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【127万PV突破】 運と賢さしか上がらない俺は、なんと勇者の物資補給係に任命されました。  作者: 虫松
『魔王と勇者の継承者(デュアル・ヘリテイジ)ダイ・マオウの大冒険』

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1810/1901

第3話 森の呻き

日が沈み、浜辺を覆う焚き火の光が心許なく揺らめいたそのとき

悪魔の島の森の奥から、低いうなり声が響いた。


 「……グゥゥゥ……ギ、ギィィィ……」


明け前の海風が、焦げた機体の残骸をなぶる。

火は消え、漂うのは金属と血の匂いだけだった。


生存者たちは焚き火を囲み、ほとんど眠れぬまま夜を明かした。

誰もが昨夜の“咆哮”を忘れられなかった。


あの低いうなり声。

まるで島そのものが呻いているようだった。


「水を探さなきゃ。このままじゃ全員脱水で終わる」

マルコが地図もない手元の砂に棒を突き刺し、方向を示す。


ジャーナリストのマリアと海洋学者オスカーが水の探索チームに選ばれた。

彼らは森の中へと足を踏み入れた。



◇◇◇



水を探しに行った森の奥に消えた探索チームが戻らない。

焚き火の前で、誰もが口を開けずにいた。


カズヤは時計を見た。出発からすでに十時間が過ぎている。

「遅すぎるな」

短く言っただけで、場の空気が一気に張り詰めた。


「探しに行ったほうがいい」

エヴァ(医師)が立ち上がる。

「彼らには水も食料も持たせてない。もう夜になる」


「行くなら俺が行く」

マイケル(元軍人)が銃を手に取る。

「ただし全員じゃない。残りの者が拠点を守れ」


森の入り口まで来た時、彼らはそれを見つけた。


マリアのカメラ。

泥に半分埋もれ、レンズには血のような赤黒い液体がこびりついていた。

ファリード(医療支援員)が拾い上げる。

「これ、彼女のカメラだ。間違いない」


そしてもうひとつ。

近くの地面には、深くえぐられた爪痕と、引きずられたような長い跡。

それは森の奥へと、まるで“何か”が獲物を運んだかのように続いていた。


「……戻ろう」

カズヤの声は冷静だった。

だがその冷静さこそが、全員をいっそう不安にした。


焚き火の前に戻った彼らを、他の生存者たちが囲んだ。

「どうだった?」

「マリアは? オスカーは?」

 口々に問い詰める。


マイケルは沈黙し、カメラを火のそばに置いた。

「……見つからなかった」


「嘘でしょ……? そんな……」

ソフィア(カメラマン)が震える声で呟く。


「映像が残ってた。見たほうがいい」

カズヤが言い、再生ボタンを押した。


――ザザ……ザ……。


ノイズ交じりの画面。

木々の影、走る足音。誰かの息遣い。

「なにかいる……足音が……」

その直後、赤い光が二つ画面の端に現れた。


「ギィ……グルルルル……ッ!!!」

次の瞬間、画面が大きく揺れ、何かがカメラを掴むような音。

「マリア!!!」という絶叫。

そして、映像は途切れた。


沈黙。


火の爆ぜる音だけが、夜の空気を裂いた。

「……獣にやられたのか?」


マルコ(生物学者)が顔をこわばらせて言う。

「狼か虎か、そういうやつだ」


「違う」

カズヤが静かに言った。

「これは“何かに作られた存在”だ。普通の生き物じゃない」


レイチェル(海洋学者)が地図のように描いた島の地形を見つめる。

「この島の生態系……バランスが崩れすぎてる。

 夜行性の捕食者が一種類だけ存在するなんて、自然界ではありえないわ」


ハンナ(登山家)が顔を覆う。

「ねえ……もしかして、この島、誰かが私たちを閉じ込めてるの?」


誰も答えなかった。

波の音も、虫の声も、すべてが止まっていた。


その沈黙を破るように、遠くから再び


「グゥゥゥ……ギギギ……」


低く湿ったうなり声が森の方から響き渡った。

焚き火の炎が、一瞬だけ大きく揺れた。


「……あの森には、もう誰も入るな」

アイゼンハワードはそう言い、静かにカメラを閉じた。


そして、その夜。

誰も眠れなかった。



第3話終了時点 登場人物一覧


カズヤ・アイゼン(日本):探偵。冷静沈着で状況分析を担当。リーダー格。

アイゼン・ハワード(イギリス/魔族):魔族の記録者。人間観察と分析担当。冷徹な理性。

マルコ・フェルナンデス(スペイン):生物学者。島の環境と生態系を調査中。

マリア・ゴンザレス(アルゼンチン):ジャーナリスト。記録・取材担当。強気だが正義感が強い。

オスカー・チャン(香港):海洋学者。島の周囲の潮流・生物を研究。冷静だが臆病。

ハンナ・キム(韓国):登山家。地形確認と安全ルート確保担当。体力と判断力に優れる。

エヴァ・シュミット(ドイツ):医師。応急処置と衛生管理を担当。現実主義者。

ソフィア・モレノ(メキシコ):心理学兼カメラ担当。撮影・記録係。感情に敏感。

ルーカス・ベントレー(イギリス):投資家。冷徹で自己中心的。物資管理を買って出るが不信感が強い。

ダニエル・オーウェン(オーストラリア):エンジニア。装備修理・防衛線設置を担当。実務派。

カタリナ・ヴォルコワ(ロシア):起業家。資金提供者の一人。冷静だが計算高い。

リディア・フォスター(アメリカ):心理学者。生存者たちの精神状態を観察。幻覚の兆候を最初に指摘。

アントニオ・サントス(ブラジル):シェフ。食料調理・配給を担当。陽気だがプレッシャーに弱い。

ナディア・カーン(パキスタン):ITエンジニア。通信機器・データ解析を担当。理知的だが内向的。

レイチェル・スミス(イギリス):生物学者。海洋・陸上生態系を観察。冷静で洞察力に優れる。


死亡者:マリア・ゴンザレス(ジャーナリスト)、オスカー・チャン(ビジネスマン)

生存者数:13名


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