秘密の夜
今日のパーティーは明後日から試験があるのを理由に前回より早めに終わった。ルイは一人で帰りたいから、と言って先に帰った。
みんなの帰宅後、フリッツが僕に彼の滞在するホテルに泊まるよう催促する。
僕はセルとユーラと片付けをしていた。
「…スクールから遠いしなぁ。明後日からテストだし。…フリッツがここに泊まれば?」
「…姉上も来てるんだが。」
「えっ!?ヴィッキーが?!」
「お前に会いに来たんだ。帰国前に会わないか?」
「今何時?」
「9時だ。」
「うーん…。会いたいなあ。」
「あんたさ、リネアはただでさえ最近まともに授業受けてなくてやばいんだからちゃんと勉強させてよ。」
セル…。フリッツに厳しいな。
「なんでまともに授業受けてないんだ?」
「店のことで…。」
「単位を落とすくらいか?」
「それはないけどさ。」
「じゃあ問題ない。行くぞ。ついでに勉強道具と明日の用意も持ってこい。俺が見てやる。」
「フリッツ…。いくら自分があまりいられないからって強引すぎない?君の事情にどうしてリネアが合わせる必要が?」
「ミハイル、お前が俺でも同じ事をするはずだ。」
「…否定はできないな。」
「じゃ、そういう訳だ。明日のスクールには馬車で送る。安心しろ。」
「リネア…行くの?」
セルが飼い主を寂しそうに引き留める子犬のような目をする。う…めちゃくちゃ行きにくい…。
「ごめんね、セル。私…フリッツのお姉さんにどうしても会いたいんだ。とてもお世話になったのに何も言わずここへ来ちゃったから…。」
「でもそいつとやらしいことするんだよね?そんなの嫌だ…。」
「大丈夫だ。お前が心配しなくとも、ちゃんと満足させるよう努力するから。」
「キモいな、あんた。」
「うん…今のはちょっとひくね。」
「リネア…。お前はどっちの見方だ?!…まぁいい、こんな話をやりとりする時間が無駄だ。馬車も来た、いくぞ。」
フリッツは僕と荷物を担いで馬車に乗せた。
僕はセルとユーラの顔を見れなかった。
「強引だなぁ、フリッツは…。…んっ!!」
馬車に座ろうとした瞬間、フリッツの膝に乗せられていきなりキスをされる。しかもかなり濃いやつだ…。
フリッツが馬車のカーテンを閉めて、僕のスカートに手を入れた。
「ちょっと…。…あっっ!」
まさか…馬車の中でするつもりなのか?そんなのありなのか?
「リネア、我慢できない。…ここでしたい。」
フリッツ…?嘘だろ…?!
「駄目だよ…こんな所で。」
「駄目じゃない。」
「無理だよ…狭すぎるよ。」
「大丈夫。俺に合わせて…。」
「フリッツ…。」
変態だ、こいつは…。
こんなこと…普通じゃない…。
ホテルについた時、馬車の運転手にフリッツは何事もなかったかのように支払いを済ませた。僕は恥ずかしくてまともに顔をあげれなかった。
「…馬鹿、変態。」
僕は泣きそうな目でフリッツを見た。あんな場所であんな事をするなんて…。
「…否定はしない。初めての体験に興奮したくらいだ。」
「…フリッツがこんなんだったなんて知らなかった。」
僕はフリッツの手を振り払って顔を背けた。
フリッツが僕の頬にキスをして上目遣いで僕を見た。
「ごめん…。怖かった?」
「…怖くないけど恥ずかしかったし意味が分からない。」
「…お前がみんなと仲良くしてるのを見て、俺の恋人なのにそう言えなくて、俺の知らない話をして本当に嫌だったんだ。二人きりになった瞬間理性がふっとんでた。」
「…なんで恋人って言わないの?みんな知ってるよ?」
「いや…だって、イーチェンが…。」
「イーチェンは友達だよ?言えばよかったのに。」
「リネア…。」
「何…?」
「…いや、姉上に会いに行くか。」
「うん。」
ヴィッキーの部屋のベルを何度か鳴らしたけど彼女は不在のようだった。
「出かけたのかもしれない。ゲオルグに聞いてみよう。」
フリッツは少し離れたゲオルグさんの部屋のベルを鳴らした。
「…いないのか?」
「二人で出かけたとか?」
「…かもしれないが…。」
フリッツはベルを連打した。かなりしつこい。
「ちょっとフリッツ…やめなよ、いないよ。」
「…殿下。」
髪がセットされていない部屋着姿のゲオルグさんが出てきた。新鮮だ…。
「お前…。俺は祝福すべきなのか?」
「そう思われるのでしたらそっとしておいて欲しかったです。」
ゲオルグさんの顔が赤い。
今度は部屋の中からバスローブを羽織ったヴィッキーがでてくる。
えっ…?!
「ヴィッキー…。」
「久しぶりね、リネア。」
ヴィッキーが僕を抱き締める。
胸の谷間が見える。下着…つけていないのか。
「あのさ…二人はその…。」
「それを聞くのは野暮だぞリネア。」
「フリッツ、あんたがそれを言う?!」
「…まぁ、ここは外国だ。たまには羽目を外してもよかろう。」
「フリッツは外しすぎだよ!聞いてよヴィッキー、この人馬車で…」
フリッツが僕の口を塞ぐ。
「…とりあえず中へ入ろうか。」
フリッツは笑顔で僕の頬をつねった。




