構えである。なおジャパニーズオナシャスが通じるかどうかは不明だ。


「うーん、まとめて銀貨20でどうだ?」


 しょっぱい! 当初提示された額の三分の一じゃん!

 頼むぜバーンズ、ベテラン冒険者のネゴシエーションを見せてくれ。


「兄貴そいつは渋いぜ。25、25で頼む!」


 バーンズが拝み倒す構えである。こいつ交渉能力低そう。いや、実の兄貴相手だから頭が上がらないのかもしれない。……兄貴の上に上司だし上がるわけがねえか。


「ん~~~、よし、銀貨22で銀貨3枚分メシを食わせてやる、それでどうだ?」

「乗った!」


 バーンズとギルマスさんががっちり握手。商談成立だ。

 とりあえずバーンズはふくらはぎを蹴っておくわ。


「おい、何が金貨二枚だよ、一枚にもならねえじゃん」

「これで金貨二枚は無理だろぉ。バーンズてめえ何年冒険者やってんだ、夏場のブルートゥーグリズリーの毛皮が二枚もするわけねえだろ」


「いやぁ、ぼっちゃんを驚かせたくてつい……盛っちまいやしてね」

「驚いたのはその馬鹿な理由にだよ……」


 思ったよりも金にならなかったが銀貨22枚は素直に嬉しい。

 軽い話し合いの結果、バーンズが銀貨7枚。俺が銀貨15枚という取り分に落ち着いた。後は解体場から表に回り、札を見せて受付で金を貰う。


 ギルド内の酒場でだいぶ遅めの昼飯を食いながらしゃべる。


「あの解体場って俺が持っていっても使えるのか?」

「無理っす」


 無理か。ぼろい金策方法が見つかったと思ったんだがな……

 無理な理由はなんじゃろな?


「やっぱ冒険者じゃないとダメか」

「そっすね」

「じゃあ俺が冒険者になれば使えるんだよな?」

「ぼっちゃんはまだ冒険者になれねえっすよ」


 なんでや! 理由を言わんかい!


「あー、一応冒険者ギルドの規約に成人式を終えた者ってのがありやしてね。子供はギルド会員にはなれねえんですよ」

「思ったよりまっとうな理由だ……」


 冒険者ギルドに入会するには銀貨三枚と成人式を終えていることだそうだ。銀貨はその土地で使用される最もポピュラーな貨幣を採用。年齢に関しては自己申告だそうな。……ほぅ自己申告ですか


「なあ、今から俺十五歳ってことにできねえかな?」

「俺も兄貴もぼっちゃんの年を知ってますからねえ」

「じゃあ余所の町のギルドで登録するとか」

「何をどう言い張ってもぼっちゃんが成人しているふうには見えねえっす」


 くそぅ、七つの未成熟な体が憎たらしいぜ。


「兜かぶったらいけねえかな?」

「顔見せろって言われますぜ」


 そりゃそうだ。

 無理ね、最初に言われた通り無理なんだろうな。


「そう落ち込むことはありやせんよ。俺に言ってくれれば代理販売くらいはしますんで」

「そいつは助かるがいいのか?」


 バーンズがにっかり笑顔で右手にはオーケーマークだ。……いやこれはカネか?


「ええ、名義貸しで儲かるなら俺っちに断る理由はねえっす」

「てめえ、そこはタダじゃねえんだな」

「うっす」


 仲介料で丸儲けするつもり満々の顔してやがる。

 まさかあの声掛けからここまで全部計算してやがったか? 食えねえ野郎だぜ。


「さっき渡した解体ナイフはそのまま持っていてください。これからの儲けを考えたら安いものなんで」


 この野郎、とは思いつつも希少な収入源だ。このつながりは大切にしなければならない。


「じゃ…じゃあ先に取り分を決めておこうか」

「2:8でいいっすよ。さすがの俺っちも何もしてないのにそれ以上はいただけやせん」


 二割は取るんじゃねーか。くそぅ、派遣会社と派遣社員みたいな構図ができちまった。

 なーんか手のひらで転がされた気がする。まさか突き放されたと理解したうえで切ろうにも切れない関係を作りにきやがったか?


