選別の門
みここです。初投稿に近いなにか。
ソフィーの家にはそれから数時間程度で着いた。
今まで非力であった僕は、歩くスピードがそこまで早くなく休憩も取らないとまともに進行できていなかったのだが、今はヴァンの力を奪っているため容易に踏破できたのだ。
今まで来た道と同じくらいの距離があっただろう。僕一人なら、また一夜を過ごす羽目になっていたはずだ。
もちろん、力があるからといって一気にここまで来れたわけではない。時折、疲れを感じ取ったヴァンが嫌がる僕をおぶさって走っていたのだ。十分に休みをとれたと感じたら下ろしてくれる当たり、僕の尊厳を一応は保ってくれているつもりらしい。それにしても全身金属プレートの上に人を背負い、力を奪われているにもかかわらずほぼ休みなく走り続けるコイツの地力には恐れ入る。
「はっはっはー。ミラはまだ軽いからなー」
「まだってなんだよ! まだって!」
そうして屋敷に着いたわけだけども、これはなんともわかりやすい建物であった。
門だろうか。そのゲートにソフィーの家と書いてあったのだ。こんな周りに木しか生えてないところにあるのだから、見つかりにくい立地ではあるはずなのになんとも残念な風貌であった。
「よし、じゃあ入ろう」
「おう」
僕がゲートをくぐり、後からヴァンが続く。
ガンッ!
突然に後方から激しい音が聞こえた。
振り向くと、ヴァンが10m以上向こうに吹き飛ばされていた。ゲートにはバリア―のようなものが揺らめいている。
「痛ったあああ!」
「だ、大丈夫か!? ヴァン!」
「あ、ああ……大丈夫だ」
頭をさすりながら彼は応える。怪我はないらしい。
「アハハハハ」
家の扉が開くのと同時に、その笑い声が響いた。
「おもしれーおもしれー。思いっきりぶっとんでったぜ! アハハハハ!」
見ると、とてもグラマーな魔女が立っていた。やたら大きい帽子。地面を引きずるローブ。銀の長髪には煌めく宝石が散りばめられていた。
「あ、あの……。あなたがソフィーさんですか?」
「いかにも。私がそうだよ。あんたがミラお嬢様……ね。お前の知っているメイド長からテレパスで伝わってるよ。しっかし、めんどくさいことを任されてるねえあんた」
「任されてる?」
「いやあ、こっちの話だ。ささ、中に入ろうか」
「あ、はい。あ、いえ、向こうにいる騎士もいれてあげれないでしょうか」
「男はだめだよ」
さっきまでへらへらしていたソフィーは途端に、鋭い眼光を向こうの騎士に向ける。ヴァンがヒィッと唸ったのがここからでも聞こえた。
「私は男が嫌いなんだ。だからこの家の周辺に男除けのバリアを張ってんだ。あいつのあの鎧……帝国の騎士だな? 毎度毎度帝国もかわいい女の子を送ってくれば、いちいち吹き飛ばされて泣く泣く帰ることもないだろうにな」
「バカな奴らだよ」といった彼女の顔はもう先ほどまでの朗らかなものになっていた。
「おい、男! お前はもう帰っていいぞ。自分の愛する帝国にでも逃げるんだな」
「いや! 俺はここで待たせてもらう! ミラがお前に襲われるとなったら助けなきゃいけないからな!」
「私が女の子を気づくけるわけがないだろう!」
「そんな形相で言われても信じられん!」
「勝手にしろ」
ヴァンとソフィーのいがみ合いが終わると、また笑顔に戻った彼女に僕は部屋を案内された。
ヴァンはあのまま待つのだろうか。少し悪い気がするなあ。
心ではそう思ってても、とくに何もせずに扉をくぐる僕であった。
みここでした。それが初投稿なのだよ。
今回、屋敷に入れなかったヴァン。はたしてモンスターに食べられちゃわないでしょうか。まあ一応騎士だし?それはないよね(フラグ
ソフィーは頼れる姉御肌。ただし女の子に限る。