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【一二三書房Web小説大賞の一時選考突破】 運と賢さしか上がらない俺は、なんと勇者の物資補給係に任命されました。  作者: 虫松
『カズヤと魔族のおっさんの事件簿:悪魔のコイン』

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第十話 追跡の影、そして黒幕

隠れ家の闇の中、追跡信号が静かに作動し続ける。モニターの光だけが、カズヤとアイゼンハワードの険しい表情を照らす。


「奴らが……来る……」

カズヤの低い声が響いた。


その瞬間、窓ガラスが鋭く割れる音とともに、黒い影が侵入してきた。ヒットマンたちは、追跡信号が導いたかのように、正確に隠れ家の入り口に姿を現す。


アイゼンハワードは瞬時に銃を構え、カズヤは素早く彼女の身を守るため前に立つ。伊藤ハルカは震えながらもデータを抱きしめ、後方に下がった。


「あいつをやれ……!」ヒットマンのリーダー格が低く唸る。


激しい格闘が始まる。カズヤは体を翻してナイフで突進してくる敵をかわし、アイゼンハワードは銃と格闘術を駆使して敵を制圧する。しかし、ヒットマンたちはプロであり、手強い。


「伊藤さん、ここに隠れて!」カズヤの叫びに、彼女は小さな物陰に身を潜める。


敵が押し寄せるたび、隠れ家の空間は緊迫の連続となる。窓や家具に衝突する音、銃声、そして人の息遣い――全てが恐怖と緊張を押し上げる。


やがて、格闘の最中に一瞬の静寂が訪れる。ヒットマンたちが一歩下がり、背後のドアがゆっくりと開いた。


そこに立っていたのは、福田優子だった。冷たく微笑むその瞳は、全てを掌握しているかのようだ。


「やっと、ここまで来たのね……カズヤ、アイゼンハワード」彼女の声は、甘くも凍るような響きを帯びていた。


「……お前が黒幕か」カズヤは息を整えながら呟く。


優子は小さくうなずき、背後に控える織田哲夫を指さす。

「彼と私は、このゲームを最初から仕組んでいたの。あなたたちが解析を進めるたびに、追跡信号が作動して、私たちはあなたたちの居場所を知った。そして、ここで全ての駒を動かす……」


追跡信号によって誘導されたヒットマンたちは、まさに優子の手の内で動かされていたことが明らかになる。


アイゼンハワードは冷静に状況を判断する。

「奴らを倒すのは私たち自身だ……でも、この罠の本当の狙いは、ここで私たちを追い詰めることだな」


カズヤは握りしめた拳を見つめ、決意を固める。

「ここで負けるわけにはいかない……そして、このいつらを、ぶち倒す!」


隠れ家の暗闇の中、追跡信号が作動し続ける音と、緊張に張り詰めた空気。今、カズヤたちとヒットマンたちの死闘が最高潮に達し、黒幕の正体も完全に明らかになった。


次の瞬間、隠れ家の中で、血と光の中を駆け抜ける激しい戦闘が再び始まる。


隠れ家の中、追跡信号に導かれたヒットマンたちが襲いかかる。カズヤは素早く体を翻し、近距離から飛びかかる敵をかわす。アイゼンハワードは銃を構え、一発ごとに的確に敵の進行を止める。


「カズヤ、左だ!」アイゼンの声に反応し、カズヤはもう一人のヒットマンを倒しながら伊藤ハルカを庇う。


激しい格闘の末、ヒットマンたちは次々と制圧され、倒れ込む。荒い息をつきながら、カズヤはモニター越しに追跡信号の制御を確認し、完全に遮断する。これで外部からの誘導は断たれた。


「……これで一段落だな」カズヤは拳を握りしめ、床に散らばる敵の影を見下ろす。


だが、静寂は長くは続かなかった。倉庫の奥から、優子と織田がゆっくりと姿を現す。


「お待たせ、カズヤ、アイゼンハワード」優子の声には冷たくも不敵な響きがあった。


「あなたたちが……黒幕か」カズヤは静かに言い放つ。


織田は薄く笑いながら煙草をくゆらせる。

「正確には、私たち二人だ。君たちの解析を利用して、すべての駒を動かした」


優子は小さくうなずき、手元の端末を操作する仕草を見せる。

「追跡信号はもう効かない。今度は、私たちが直接動く番よ」


緊張が張り詰める中、アイゼンハワードがカズヤに囁く。

「奴らはもう遠慮しない。ここで勝負を決めるつもりだ」


カズヤは頷き、伊藤ハルカを背後に回す。

「守るべきものは守る……絶対に負けない!」


その瞬間、優子が端末から小さな爆光を放ち、倉庫内が閃光に包まれる。織田が剣のような武器を構え、カズヤに迫る。


カズヤとアイゼンハワードは互いに息を合わせ、次々と優子と織田の攻撃をかわしながら反撃を開始する。


アイゼンハワードの正確な射撃が織田の武器を弾き飛ばし、カズヤは優子の不意を突いて接近戦に持ち込む。伊藤ハルカは必死にデータを守りながら、二人の動きを見守る。


「これで終わりよ!」優子が叫ぶ瞬間、カズヤは咄嗟に跳び上がり、彼女の動きを封じる。

織田もまた、アイゼンの冷静な動きによって武器を奪われ、背後に追い込まれる。


織田は短く息をつき、端末を地面に落とす。

「これで……全てが……終わるのか」


アイゼンハワードが静かに頷く。

「罠は解かれ、君たちの策略も失敗した。これ以上の犠牲は出させない」


隠れ家の中、瓦礫の影に覆われた黒幕二人は、静かに逮捕の手が伸びるのを待つしかなかった。カズヤたちは、伊藤ハルカの命とデータを守り切り、仕掛けられた罠の全貌を明らかにしたのだった。


外では、夜明け前の薄明かりが港湾の波に反射し、静かに新しい一日の始まりを告げていた。危険の中で得た信頼と連携の力、それが今回の勝利の証であった。


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