 うん、わかんねえ。嬉しそうな笑顔から読み取れるのはとりあえず嬉しそうだなってだけだわ。



◇◇◇◇◇◇



 バーンズとかいう仲介業者との付き合いが生まれてから一月ほどの時が流れて八月になった。真夏のマクローエンは気温でいえば25~28度程度なのだが低温に慣れた極北民の体にはこれでもじゅうぶんに堪える。息苦しさを感じるっていうのかね、そんな感じ。


 魔物を倒して魔物を担いで冒険者ギルドに持っていく。高値のつく魔物は図解付きのモンスターマニュアルの閲覧で学習済みだが、この一月の間で確実にこいつだと確信できた魔物はいない。たぶんこいつだというあやふやな感じで持っていき、本当にそうだったのは半々ってところだ。

 買い取り価格のつかない魔物は本当に安値で買い叩かれた。図体のでかい大物は比較的高値がつきやすい。だがつきやすいというだけで大物でも安いのはいる。


 酒を飲みながらそういう話をしていたらバーンズが笑い出した。やらかし続きの派遣社員を笑う派遣元って感じだ。


「その辺の見極めがついて初めて一人前なんでそう簡単にはいきませんよ。冒険者なんて一年やってようやく新入り卒業、四年も五年もやってようやく一人前っつー職業なんで」

「一ヵ月で弱音吐いてんじゃねえってか?」

「うっす」


 俺の稼いできたカネで呑む酒はうめえかこの野郎。普通にうめえって答えそうだな。

 まぁ今日はそういう話をしたいんじゃない。武器の相談だ。


「なあ、武器の手入れってどうしてんだ?」

「基本的には自分でやりますね。どうしようもない時は鍛冶屋に見せます」


 なるほど、じつに普通な解決方法だ。

 じつはルドガーからパクった小剣一号はだいぶ前に折れた。あいつはこの戦いについてこれなかった。仕方ないので屋敷の倉庫からパクってきた小剣を使っているんだが最近またボロくなってきたんだよね。


 小剣を鞘ごとバーンズに渡す。


「これなんだが手入れできるか?」

「これはひでえっすね。手入れっつーか買い替えるしかないっすね」


 半ば予想通りの反応である。うん、俺もこれは手入れがどうのこうのって段階じゃないと思っていた。


 つまりだ、本日のタイトルは『リリウス武器を買う』である。

 所持金はヘックス銀貨120、ボナ銅貨が21。これだけあれば強い武器が買えるんじゃなかろうか。



◇◇◇◇◇◇



「アルム、いるか、アルムー!」


 リリウス武器を買う。そのためにやってきたのは町はずれの職人街にあるド三流鍛冶屋だ。

 店内に並ぶのは鍋、片手鍋、包丁、草刈り鎌、クワという完全に金物屋のラインナップ。辛うじて武器と呼べそうなもので手斧と大斧というきこりジョブ専用装備。

 夢と希望を携えてやってきた少年に絶望を与えるために存在する施設なんじゃないかと俺は勝手に思ってる。……俺もね、最初は絶望したよ。


 とはいえこの町に一軒しかない鍛冶屋なんだよね。


「アルムー!」

「はいはい、大声出さなくたって聞こえてますよっと」


 奥からひょっこりと顔を見せたのがド三流鍛冶師のアルムだ。異世界鍛冶師と言えばドワーフを想像する俺の期待を粉々に粉砕する、線の細い優男だ。俺は常々こいつの適正職種はぜってえ花屋のお兄さんとかカフェ店員だと思ってる。


