セルゲイとシャーロット
リネアが部屋を出た後、微妙な空気のまま皆それぞれ部屋へ戻っていったので、私は自分の部屋にシャーロットを連れて行って話をする事にした。
「…座って…。」
「ああ。」
「…シャーロット。私がいけないのかな?」
「セルゲイが悪いんじゃない。ただ私は…。」
私はシャーロットを抱き締めた。
「…どうして…。」
「え?」
「どうして君は何もしてくれないんだ?」
シャーロットが真顔で私を見つめた。今にも泣き出しそうだ。
「な、何を…?」
「キス以上をしないのは、リネアが好きだからか?」
「え?」
「だから私は不安で…。」
「…違うよ。シャーロットが大切だから私は…。」
「…セルゲイ、私は君が好きだよ。将来一緒になってもいいと思えるくらい。」
…シャーロット…。
「君は私をどう思っているんだ?」
「…私も好きだよ。でも私はまだ17だし、正直言って結婚とかは考えられない…。」
「…じゃあどれくらい好きか証明して欲しい。私はこのように女らしくもないしおまけに口も悪い。リネアのように明るくもないし可愛げもない。それでも好きだと思ってくれるなら…。」
私はシャーロットの頬に触れて口づけをした。
「…我慢してたのに…、もう知らないよ?」
「…いい。ずっと待ってた。」
…エンゲル王国の国民から愛され
世界で一番有名な皇女。
簡単に手を出せるような相手じゃないんだ。
…でも君がそれを望むなら
私も…
もう我慢しない。
「…セルゲイ…。」
「ん…?」
「君は…リネアとも?」
「してないよ。リネアはフリッツと兄上としか恋愛してない。私はずっと彼女の弟みたいな存在だったし。」
「…よかった。…ヴィクトリアはきっと複雑だな。ミハイルの事を意識し始めてしまったから。」
…そうなのか?
「…リネアに謝らないとな。デイヴィッドにも。」
「そうだね。何故君はリネアにはあんなふうに自分をさらけ出してしまうんだろうね?」
「…きっと私も彼女が好きだからじゃないかな。彼女が本当に男なら好きになっていただろうな。一緒にいて居心地がいいし、見た目も可愛かっただろう。」
「…複雑だな。」
◇◇◇
「リネア…少しいいか?」
次の日の朝、シャーロットはリネアを呼び止めた。
「…もう少ししたらスクールに行くけど。」
「…昨日は申し訳なかった。言い過ぎたし、嫌な思いをさせた。」
「…私も少し配慮が足らなかったよ。」
「…君が愛想をつかして私の前からいなくなってしまったら嫌なんだ。」
「…いなくならないよ、そんな事で。」
「じゃあ許してくれるか?」
「もちろん。」
シャーロットがリネアに抱きついた。
「…セルといた?」
「えっ?」
「…セルの香水の匂いがする。」
「…!」
「…おめでとう。」
リネアが私とシャーロットを見て笑った。
「…じゃあ、私は行くから。あ、セル、そう言えば…。」
「何?」
「ニコちゃんがこっちに来るって。」
「…いつ?」
「来週。…あとね」
「何?」
「来週のパーティーの参加者の中に皇女との結婚を狙っている奴がいるらしいから気を付けて。シャーロットとヴィッキーが狙われるかもしれない。」
「…何それ?」
「ニコちゃんの情報だから間違いないよ。シャーロットから目を離さないようにしっかり恋人アピールするようにね。」
「…分かった。」
父上はリネアに会いにくるんだろうな。
あの人はきっともう他の女性を好きになれない気がする。
去り際にリネアが私の頭をポンポンと撫でた。
私がシャーロットとした事を後ろめたく思う必要はないのに、何故かそんな気持ちになった。
…うちの家族は君が好きすぎる。




