第七話 狙われた命
東京の夜は闇に包まれ、街の喧騒は次第に遠のいていった。
だがカズヤとアイゼンハワードにとって、この夜は決して終わらない。
彼らはセキュリティエンジニア・伊藤ハルカが狙われていることを知り、彼女のマンションへと急いでいた。
「伊藤さんのマンションはすぐそこだ。どうか無事でいてくれ…」
「いやな予感がする。急げ、カズヤ!」
到着した瞬間、カズヤは異変を察知した。
オートロックは開けられ、エントランスは静まり返っている。
さらに彼女の部屋のドアは半開きで、中から鈍い衝突音と女の短い悲鳴が聞こえた。
カズヤは拳銃に手をかけ、アイゼンハワードに合図を送る。
二人は息を潜め、ドアを押し開けた。
部屋の中
伊藤ハルカが清掃員の格好をした覆面の男二人に押さえ込まれ、今にも口を塞がれ袋に詰められようとしていた。
「やめろ!」
カズヤの叫びと同時に、アイゼンハワードが巨体をぶつけるように飛び込む。
ドアが壁に叩きつけられ、衝撃で敵の注意が一瞬逸れた。
ハルカは必死に抵抗し、その隙に床へ転がり出る。
「クソッ、邪魔が入ったぞ!」
ヒットマンの一人がナイフを振り上げ、カズヤに襲いかかる。
狭いリビングで刃が閃き、ソファの布地が裂ける。
カズヤは身をひねりながら反撃、肘打ちで敵の喉元を叩き込んだ。
一方、もう一人のヒットマンはハルカを再び捕らえようと腕を伸ばすが――
「触るな!」
アイゼンハワードの大きな手がその腕を掴み、捻り上げた。骨が軋む音が響き、男が苦痛の叫びを上げる。
しかし相手はプロ。
一人が閃光弾を床に転がすと、白い光が部屋を包み込んだ。
視界が奪われ、ハルカの悲鳴が響く。
「カズヤ! 連れ去る気だ!」
閃光の中、ヒットマンが窓際へとハルカを引きずっていく。
窓の外にはロープが吊るされ、仲間の逃走ルートが準備されていた。
「伊藤さん、しっかり掴まれ!」
カズヤは咄嗟にその腕を掴み、窓辺でヒットマンと奪い合いになる。
狭い窓枠に体がもつれ、落ちれば即死という緊張感が張り詰める。
アイゼンハワードが背後から飛び蹴りを放ち、ヒットマンを吹き飛ばした。
ガラスが砕け、男の身体は窓から転落していく。
残った一人も、カズヤの渾身の拳に沈んだ。
荒い呼吸の中、伊藤ハルカは涙を浮かべながらカズヤにしがみついた。
「助けてくれて…ありがとうございます。あと少しで、私は…」
カズヤは彼女の肩を支えながら、強く言った。
「もう大丈夫です。俺たちが必ず守ります。」
アイゼンハワードは割れた窓の外を睨みながら低く呟いた。
「奴らは本気だ。情報が漏れたことを知っている…つまり、黒幕にとって彼女は最大の脅威ってことだな。」
三人を包む夜風は冷たかったが、その緊張は一層熱を帯びていた。
彼らは今や、ただの証人と護衛ではない。共に黒幕へ立ち向かう同志となったのだった。
福田 恒夫(死亡)
年齢: 67歳/大富豪、HR東日本の重役。心臓病を患いペースメーカー装着。リニア新幹線成功を遺産とする理想主義者。
福田 優子
年齢: 29歳/恒夫の若妻。社交的だが内面に不満を抱える。
織田 哲夫
年齢: 35歳/恒夫の秘書。忠実だが野心的。優子との関係に葛藤を抱える。
三神 浩太郎
年齢: 56歳/三神建設社長。権力志向が強く冷酷。政財界に太いパイプを持つ。
鈴木 一郎(重症)
年齢: 48歳/三神建設専務。冷静沈着。組織維持のためには法を曲げることも辞さない。
伊藤 ハルカ(いとう はるか)
年齢: 27歳/セキュリティシステムエンジニア。リニアのセキュリティを設計。事件の技術的鍵を握る。
高橋 遥人
年齢: 34歳/三神建設顧問エンジニア。冷徹で計算高い。利益独占を企む黒幕の可能性あり。
小野寺 理沙
年齢: 31歳/福田家の家政顧問。知的で社交的だが秘密主義。夫婦の秘密や金銭問題を握る。




