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エピソード36 「 V.S 魔王シルフィ・リリー 」


「ハッハッハ。余のマントを燃やした代償は大きいぞトウマ!」




「なっ、お前それは反則だろ! 今すぐアイツらここに呼び戻せ!!」




「何を言っておる。大魔王とは一対一この世の常識だろう」




「そんな常識聞いた事ねぇよ!勝手に新しい常識作ってんじゃねぇ!」




 俺が知ってる魔王の常識は『大魔王からは逃げられない』という某有名漫画のフレーズぐらいだ。




「戯言は良い。ではゆくぞトウマ。魔王城最終戦の幕開けなのだ!!」




瞬間、魔王の姿が消えた。同時に左側から全身が寒気だつとてつもない悪寒が放たれる。




「ッツ、【魔眼『明鏡止水』】」




止まった世界で悪寒を感じた方向を見るとそこには右手に禍々しい魔力を滾らせ俺の脇腹を貫こうとする魔王の姿があった。




あんなもの生身のままモロに喰らったら3日は動けなくなる。




止まった世界の中、俺は魔眼を切り替える。瞳の色が金糸雀色に変わると同時に世界が動き出す。




魔王の右手を『破魔』で見つめ魔法を強制的に解除し、相手の動きに合わせるように拳を繰り出す。




ーーーバチンッ!!




という、音と共に拳に痛みが走る。なんとか魔王の一撃を弾いたはいいが素の力が違いすぎて拳を振り抜いたはずの俺の方がダメージがでかい。




「おおー、余の一撃を防ぐとは。流石余が選びし魔王軍幹部なのだ!うぅ〜久しぶりに身体の奥の方がゾクゾクするのだ。滾る滾るぞ〜」




身を縮めてプルプルと身体を震わせる。幼い容姿と際どい衣装でそう言われると危ない想像に駆られかけるが、この狂戦士(バーサーカー)の滾るはそんな甘い意味ではなく、目の前にいるやつをぐちゃぐちゃのけちょんけちょんにしてやるぞ♡って意味だ。




狂戦士状態の魔王の相手なんてのは常人ならば0.1秒だってもたない。というより同じ空間に立った瞬間に泡吹いて倒れる。




魔族の俺でもこのままだとどこまで持つのかわからない。それくらいあの脳筋バカの素の力は強い。せめて幹部連中が戻るまではなんとか時間を稼ぐ必要がある。

だからこの場に最も適した魔眼を発動させた。




「ぬ? 瞳の色が白くなったの。その眼は『鬼眼(きがん)』か。全身の身体能力を飛躍的に向上させる鬼の眼。よかろう少し揉んでやるぞトウマぁぁああああ」




 喜色満面。その幼い顔にお花畑を咲かせ。魔王が突っ込んでくる。




 魔力を宿した一撃を俺の身体に放ってくる。それに合わせるように拳を放つ。先ほどかろうじて弾いた魔王の拳だが今度は俺の拳に僅かに押し返される。




「ふふふ、余の拳を押し返すか。やるではないか褒めてつかわすぞトウマ。だが今の一撃は全くもって魔力を込めておらぬからな。次の一撃は果たして止められるかな」




 そう言って距離をとった俺に見せつけるように右拳を差し出す。そこに魔力が宿る。空間全てを呑み込んでしまいそうな魔力の渦が空間を支配した後、急速に収縮し、魔王の右拳を黒紫(こくし)色に燃え上がらせた。




「さあ、トウマ。お主はこれをどう防ぐ。まだまだ余を楽しませてくれるのであろう。ゆくぞ!」




魔王が一気に俺との距離をつめる。全てを無に帰すかのような一撃。それが白い魔力につつまれた俺の拳と交わる。魔王城が揺れる。




 そして負けた拳が弾かれ、勝った拳が相手の腹部に減り込む。




俺は魔王の露出した柔らかい腹部に拳を減りこんだ己の拳を金糸雀色の右目と白色の左目で見る。




「ふっふっふ。そういえばそうだったのう。魔眼の同時発動。お主と戦うのも英雄として余に挑んできたとき以来だったのでそんなこともできたのを忘れていたのだ」




「おまえどんだけ脳みそちっちゃいんだよ。普通あんな激戦した相手の戦闘スタイルくらい覚えてるだろ」




「何を言っておる。あのときのことはよ~く覚えてるのだ。そうただただ楽しかったっていうことだけをなっ!」




 そう言うと俺の腕をとり力任せに空中に放り投げてくる。




 そこに炎属性の火球を無数に投げ来る。




「俺に魔法は効かないってまだわからないのか? 魔眼【破魔】」




 破魔は相手の魔法を固める魔眼だ。そして固めた魔法に俺が触れればその魔法はくずれ落ちる。そして金糸雀に魅せられた火球の流星群はその身を空中で止め、暗黒の魔王城を彩る紅色のインテリアとなる。




「侮るでないぞ。トウマ。お主の破魔は見つめるだけで魔法を強制的に固め、お主が触れると崩れる。見られるだけでその威力は殺されるが、何も魔法は相手に当てるだけが全てではないのだ。たとえばこんな使い方だってあるのだ」




 すると魔王は空中で固まった火球を足場にして高速で俺のもとへと駆け上がってきた。




「なっ!? チッ【明鏡止……】」




「遅いのだ!!」




 俺が時を止める前に先ほどとは一転、今度は魔王の拳が俺の腹に減り込む。




 そして魔王城の壁に激しく身体が打ち付けられる。




「これでおあいこなのだ」




「何がおあいこだバカヤロウ。ダメージ量が桁違いだろうが」




 そう言って俺は崩れた瓦礫を払いながら立ち上がる。




 まったく魔王決戦を人生で二度も経験するなんて、魔界の広しといえど俺だけだろコレ。


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