ライヒ王国にて
ライヒ王国の首都に着いた俺達はクラウディアに出迎えられ城に半月ほど滞在している。
ライヒ王国はフレーデル王国と昔は一つの国だったこともあり言語も文化も共通のものが多い為外国に来た感じがしない。
…それにしても、どこへ行くにもミハイルといるといちいち目立つ。こいつは無自覚なのか慣れているのか気にしていないようだが男女問わず見惚れた視線を向けられる。
俺だって普段なら割りと目立つ容姿の方だがこの男の前では誰でも霞むだろう。
ミハイルはリネアと知り合ってから昔とは違いずっと付き合い安くなった。気を許した人間限定ではあるが、俺が知っている奴だとルイとルド、ヴィルとは普通に話している。
リネア曰くエンゲル王国ではシャーロット様にこき使われていたとか。このヒョウみたいなすました奴がだ…。
最近は俺の前では一緒に住んでいるせいか、くつろいでいるのが分かる。ルイやルド、姉上もミハイルの飯目当てにしょっちゅう家に来るようになった。以前のこいつなら考えられない事だ。
本当に…リネアはすごい。気難しいミハイルを手懐けた挙げ句振り回しているなんて。リネアは、ミハイルがリネアといるのは俺から離れたくないからだと言っていたが、俺はやっぱりこいつはリネアを本当に大切に思っていて好きだから譲りたくなかっただけだと感じている。
リネアをいつも気にしていて1日何度も定期的にGPSで居場所を確認したり、少しでも知らない場所に行っているとすぐに電話をかけているのが怖いが、それだけ心配していると言うことだ。
リネアもそういうミハイルを分かっていて適当に流しているのが面白い。認めたくはないが二人には特別な絆がある。俺にはなかったものが…。
もう二人は婚約している。頭では分かっているのに未だに諦められない自分がいる。たまにリネアが俺に電話をかけてくれる時は嬉しくてドキドキする。内容はその日の出来事とかたわいもない話だが声を聞くだけでやっぱり好きだって思う…。
「綺麗な街だね。リネアにも見せてあげたかったな。」
二人で街を歩いているとミハイルがそう言った。
「ああ、そうだな。一昔前このあたり一帯を支配するほど栄えた時期もあったからな。」
「上品で洗練された雰囲気が好きだな。…それだけにこの街の衰退した感じが残念だ。」
「本当だな。」
俺たちは首都を中心に街を視察し、国の状況をある程度把握した。お互いが問題点や気になった点をまとめ、クラウディア達に報告した。
「なるほど…。言われてみて、初めて気づく事も多いですね。私はずっとこの国にいたので当たり前に感じていた事ばかりです。」
「アタシは色々な国に留学していたから2人の指摘は尤もだと思った。」
我々が改善を指摘した点は国のインフラの整備、街の景観保全や改善、政治のやり方など多岐に渡った。まずはできるところから始めることにし、定期的にこちらからも人間を派遣する事になった。
「政権交代は?」
「来年。着々と準備を進めている。」
「それはよかった。結婚も同時に?」
「結婚はアタシが20歳になったらするつもり。フリードリヒ殿下、ミハイル様、本当にありがとうございます。アタシ…お二人に凄く迷惑をかけたのに。」
本当にその通りだ。この女が婚約者候補になりたいと言い出さなければ今頃は…。だが、それはそれだ。
「我々はやれるだけの事をする。その為にここに来たんだ。」
「…ありがとうございます。」
「ただ、国の状況が改善されたら、我々もそれなりに対価を得るつもりだ。」
「それは承知しています。」
我々がライヒ王国を支援する為の政策とそれに対する支援の対価を含め話がまとまった頃国から連絡が入った。
姉上が自殺しかけ病院に運ばれたという内容だった。




