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エピソード35「魔王の間」


 目の前には黒色と金色が入り混じった大きな扉がある。




 その扉の中央には白い画用紙に手書きで『まおーのへや』とミミズの張ったような文字で書かれた表札のようなものが張られていた




「普段こんなもの張ってなかったから魔王様がご自分で書かれたみたいね」



「ははは、完全に私らと遊んでる感覚なんだろうね~♪」




 フラムとリルがどこか呆れたように話しているのをしり目に俺は画用紙の元へと歩みを進める。



「おっ、トウマ。もう突入するのか。いったん作戦とか考えたほうがいいんじゃないか?

ってトウマぁああ!?」




 俺はクソロリ魔王手書きの画用紙を盛大に引き剝がし、破り捨てた。




「あのクソロリ魔王!毎度毎度俺の手を煩わせやがって誰のためにこんな苦労をしてやってると思ってんだ。今日という今日は頭にきた。上司とか関係ねぇ。絶対に泣かす!そんで泣いても許さねぇ!!」



「お、おいサモントウマのやつがブチ切れてるぞ」




「ほっほっほ。だいぶ魔王様にたいしてフラストレーションがたまっていたようですから致し方ないといえば致し方ない」




 勢いのままに荘厳な扉を蹴り破る。すると部屋の中はなぜか全ての照明が落ちており、暗闇となっていた。




 いつもとまるで違う情景に俺らが足を止めると突如として部屋の一転にスポットライトがあたり一人の幼女のシルエットを映し出した。




「ふっふっふ。よくぞ参った豪の者たちよ。まずは余の魔王城を攻略しここまで来たことを褒めてつかわそう。だが、まだ真の攻略には道半ばよ。なぜならばこの魔王城はこの魔王シルフィ・リリーを倒してこそクリアとなるだ!!」




 そこで小さな体に巻き付けた大きなマントを翻し、ドヤ顔を見せてくる。




「魔眼【焔】」




 隙だらけの魔王をすぐさま焼却処分すべく魔眼を発動させる。




「ぬわぁぁァァァ!何をする余の超かっこいいマントが燃えてしまったではないか。一点ものなのだぞ!!」




「チッ、マントだけか。あのクソ魔王め。相変わらずいかれた耐久値だな」




 俺に対して元気に猛抗議をしてくる様をみるに全く応えてないらしい。




「トウマのやつ本気だな」




「ええ、最近というかここ数年BARでの会話のほんとんどが魔王様への愚痴だったし」




「あははは、そうだね。今の魔眼もかなり本気で殺りにいってたね♪」




「ほっほっほ、まあでもさすがのトウマ様でも魔王様を相手に一人は少し厳しいですかね。我々幹部も微力ではありますが助太刀いたしますよ」




「ああ、頼むぜみんな」




 あのチビロリを一人で倒すのは無理ゲーもいいところだ。




 だがこいつらと一緒なら可能性はゼロじゃない。




闇魔法のエキスパートサモン、最強の武人宿儺、伝説を従えるリル、誘惑の女神フラム。これ以上のパーティーなどは魔界には存在しないと言い切れる。




 俺が振り返るとそこには思い思いのポーズでこれからの最終決戦を見据える最高の4人がいる。




 いける!こいつらとならアイツを倒せる!!




「おいチビロリ魔王!覚悟しろいくらお前でも俺らに相手に五体満足でいられると思うなよ!」




 俺が仲間たちのおかげで普段なら絶対に言えない強い言葉を口にする。




「うう~お気に入りだったのに。もう余は怒ったのだ! おいトウマ!! 本当だったら幹部たちとちょっとかる~く遊ぼうかと思ったが、まずはトウマお主をこらしめてやるのだ。管理者権限発動【強制転移】」




 瞬間、今朝方俺たちを包んだ光と同じ光が俺の頼もしい仲間たちを包んだ。




「「「「へ?」」」」




 4人の喉から素っ頓狂な音が漏れる。




「ふふふ、じゃまものたちはこの魔王城内のマップにランダムに飛ばしてやったのだ。では覚悟はよいなトウマ! 一対一(タイマン)なのだ!!」




「へ?」




 思わず俺の喉からも不思議な音が漏れでた。


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