第13話 核兵器前での戦闘 中盤
制御室 ― カウントダウン 7分55秒
赤い警報が脈打つ。
英雄たちは追い詰められた――だが、その瞳はまだ死んでいなかった。
戦闘①:ジャスパー vs ヴォルフガング
首筋に冷たく押し当てられたナイフ。
ヴォルフガングが囁く。
「恐怖に震えるお前が見たかった。」
その刹那、ジャスパーはわざと深く息を吐き、汗を床に落とす。
反射した赤い光をヴォルフガングが一瞬見た。その隙に、ジャスパーはブーツの仕込みナイフを抜き、相手の手首を弾いた。
「震えてるのはお前だ。俺に二度も背を見せたんだからな。」
ナイフが宙を舞い、ジャスパーは再び銃を拾い上げる。
戦闘②:セリーヌ vs ルシアン
ルシアンの狙撃銃が彼女を追い詰める。
「逃げても無駄だ、セリーヌ。お前はまだ“弟子”だ。」
セリーヌは壁に身を隠し、流れる血を押さえながら目を閉じる。
次の瞬間。彼女は銃を構え、足音をわざと響かせて飛び出した。
「なら、弟子の卒業試験を受けてもらうわ!」
ルシアンが反射的に射撃するが、それは囮。
セリーヌの本当の狙撃は、鏡に跳ね返した反射弾。
ルシアンの肩を撃ち抜き、恩師の冷静な表情に初めて揺らぎが走る。
戦闘③:カテリーナ vs イヴァン
壁に叩きつけられ、肺の空気を吐き出したカテリーナ。
イヴァンが迫る。
「終わりだ!」
だが彼女は笑った。
「力だけじゃ勝てない。私の流儀を教えてあげる。」
床を蹴り、イヴァンの巨体を逆に利用し、肩に飛び乗って首に両脚を絡める。
回転しながら叩き落とし、イヴァンの巨腕を床に縫い付けるように極めた。
「速さと技で、岩をも砕く。」
イヴァンの表情が苦悶に歪む。
戦闘④:アイゼンハワード vs オットー
銃がハッキングで封じられ、ドローンの火線に追い込まれるアイゼンハワード。
オットーが勝ち誇ったように告げる。
「古き戦士よ。時代は終わった。」
しかし、老将は静かに笑った。
「戦争の時代に終わりなどない。知恵と胆力がある限り。」
彼はドローンの射線を計算し、あえて柱を貫かせる。
飛び散った鉄片を拾い、即席の投擲武器としてオットーの端末を叩き割った。
「小細工に頼るから、肝心なときに脆いのだ!」
火花が散り、ドローン群が制御を失って墜落する。
再び均衡する戦場。
4人の瞳が燃え、敵の表情に初めて焦りが走る。
「残り時間、7分30秒。」
赤い光と警報が鼓動のように鳴り響く中、戦いは新たな局面へと突入した。
制御室 ― カウントダウン 6分45秒
赤い光が激しく点滅し、機械音声が冷たく響く。
「残り時間、6分30秒。」
一度は盛り返した4人。
だが、レッドウルフの精鋭はここから牙を剥いた。
戦闘①:ジャスパー vs ヴォルフガング
ジャスパーが銃を構え直した瞬間、ヴォルフガングは不敵に笑った。
「忘れたか? 俺は死から戻った男だ。」
彼の体に隠された装置が作動し、瞳が赤く光る。
瞬間、異常な速度で姿がブレ、背後からジャスパーを狙う。
銃声が響く――しかし弾丸は虚空を裂くだけ。
ヴォルフガングのナイフがジャスパーの頬を掠め、血飛沫が散った。
「俺を二度も倒せると思うな!」
戦闘②:セリーヌ vs ルシアン
肩を撃たれたルシアン。
しかし彼は痛みを表情に出さず、冷徹に銃を構える。
「反射を使うとは成長したな。だが、教えたのは私だ。」
ルシアンの弾丸は壁、床、柱を連鎖的に跳ね返り、セリーヌを正確に囲い込む。
「っ……!」
逃げ場が塞がれ、弾丸が髪を裂き、火花が頬を焼く。
ルシアンは淡々と告げる。
「弟子よ、師を越えられぬまま死ね。」
戦闘③:カテリーナ vs イヴァン
床に極められたはずのイヴァンが、筋肉を唸らせながら腕力だけで拘束を砕いた。
「小娘が!」
彼の拳が床を砕き、衝撃波のようにカテリーナを吹き飛ばす。
「ぐっ――!」
背中を打ち、息が止まる。
イヴァンは猛獣のごとく迫り、両腕を広げて叫ぶ。
「速さなど無意味! 力こそ全てだ!」
戦闘④:アイゼンハワード vs オットー
ドローンを墜落させたはずの戦場。
だが、オットーはもう一つの端末を取り出した。
「甘いな、同志よ。俺は策を三重に張る。」
残存する防衛機構が再起動し、制御室の自動砲台がアイゼンハワードを狙う。
轟音と共に銃火が床を抉り、鉄片が飛び散る。
老将は盾にしていた柱ごと吹き飛ばされ、膝をついた。
オットーが冷笑する。
「年老いた獅子に勝機はない。」
ジャスパーの銃は捉えられず、血を流す。
セリーヌは弾幕に追い込まれ、立ち位置を失う。
カテリーナは床に叩きつけられ、息を荒げる。
アイゼンハワードは砲火の雨に晒され、片膝をつく。
「残り時間、6分。」
赤い警報灯の下、英雄たちは再び窮地に立たされた。
その瞬間、制御室の中央、鋼鉄のドアが軋みを上げて開いた。
赤い光を背に、銀白の髪がゆらりと揺れる。
ゼフィルが現れた。
鋼の瞳が、疲弊した4人を見下ろす。
「レッドウルフの精鋭隊たちよ見事だ。だが結局、抗う者はこうして膝をつく。」
彼はゆっくりと両腕を広げ、核のカウントダウンを指し示す。
「6分後、この世界は燃える。止められるものなら止めてみろ。」
制御室の空気は張り詰め、ついに最終決戦の幕が上がった。




