scene4 平和
「無理して付き合う必要はないんじゃないか、学校は勉強の場だし、うわべだけの気の合わない友達なんて要らないんじゃないかな...無理する必要ない」
「そもそも私ならそんなもの始めから必要としていないわ」
「だまれ田中」
「…でも…」
「クラスの中でうまくいかないなら俺のクラスに来て俺に話かければいい。俺は1-Bの相良だ」
「…えっ?1-B?」
「そうだが…?」
「うっそ!?私も1-Bなんだけどあんた誰?」
「ええっ?!俺は1-Bの相良清太郎だ。お前こそ誰だ?同じクラス…?」
「金澤実花。1-Bの生徒よ」
「金澤…さん…記憶にないな...田中お前知ってるか?」
「私は私にしか興味ないし1-Bには私以外は存在しないわ」
「ええ?あなたたちも1-B…うそでしょ?存在感なさすぎじゃない?」
「馬鹿なことを言わないでよ私の圧倒的な存在感を無視できるわけないでしょ」
「俺は気付いていなかったけどな」
「私も」
「気が合うな」
「そこだけね…」
「もういいわ。燃やすのやめた」
金澤は振り返ることなく歩き始めた。
「あなたたち、見てたらバカらしくなってきた。結局自分は自分だし…」
そのまま教室を出ていく。
残された相良はその背中を見送った。
「...なんか...とりあえず解決した...のか…?」
「学校は消滅しなかったし何とかなったわね」
「基準...低くないか」
窓の外からはいつものざわめきが聞こえてくる。
教師の怒鳴り声も、チャイムの音も、日常が。
視界の中にある焼け跡の教室も徐々に日常が戻ってくる。
焼け跡の教室にも、少しずつ“普通”が戻ってくる。
相良は黒い右手を見つめた。
まだ黒と赤がうねり流動的に動いていた。
「なあ、すごい不安なんだが...」
「心配してもしょうがないわよ。明日には良い感じになってるわよ」
「他人事だな...」
「平和ってことよ」
「どこがだよ」
1話 完




