フリッツと僕 3-2
クリスマスマーケットのでる広場の景色を眺める。
広場は出勤や通学の人たちが歩いていた。
「…フリッツ、聞いていい?」
「なんだ?」
僕はベッドに寝転んでいるフリッツを見た。
「…賭けにでたよね?」
「何の事だ?」
フリッツがニヤっと笑って僕を見た。…やっぱり…。
「…ユーラを出し抜くなんて…。」
「俺がお前を諦めるとでも?…ありえないだろ?」
「…私が言ったせいかな。ユーラはフリッツが好きだから、私を選んだって…。」
「そうだな、それにずっとミハイルといたから…。あいつが俺を特別に思ってくれているのが分かった。」
「…ユーラが動かなかったらどうしていたの?」
「その時は諦めて他の婚約者を探しただろうな。でも…俺には勝算があると思っていたからミハイルの良心と俺への執着心に賭けたんだ。」
「…まったく…。とんでもない策士だ。」
「ミハイルには言うなよ?」
「言えるわけがない。」
「お前はさすがだな。ミハイルがさ、リネアに俺の婚約の話をしても全然驚いていなかったって言ってて…。あぁ、お前は俺を分かってるって思った。」
「…まあ、付き合いが長いしね。ただのお人好しじゃないって事も知ってるし…。」
「でも、俺の思惑をミハイルに言わなかったのは…。」
フリッツが僕の腕を引っ張ってベッドに押し倒した。
「どうしてだろうな?」
フリッツが僕を見て笑う。
「…確信もなかったしね。」
「俺には本音を言ってくれてもいいだろう?」
「さあ…?」
「…リネア、言えよ?」
「…ユーラが好きだけど、一緒に生きていきたいのはフリッツなんだって気づいたから…。」
「うん…。」
「でもユーラを傷つけて失うのは嫌だった。絶対死んで欲しくなかった。だからユーラの気持ちに任せたんだ。」
「…お前らしいというか。…一時期真剣にミハイルを好きになっちゃった時はさすがに俺も辛かったしヤバかったよ…。でも、最後は絶対に俺だって信じてた。」
「…なんて自信家なんだ…。」
フリッツが僕の頭をポンポンと撫でた。
「だってお前に合うのは俺しかいないだろ?」
僕はフリッツの腕に頭をのせた。
「…ユーラの優しさも、作ってくれるごはんも、綺麗な見た目も好きで…だけど…」
「だけど…?」
「…この匂い…。」
「何?」
「フリッツの匂いが好きなんだ…。」
「犬かお前は?」
「…この変なつっこみも、お前って呼ばれるのも、ちょっと人を小馬鹿にしてくるのも愛しくて…。」
「ミハイルの方が好感度高くないか?」
「まぁそうなんだけど…。」
「おいっ?」
「私には合うんだよ。フリッツが一番合う。変な所も含めて好きだし、一緒にいると楽しいんだ。」
「…俺もお前といるのが一番楽しい。こうやってたわいもない話をしている時でさえも、一緒にいられるだけで幸せに感じる。」
「うん…。」
「だからもう、誰にも渡さない。やっと帰ってきたんだ。もう…俺のだ。」
フリッツか僕を抱き締めた。
「そうだね。もうどこへもいかないよ。」
「メルア大陸に行くだろ?」
「…それはそれ。」
「…もう最後にしてくれ。お前と離れたくない。」
「分かってる。」
「…分かってない。俺がどれだけこの日を望んでいたのか。」
「…それは…。」
フリッツが僕にキスを始めた。
「…っ。」
「ずっとこうしたかった。お前がミハイルを好きになって、無理やり婚約同然にした時も、本当は欲しくてたまらなかった。」
「…。」
「リネア…。愛してる。」
「フリッツ…。私も愛してる。」




