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滅鬼の刃  作者: 大橋むつお
49/56

49:『演劇部と留年と』

滅鬼の刃 エッセーラノベ    


49:『演劇部と留年と』  





 やっぱ、変だよ(ㅍ_ㅍ)。


「ふぅん、それでそれでぇ?」と前のめりになるので、演劇部の話を二年進めたところで半畳を入れる栞です。それもジト目です。


「なにが変なんだよ」


 こっちも、こんな (¬д¬)顔になってしまいます。


「だってさ、修学旅行を二回行くなんておかしいし」


「え、あ、そこ?」


 演劇部のことだと思ったら、マクラに話した『二度目の修学旅行』のところに引っかかっていました。



 わたしは、高校二年を二回やりました。



 人に話すと「え、なにか病気で?」と聞かれますが、単に勉強をサボっていたからです。


「卒業式で送辞まで読んだんでしょう?」


「ああ、まあな」


「そんな調査ってないんだろうけど、もし『卒業式で送辞読んで留年したひと!?』って調べたらさ、日本中でお祖父ちゃん一人だけだと思うよ」


「アハハ、そうかなあ(^^;)」


「笑うとこじゃないと思うんだけど(-_-;)」


「え、そうか?」


「そうだよ。それに、次の二年で、もう一回修学旅行に行くなんて、なんの罰ゲーム!?」


「いや、担任からは特に『参加するように』なんて言われてないぞ」


「て、ことは自分から進んででしょ」


「そうだよ、HRで先生ためらうんだよ」


「え、なにを?」


「修学旅行の説明会のプリントさ。けっきょくはくれたんだけどな」


 思い出します。HRの冒頭「後ろに回して……」と言って先生は各列の先頭にプリントを置いていきます。二列目に置いた時、一列目のわたしに気づいて——あぁ——という顔になりました。留年生のわたしに気が付かれたんですね。


「気を遣わせたと思ったんだ。お祖父ちゃん普通に行くつもりになっていたしな。それで、親に相談したら……」


「ひい祖父ちゃんとひい祖母ちゃん?」


「ああ、そうしたら『あ、そうか』って、旅費もくれたしな、担任に『僕も行きます』って。先生喜んでたぞ」


「あははは(^^;)」


「あははは(^^)」


 話しを変えました。


 チョボチョボチョボ……お茶を淹れながら話を続けます。


「……それで、けっきょく部活は三年の終わりまで続けてなあ」


「ふつう、三年になったら引退するでしょ?」


「必ず辞めろってわけじゃないからな」


 ズズーー


「後輩の人たち迷惑だったと思うよ」


 あ……それについては思わないでもないのですが、50歳も年下の栞に言われては素直には認めません。


「それでもな、祖父ちゃんの次の学年からは男子も入るようになったんだぞ<( ̄- ̄)>エッヘン!」


「あ、そぉ……」


「まあ、そんなこんなでアグレッシブな奴だって評価されるようになってな。非常勤職員やら講師やらで呼んでもらえるようになった」


「え、あ、大学は?」


「もち、行ってたぞ、五年かかったけどな。その間も放課後の部活には行ってやってな——大橋は学校が大好きなんだ——て評判が立った」


「う、うん」


「で、四回生の時、産休の図書室司書をやらせてもらってな、その後も非常勤講師を三年やらせてくれて(^^)、四年目に採用試験に受かって本雇いになったわけさ!」


「……お祖父ちゃんさぁ」


「うん?」


「演劇部の後輩に好きな子とか居たんじゃないの?」


 ゲフ


「それもさ、年を置いて何人か……お祖父ちゃん惚れやすいからね」


「あ……まあ、美人も可愛いのもいろいろいたけどな……そういうとこじゃなくて……けっきょくは、お祖母ちゃんといっしょになったしな」


「そうだよね、うちの親が生まれて、わたしが生まれたわけだしね……」


 言葉が途切れると栞のスマホが鳴りました。


 電話ではなくメールのようです。


「あ、美容院空いたから、行ってくる」


 軽やかに玄関を出て行って、見送った空は久々の雨です。


 ここのところの渇水が回復すればと空を見上げ、新聞を取り入れて戻りました。




 ☆彡 主な登場人物


 わたし        大橋むつお

 栞          わたしの孫娘 

 武者走       腐れ縁の友人(35回より故人)



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