マルクとレナートとの再会
「マルク、レナート、彼女は君たちのお母さんだよ。」
セルがフレーデル王国に弟二人を迎えに行き、エンゲル王国でソフィアと再会した。
「…知らない。」
「リネア?誰…?」
「君たちのお母さんのソフィアだよ。色んな事情が会って君たちと離れなきゃいけなかったんだ。」
「…リネア、そんな事を急に言われても僕たちどうしたらいいか分からないよ。」
マルクが困っている。
「そうだよね。でも、知っていて欲しかったんだ。君たちにはお母さんがいるって事を。受け入れるのは簡単じゃないけど、時間をかけて受け入れて欲しいんだ。」
「…僕たちはもう小さな子どもじゃない。キャンプにみんなで行って'はい、仲直り'、みたいにはいかないんだよ?」
「マルク…分かるよ。でもさ、もうこんなチャンスないと思うんだ。私もいるからさ、一緒に暮らしてみない?」
「リネアはすぐどっかへ行っちゃうし…。」
「それは間違いない。」
セルが頷いて二人に話しかけた。
「マルク、レナート。確かに私だっていきなり十年以上も会っていない人に母親だって言われてもピンとこないのは理解できる。だけど、彼女は母親だなんて呼んでくれなくていいって言ってるんだ。ただ僕や君たちと過ごしてみたいんだって。…どうだろう?リネアの言う通りもうこのチャンスを逃したら二度とそんな事はできないよ。」
「…僕、住んでもいいよ。」
「レナート?!」
マルクがレナートを見た。
「だってリネアもいるんでしょ?知らない人達のいる寮に転々とさせられるよりずっといい。ご飯も美味しいし。」
「…それは…。」
「ソフィアも料理が上手だよ。マルクも料理好きだよね?」
マルクは何か考えて、それから僕の目を見た。
「…そうだけど…。リネア、約束してよ。」
「うん?」
「メルア大陸に行く間はどこにもいったりしないって。一緒に住んでくれるって。僕、ずっと楽しみにしていたんだよ、リネアと住むの。」
「…分かったよ。」
「…ソフィアさん」
マルクがソフィアを見た。
「はい。」
「…今更母親だなんて言われても正直困るけど、リネアがそうしたいって言うなら僕も受け入れる。」
「…ありがとう。マルクって呼んでもいい?」
「…好きにして。」
「レナートも、いいかしら?」
「…うん。」
「ありがとう…。嬉しい…。」
ソフィアはまた涙を流しながら二人を見た。
僕はその夜セルに誘われてカフェに出かけた。
「相変わらずおせっかいだよね、リネアは。」
「…うん。でも後悔はしてないよ。私はセルのきょうだいみたいな存在だって今も思ってるし、ソフィアは悪い人なんかじゃなかったから。きっといつか仲良くなれる。」
セルが僕を抱き締めた。
「…ありがとう、リネア。やっぱり君は私の特別だ。」
「シャーロットに見られたら怒られるよ?」
「怒られてもいい。この気持ちは言葉では表現できないから。リネア…感謝してもしきれない。」
僕もセルを抱き締めた。
「幸せになるんだよ?」
「…もう幸せだよ。リネアのお陰だ。」
「…ニコちゃんはこの事知ってるんだよね?」
「飛行機はリネアと同居させるって話で使わせて貰えたんだ。だから実はまだソフィアの話は知らない。」
「…ソフィアに相談する?」
「…そうだね。とりあえず今はこれ以上ややこしいのも困るから少し様子をみない?」
「…そうだね。」
ソフィアまでアパート近くに住み初めた、なんてなったらニコちゃんまでこっちに来そうだもんな。
確かに少し様子をみた方がいいだろう。
「それにしてもさ…マルクに好かれてるよね。」
「…出会った頃のセルみたいで可愛いよね。一緒に寝ようって言われたよ。」
「…大丈夫なの?」
「大丈夫でしょ?」
「私がしてあげれる事なんてあまりないからさ、思い切り甘えて貰えたら嬉しいよ。」
「…なんかズルい。」
「セルはもう他に恋人ができたんだからそっちに甘えたらいい。」
「…それはそれ。私だってリネアに甘えたい。」
「…じゃあみんなで寝る?合宿みたい。」
「…シャーロットに知られたら怒られそうだから止めておくよ。」
「確かに…。」
僕たちはそれから久しぶりに色んな話をした。
僕の知らないうちにセルが成長していて不思議な感じがした。
セルもなるべく早くメルア大陸に行きたいと言ってくれた。
シャーロット様の準備が整ったらすぐに来てくれるらしい。
家族みんなで過ごせるの、楽しみだな…。




