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僕が妹に転生したら皇太子の婚約者にされました  作者: とらまる
フレーデル王国編
107/350

週末

日曜日の明け方、鍵が開く音が聞こえた。

足音の主がそのままベッドに倒れこむのはいつもの事。

フリッツは忙しい合間をぬって週に一、二回こうして来てくれる。そのまま横で寝てるだけの時もあるし、僕を無理やり起こす時もある。


今日は後者の方だった。

「頬っぺたつねらないで。」

「お前はセルゲイと何をしてるんだ?あれだけ危険な目に合っておいて。ヴィルにも叱られたじゃないか。」

さらに指に力をいれてくる。

「朝から説教とか…いたいよー…。」


「言っても分からない奴は身体で教えるしかないな。」

そう言ってフリッツが僕にキスをし始めた。

「…怒ってる?」

「怒ってる。あと呆れてるし心配もしてる。」


「ごめん。…ちょっといろいろあって。」

メアリーの事はもう少し状況が分かってから話したい。


「ルイとも親しそうだし、カードゲームまでしてるなんてズルいじゃないか。」

「えー?じゃあ一緒にやる?前にヴィッキーとユーラも一緒にやったよ。」

「またミハイルか…。」


「ユーラが強すぎてやばかったよ」

「俺だって強いし。」

「じゃあ、今度ユーラとセルゲイも誘って決定戦やろうか。私の戦った中で最強だよ。」

「ヴィルやルイも強かったぞ?」

「あの二人は私といい勝負なんだけどね。あの兄弟にはなかなか勝てないんだ。」


僕は起きてコーヒーをセットした。

フリッツはまだベッドにいる。

「セルゲイとも仲良くなったのか?」

フリッツが僕の腕を引っ張る。まだ起きるなということらしい。


「ううん。でも少しだけ表情がでてきた。」

「表情?」

「うん…ヴィルも最初会った時は本当に冷たい目をしていたんだよ。お父さんとお祖母さんにすごく厳しく育てられてね…。無表情な人形のような子だったな…。」

「…そうだったのか」


「ヴィルには優しいお母さんがいたし、お父さんは厳しくても愛情を持って育ててくれていたと気づけた。ユーラにもお母さんの記憶があって彼にはアリーナがいた。

…でもセルゲイは誰の愛情も感じることなくここまできちゃった。まだ彼は13歳なんだよ。まだ、間に合うと思うんだ。」


「だけどそれを気づかせるのはお前の役目じゃないだろ?」

「そうだね。…だけど私は彼に何かしてあげたいと思うんだ。おかしいかもしれないけど。」


「はー。お前は一体何なんだ?」

フリッツがため息をついた。

「余計なお世話かもしれないけどね。最近はわりと懐いてくれておつかいもしてくれるし、ランチも分けてくれるよ。」

「…なんかよく分からんが、お前が危険な目に合わないならいいんだ。」


僕はフリッツを抱き締めた。

「ありがとう。気をつけるよ。」

「お前の'気をつける'は全くあてにならないとすでに学習済みだ。」



僕たちは簡単な朝食を部屋でとった。

「フリッツ、今日の予定は?」

「ない。」

「じゃあどっか行く?」

「たまにはこうやって一日二人だけでゆっくりしたいんだが…。」

「えー?何それ、退屈じゃない?年寄りみたい。」

「お前は本当に子どもだな。」


フリッツ、疲れてるんだな。仕方ない、今日は僕も大人しくするか。





誰かが部屋のドアをノックする。

「ルイ…?おはよう、珍しいね。」

「おはよう、あ…殿下。お邪魔だった?」

「邪魔だ。」


ルイの顔がいつもと違う。

「何かあった?」

「…メアリーが昨夜から行方不明なんだ。今、彼女の家族が必死で探してる。」

「…。その情報はどこから来たの?どうしてルイが知ってるの?」


ルイは一瞬目を背けて僕にこういった。

「僕の妹が、昨日メアリーと一緒にいたんだ。」

「妹いたの?」

「恥ずかしい話、妹は出来が悪くて最近はスクールにもあまりいかず素行の悪い連中とつるむようになってさ…。そのグループの中にメアリーもいて…。」


「どういう事だ?」

フリッツが慌てる。

「フリッツは黙ってて。」


「メアリーが朝まで帰ってこないのは珍しい事じゃないんです。その…彼女、有名だし。」

「有名?」

「遊んでるって事だよ。」

「リネア…?」

「だけど今回は違う。昨夜遊んでいたらかなり質の悪い奴らに目をつけられて、連れていかれそうになったところを妹だけは逃げきったらしい。ちょっと前に妹が帰ってきて僕のところに来たんだ…。」


「ルイ、セルゲイの所には?」

「今から行こうと思ってた。彼なら何か知っているかもしれない。」

「…私が行く。二人はこないで、ここにいて。」

「リネア?」

「…その方ががいいかもね。…だけど一人で大丈夫?」

「…何かあったらすぐに呼ぶから。」

「ルイ、リネア、お前たち…?」


僕は急いでセルゲイの部屋に向かった。

メアリー、どうか…無事でいて。




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