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第5章③vs薄井③

 パン!


 須磨のボールは薄井のラケットに当たらなかった。

 0―1

「これで4連取だぜ」

「ふん」

「このままいくぜ」

「ふん」

「ふん、ばかり言うなよ」

「ふふん」

 薄井は少しリズミカルな言い方だった。

「ふざけてんのか?」

 須磨のサーブ。


 0―3までいく。

「おい、先輩!」

 須磨は薄井に対して胸ぐらをつかむ勢いで話しかけた。

「なんだよ」

「さっきから、やる気ないのかよ」

「なにかと思ったら、そんなことか」

「なんだと?そんなことだと?!」

「言っておくがな、俺は大虎に言われたから勝負しているだけで、勝ちたいとは一言も言っていない」

 薄井は憮然とした顔で言った。

「やる気ない発言なんかしているんじゃねぇよ!」

 須磨はイライラした。

「そんなことより、早くサーブ打つぞ?」

 薄井はサーブ。


 バフっ


 須磨の返球がネットアウト。

 1―3

「ちっ、外したか」

「ふん。下手くそだな。俺は早く終わらせたいんだ」

 薄井は首を回しながらぼやいた。

「なんだと?」

「さっさとこんな試合を終わりたいと言っているんだ」

 薄井は繰り返した。

「お前、本当にやる気ないのか?!」

「そんなこと、どうでもいいだろ」

「……ちっ」

 須磨がサーブを打った。


 1―5まで進んだ。

「ちくしょう!」

 須磨苛立つ。地団駄を踏む。台を叩く。

「ふん。勝っているのに何を怒っている」

「お前の態度だよ!なんだよ、やる気ないなんて信じられない!」

「ふん」

 薄井のサーブ。


 7―5

 薄井は一気に6連取。

「あれ?」

「ふん。誰が勝つ気がないだと?」

 薄井の発言は、須磨からしたら衝撃の発言だった。

「でも、言っていただろ」

「勝ちたいとは一言も言っていない、早く試合を終わりたい、等とは言った気がするが」

「だから」

「だから、負けるとは一言も言っていない」

 薄井は素知らぬ顔で言った。

「お前、謀ったな」

「試合を操っただけだ。お前を怒らせたら簡単に点が入った。意外と操るのは簡単だな、打つボールと同様に」

「なに?イボラケットではボールのコントロールはできないはずでは?」

「それができるんだよな。慣れてきたら。もちろん、細かいところはできないが、かなり上手にはできる。それだけの練習はしてきたさ、勝つために」

 薄井はにやりを口角を上げた。

「それを聞いて、安心したぜ」

 須磨も糸に釣られたように口角をあげた。

「安心?」

「あぁ、やる気のないやつを倒しても嬉しくないからな」


 ――

「11―7。ゲーム薄井。ファイナルセット」

 二人はチェンジコートした。

 第3セットが始まる。

 薄井はボールを高く上げてサーブ。


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