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第1話 異世界召喚

俺の名前は冴島大輝。


ごく普通の、いや、むしろ歴史ヲタクと言われる方がしっくりくるかな。


趣味は有名な刀剣の収集。勿論、模造刀だけどね。それがなぜか、このルーラン聖皇国なる異世界に、『勇者候補』として召喚されてしまった。


大神官たちが詠唱する荘厳な魔法陣。


光に包まれ、気がつけば石造りの広間だった。周りには制服姿の学生たちが数人、同じく困惑した顔をしていた。


どうやら彼らこそが、この世界が求めた『真の勇者』らしい。そして俺は…ただの『おまけ』か。


「冴島大輝。汝に授かるスキルは二つ。『経験値十倍獲得』と『鼓舞』なり」


玉座のような椅子から、白髪の老神官が冷たく告げた。


「『鼓舞』は指揮下の者に一時的な能力向上をもたらす補助技能。汝自身の戦闘能力は…皆無に等しい。故に、真の勇者たちの支援に徹するがよい」


それが、この世界での俺の価値だった。役立たずの付属品。


待遇の差はすぐに明らかになった。


勇者やその仲間達は豪華な個室で、栄養満点の食事をとり、魔法による高度な戦闘訓練を受ける。


一方、俺は兵舎の隅の雑魚寝スペース。


食事は兵士たちの残り物。


訓練? そんなものはない。

「お前は指揮官たれ。観察せよ」と、遠くから勇者たちの練習を見ているだけだ。


孤独だった。誰とも話さない日が何日も続いた。神官たちの目は常に冷ややかで、時には露骨な侮蔑さえ感じた。


「あの男にはなぜあんな扱いなんだ?」


「スキルが役立たずだからでしょう。経験値が十倍になっても、本人が弱ければ意味ないですし」


廊下で聞こえた神官たちの会話。胸が締め付けられた。


そして数週間後、初めての実戦――魔王軍の前哨部隊との戦闘が最前線の何もない荒野で始まった。


ここは度重なる戦闘によって草木も育たない荒野になってしまったのだそうだ。


勇者たちは輝く魔法と剣技で敵を蹴散らしていく。俺は後方で、せめてもの役に立とうと、手汗でびっしょりになった拳を握りしめながら『鼓舞』を発動させ続けた。


微かな光が勇者たちを包む。効果はあったのか、なかったのか。彼らの活躍ぶりに、俺の存在など霞んで見えた。


戦局が優位に傾いたその時だ。


「おっさん! 右だ!」


一人の勇者が叫んだ。振り向くと、一匹の魔獣がこちらに突進してくる。しかし、それは勇者たちの剣の届く範囲内だった。彼らなら簡単に仕留められる。


だが、俺の背後から炎の弾が一つ、鋭い風の刃がもう一つ、飛んできた。

味方の魔法…? なぜ?


一瞬、理解できなかった。その魔法は魔獣を躱し、まるで誘導されるように、俺の胸と腹を貫いた。


「ぐああっ!」


灼熱と斬撃の痛み。足ががくっと崩れ、砂埃を巻きながら地面に倒れ込む。視界が揺らぐ。


ふと…上を見上げると、老神官と、彼の側に立つ若い神官の顔がぼんやりと見えた。


老神官の目には何の感情もない。若い神官は、ほんの少し、口元を歪めていた――それは、間違いなく嘲笑だった。


(ああ…そうか…)


肺から血が逆流し、喉が甘く熱い。思考がゆっくりと遠のいていく。


(邪魔者…だったんだ…)


(勇者たちの邪魔になるから…ここで処分するつもりだったんだ…)


(経験値十倍…このスキルを持った俺が、もし生き延びて力を蓄えたら…彼らにとって都合が悪いと…?)


誰かの足音が近づく。恐らく、とどめを刺しに来たのだろう。


悔しい。情けない。こんなのない…


だが魔王軍側から騎馬隊の突貫が行われると奴らは怯えてその場から逃げ出した。


俺はそのまま意識を失った…














次に目を覚ましたとき、

俺は見慣れない天井の白いベッドに寝かされていた。

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