「なぁんだ、お客かと思えばリリウスぼっちゃんか」

「なんだとはなんだ」

「鍛冶屋に雑談に来る人をお客とは呼ばんでしょ」


 ふっふっふっふ。思わず含み笑いをしちまったぜ。


「甘いな、母ちゃんからパクった包丁で冒険者になろうとしてるクソガキくらい見通しが甘いぜ」

「なんです、まさか何か買いにきたってんですかい?」

「そのまさかだ。へい、このカネで買える一番強いショートソードをくれ」

「威勢のわりに随分と身の丈に合ったご注文で」


 くつくつと笑うアルムが俺がテーブルに叩きつけた革の巾着の中身を数える。

 120ヘックスだ。けっこうな大金だぜ。


「これなら合金製のロングソードだって造りますよ。ショートソードなら100ヘックスでお受けしましょう」

「オーダーメードになるのか」


 今すぐ欲しいんだが。


「残念ながら作り置きはやってませんので。その代わりぼっちゃんの背丈と手に合わせた使いやすい特注品です、中途半端な作り置きより良いと思いませんか?」


 鍛冶師としてはド三流のくせにセールストークだけは上手いな。さすがは適正職種が花屋とカフェ店員の男だ。


「ちょうど抱えてる仕事もないし二日で出来ますよ」

「二日か、まぁそれならお願いしようかな」

「ええ、まいどあり」


 魔物狩り皆勤賞もあえなく断念、二日くらいならちょうどいい骨休めかな?

 しかし娯楽に乏しい異世界生活は普段マジで暇なんだよなー。ピアノの練習でも再開するかあ……



◇◇◇◇◇◇



 マクローエン六兄弟にはそれぞれ得意な楽器がある。

 ヴァイオリンのファウスト。トランペットのルドガー。ギターラのバトラ。オカリナのアルド。そしてピアノのリリウスである。

 じつはトランペットとギターラも得意だけど二つ名はピアノのリリウスである。


 武器がねえからレベル上げはおやすみ。そんなホリデーをピアノを弾いて楽しむ俺のソロコンサート、演目は歴代FF名曲メドレー。俺さ、Xが一番好きなんだ! X-2も好きだぜ。


 FFは好きだけどさ、でも美麗なグラフィックとボリュームやゲーム性がトレードになったのはマジで失策だと思う。PCゲーと違ってハードの性能という限界がある以上グラフィックスの理論値に寄せるんじゃなくてある程度妥協してゲーム体験にちからを入れてほしい。

 ジョブシステムやスフィア盤みたいな遊べるキャラクターカスタマイズは必要だと思うんだよ。アクション要素を取り入れるにせよコマンドバトルに戻るにせよどっちかにきっかり振り切った方がいいと思う、中途半端はダメだと思うんだよ。


 まぁそれはそれとしてBGM班は常に優秀なのがFFの屋台骨だと思ってる。Xの襲撃はテンションぶちあがる名曲だよ。最高の結婚式ぶち壊しBGMだ。


 タイトル画面のプレリュードも普通に好きなんだけどピアノの腕が上がれば上がるほどフルートも欲しくなる。フルートが上手い男、控えめに言ってカッコイイ……


 というわけで援軍にアルドを呼んでみた。兄弟二人のちからでこのファンタジーをファイナルさせるんだ。


 そういう意気込みで演奏してるが全然息が合わない。というのもアルドが早々に飽きちゃって外で遊びたいと駄々をこねているからだ。今も演奏する俺の袖を全身を使って引っ張ってる。


「ねーリリ兄ー、外いこー外ー、外で遊ぼー!」

「所詮五歳児、五歳児に音楽なんて無理だったか」

「ねぇー!」


 ダメだ、駄々っ子モードになったアルドには説得は通じない。これはもう諦めて石を投げられる遊びをするかと覚悟を決めた頃だ。音楽サロンにルドガーがやってきた。バトラもいる。


 マクローエン家三男と四男のお馬鹿コンビはいつも双子みたいに一緒にいる。馬が合うというのもあるのだろうが年の近い子供が他にいないってのが大きいのだと思う。


「よせよせ、こうなっちまったアルドは梃でも動かねえって」

「なあアルド、兄ちゃんと町まで出ようぜ」


 アルドが俺とお馬鹿コンビを見比べている。アルドは正直者だからどっちと遊んだ方が楽しいか考えているのだろう。


「……石投げてもいい?」


 アルドよ、兄ちゃんに石を投げるのは楽しい遊びじゃないよ?

 最初に大騒ぎして楽しい雰囲気を出しちゃったせいでアルドの奴すぐに石を投げたがるんだよな。おかげで俺達の回避技能は高まる一方だ。


「石投げなんかよりも楽しいぜ、なんたって今キャラバンが来てるからな」


 隊商(キャラバン)、町から町を渡り歩く商人の群れを意味する言葉である。

 町の壁の外に魔物がうろつくこの世界では行商は命懸け。その土地の領主の最大の仕事とは街道に魔物除けの結界を構築して維持・管理をするものであり、古い時代には兵隊を組織して街道の安全を保証する代わりに通行税を課す者をこそ騎士と呼んでいたのだ。

 そういう意味ではドルジア皇室が編成する国軍としての騎士団は古い時代の騎士とはまったく異なる存在だ。

 まぁ街道の結界といっても百パーを保証するものではないし、山賊なんかには効果が無い。だから商人は知り合いとおかねを出し合って護衛を雇う。

 護衛を雇うからには大きく儲けを出さねばならないので馬車を増やす。積載も増やす。余所で商売をしたい商人を仲間に引き入れてかねを出させる。こうして大所帯になったものが隊商と呼ばれるグループだ。

 隊商は領主家にとっても歓迎するべき存在だ。おかねにがめつい商人たちも旅の疲れを癒すために宿に泊まるし酒場に通う。護衛の冒険者だって金を落としていく。土地の物を気に入れば余所の町で売るために買い付けもする。

 隊商とは経済を大きく回してくれる季節風のような存在なのだ。まぁ多少のトラブルも毎回のように起きるのでうちの兵隊どもは毎回バタバタしているがそこは給料を貰っている身として受け入れてもらいたい。

 隊商はカウンゼラ市の正門から入り、市街地の手前の広場にバザールを広げている。ちょっとしたお祭りの雰囲気であり、実際に旅芸人の一座が群衆を前に芸を披露していたりする。

 この時ばかりは町中の住人がバザールに集まってくるのでものすごい人ごみだ。


「わー、すっごーい!」

「アルド、兄ちゃんの手を離しちゃダメだぞ」

「うん!」


 いい返事だ。しかし依然として俺の手をぐいぐい引っ張ってどっかに行こうとするアルドの姿を見るに俺の話を理解していないのである。祭りで浮かれた五歳児だ、俺がうっかり手を離そうものなら確実に迷子になるぜ。


 ルドガーが走り出す。


「おい、あっちに吟遊詩人がいるぞ!」


 吟遊詩人か、初手としては悪くないな。大勢の子供達を集めている吟遊詩人の英雄譚を聞きに行く。


「銀の腕のエーリヒ! 乙女のごとき金の髪、誰もが振り返るその美貌、されど彼ほど苛烈な剣士は二人といない。銀の腕のエーリヒ、彼こそが無双の英傑なり!」


 義手の剣士エーリヒの悪竜討伐譚であるらしい。幼い頃から神童と謳われしエーリヒは病に冒された妹を助けるために剣を手にする。平たく言えば出稼ぎだな。


 様々な艱難辛苦がエーリヒを襲うが後に英傑と呼ばれるエーリヒはすべての敵を討ち滅ぼし、やがて町を代表する大剣士と呼ばれるようになる。麗しき妖精弓手のエリザ、無二の友たる魔導師クワイガン、深い絆で結ばれた仲間たちと共に火山に住まう悪竜討伐の旅に出る。町から三日の距離にある火山を旅っていうか?


 竜との戦いは三日三晩続いた。朝も昼も空は暗黒に染まり、空を焼く炎は町からも見え、殺意に塗れた咆哮は町にいても多くの人々に恐怖をもたらしたらしい。徒歩で三日なら百キロくらいか。どんなに大きな鳴き声でも聞こえない気がするんだがな。


 やがて空を覆った暗雲は晴れ、火山から聞こえてきていた悪竜の鳴き声はぴたりと止んだ。やがて英傑が凱旋したらしい。バトルシーンの描写なしってマジ?


「銀の腕のエーリヒ、おぉ銀の腕のエーリヒ、妖精に祝福された銀の腕と聖剣持つ英傑なり!」


 色々つっこんでいたが終わってみればいい英雄譚だった。吟遊詩人の腕がいいのもある。

 なおアルドは吟遊詩人の語る物語は一分で飽きて他に行こうと俺の手を引っ張ってる。アルドよ、こういうのが一番良いといつかお前にもわかる日がくる。


「けっこう面白かったな」

 って感想を言ってみる。馬鹿コンビの反応はどうだろう。


「まぁいい声してたよな」

「そうだな。けっこう面白かったしよかったよ」


 こんな感じで四人でバザールをぐるっと回る。据え物斬りなんかもある。参加料は5ボナ。台座に置いてある兜を見事斬れれば金貨2枚。ラーメン屋の大食いチャレンジみたいなもんだ。

 銀の腕のエーリヒの英雄譚にも出てきたので町のガキどもや若い冒険者が挑戦している。ルドガーとバトラが互いを肘で突き合っている。


「やってみろよ」

「いや無理だよ。あれ汚しているがミスリル銀の兜だぜ、あんなナマクラで斬れるもんか」


 ルドガーの発言が気になるねえ。


「やっぱミスリルって強いのか?」

「お前知らないのかよ、ミスリルはミスリルじゃないと斬れないんだぞ。わざとミスリルの鎧に剣を当てさせて剣を折る技もあるくらいだ」

「マジかよ」


 ミスリル銀の装備か、いったい幾らくらいするんだろうか? ちょっと興味が出てきたな。

 バトラが底意地の悪そうな顔つきで言う。


「お前は挑戦しねえの?」

「うーん、5ボナだしな、ドブに捨てるつもりでやってみるか」


 武器は興行主が用意した物を使うようだ。一見すると普通の剣だがよく見てみると刃が潰れている。これじゃあ野菜を切るのも一苦労だ。


 やってみる。大上段に構えて、一気に振り下ろす。


 ガキン! 鈍い音と共に宙を舞う折れた剣身がクルクル回転しながら地面に突き刺さった。うん、兜は無傷だ。


「ぼっちゃん、惜しかったね」


 興行主のおっさんがニコニコしながら俺の肩を叩いた。俺は何とも言い返せなかった。何を言っても敗者の弁でしかないし普通に悔しかったからだ。へらへらしながら「いやー、全然だめだったぜ」なんて言えるわけがあるか。

 なお馬鹿コンビは優しかった。


「まぁよくやった方じゃねーの」

「元々無理なチャレンジなんだ、気にしてねえで次いこうぜ」


 バザールを巡る。やけにでかい卵があるので何の卵かと聞いてみたら竜の卵らしい。なんて夢のある品なんだと思って値段を聞いてみたら20ボナって言われた。


「絶対ニセモノの値段じゃん」

「いや、そもそも竜は卵生じゃねーから」

「どうせ卵っぽく削った石じゃねえの?」


 バトラの豆知識が炸裂したところでインチキ商人の下を去る。さすがはキャラバンが来る度に冷やかしにきている馬鹿コンビだ。商人の詐欺の手口に詳しいぜ。


 バザールを巡る。武器を扱う珍しい商人がいた。商人というか流れの鍛冶職人らしく研ぎや歪み直しもやっているらしい。

 馬鹿コンビがいつになく真剣な顔つきになった。どうやら男の子の心にクリーンヒットしたらしい。


「……物はいいな」

「値段も悪くねえ、当たりっぽいな」


 二人して本気で物色を始めやがった。これはマジのやつだな。


「買うのか?」

「いいのがあったらな。……どっかの馬鹿にパクられたからな、自分用のが欲しいんだよ」


 俺のせいか、許せバト。


 俺も見てみるが武器の良し悪しがわからない。どこをどう見たらいいのかがわからないので適当に「いい仕事してますねー」って言っておく。


「お前も買うのか? つか俺からパクった小剣はどうした?」

「壊れたから捨てた」


 来る―――


 渾身のバトラナックルを回避する。俺の華麗なスウェイバックによって空振りしたバトラが舌打ち、再び武器の物色に戻った。


 値付けはショートソードがだいたい銀貨60枚。ロングソードが90。ナイフは10ぐらい。装飾の凝ったものはやや高めの値付けだ。そう、ショートソードで60だ。ちょっと思ったのはアルムの野郎にぼったくられた疑惑である。

 こういうのは専門家に聞くのがいい。露店の主に聞いてみよう。


「なあ、オーダーでショートソードを作ってもらうのなら幾らになる?」

「オーダーはやってねえよ。だがどうしてもって話なら80でやってやる」


 不愛想な店主がぶっきらぼうにこう言った。アルムへの疑惑がますます深まるのである。


「なあ、仮に100って言われたらそれってぼったくりかな?」

「あん? 手間を掛けるならそのくらいはいってもおかしくはねえ」

「手間ってどんな?」

「鞘に装飾を入れたり柄拵えを……まともな物にしようと思えば木工職人に外注を出すこともある。真っ当な職人が100と言ったならそれ相応の物が出てくるんだろうよ」


 なるほど、そういうものか。


「俺は細工は拘らない性質だからよ、客からの注文がなければ自分で適当に作る。拘る奴ならそこそこ値が張ってもおかしくはねえよ」


「この細工もあんたがやったのか?」

「こいつはな……前金を払った冒険者が受け取りに来なかったんだよ。たぶん死んだんだろ、よくあることだ」


 露店商人にも様々なドラマがありそうだ。店主がギロリと睨んできた、悪意ではなく視力に問題を抱えた男の睨み方だ。


「職人にも色んな奴がいる。適当な仕事をする奴もいれば信念を持ってるまともな奴もいる。そういうのは作った物を見ればわかるが……ガキに見分けろっては無理だろな」


 深い言葉だ。人生経験を積んだ男にしか出せない渋みがある。俺もこういう大人になりたいものだ。

 店主が木箱を漁り、中から立派な短刀を取り出し、俺に渡してきた。


「こいつは俺の師匠が造ったものだ。俺が知る限りじゃ最上の逸品だ」

「抜いてもいいか?」

「そのために見せたんだ」


 短刀を鞘から抜く。ナックルガード付きの片刃のナイフだ。刀身は仄かに青白く輝き、一目でそこいらのナマクラではないとわかる逸品。思わず見惚れてしまうほどに美しいナイフだ。これはまさかミスリル銀のナイフか?


「すごいな」

「そうだろう」


 短くぶっきらぼうな相槌だが誇りを感じ取れる言葉だ。おそらくは師匠を尊敬しているのだろう。


「凡百の刃を百も千も見たところで目利きにはならん。だが真の刃を一つ見れば多少は身につく」

「真に素晴らしい物を知れば駄作と本物を見間違うこともないってか。うん、なんとなくだがあんたの意図がわかった気がするよ」


「商人のように口の回るガキだ。……値段が剣の出来を保証すると信じる馬鹿にはなるなよ」

「うん、ありがとう」


 ナイフを鞘に納めてから店主に返す。ついでに興味本位で聞いて見たくなった。


「ところでそのナイフを買いたいと言ったら幾らになる?」

「こいつを売る気はない。だが値を付けろというのなら300テンペルはするだろうな」


 まさかの金貨300枚!


「それはお師匠さんから貰ったという付加価値もついての値段?」

「名工ライナックの作だ、金を出せば誰にでも手に入れられる刃ではない」


 適正価格で金貨300枚かよ。

 話が終わり、そろそろ余所に行こうかと思ったがルドバトお馬鹿コンビが無限に悩んでいる。こいつらの買い物なげーなって思いながら気づいた。


 気づいちまったよ。アルド、どこ?


 武器の露店に夢中になってる間にアルドが迷子になった。

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