皇子たちの国際会議 1
金曜日の夜、以前フリッツが言っていたネットワークを作るため、近隣諸国の皇子たちを城に集めた。どうやらオスカルつながりのメンバーらしい。
「じゃあ、今から一応名前と出身を。私はフリードリヒ・アウグスト・フォン・フレーデルだ。」
「僕はルドルフ・ボルタ。ロマーナ王国出身だよ。」
「僕はルイーズ・ド・リオンヌ。ランク王国からきました。」
「僕はヴィルフリート・グスタフ・ヴェルナドッテです。スモーランド王国出身です。」
「さて…自己紹介も終わったしとりあえず飲むか?」
「フリッツ…なんでいきなり?」
「よく知らない奴と話すときはとりあえず飲んだ方が話がはずむだろ?」
なんだそれ…?
「飲も飲も!」
「つまみあります?」
「あるよー。ビスコッティ持ってきた。」
「僕はチーズを持ってきましたよ。」
みんな軽い人ばかりだ。
「みなさん飲める年齢なんですか?」
「僕は年齢的には飲めないけど今日は楽しくいこうよ。」
「えー?」
めちゃくちゃだ。さすがオスカルの知り合いだ。
「…じゃあ、ルドルフさんはエマとミハイルの研究室にいるんですか?」
「そうそう。あ、殿下、なんで今日ミハイルは誘わなかったの?」
「あれは王族でもないし、政治体制も違うからな。」
「まぁ…呼ばない方が無難ですね。」
ルイーズさんが含みのある言い方をした。
「今日はリネアは?」
「さあ?ルイは知らないのか?」
「確かミーシャと遊びに行くとか言ってたような…。」
「またか?あいつちゃんと勉強してるのか?」
「どうでしょう?先日はロマノ兄弟とクラブに行っていたみたいですし。」
「なんだそれは?」
「どういう事ですか?!」
僕とフリッツが同時に反応した。
「フリッツ…放し飼いにしていいのといけないのがいるって知ってます?きちんと見ててくださいよ。一時的に預けているだけなんですから。」
「へぇ?そなたこの俺にそんな口をきくようになったか。言わせてもらうが、あれはそなたの育て方に問題があったんじゃないか?甘やかし過ぎて常識知らずだ。警戒心も乏しい上、餌につられてどこへでも行ってしまうのは俺のせいじゃないぞ?」
ルドルフさんとルイーズさんが二人でこそこそ話をする。
「ルイ、何の話だ?」
「手のかかる飼い犬の話のようですよ。」
「犬の話の割にかなり雰囲気悪くないか?」
「リネア犬ですから。」
「ん…?ヴィルフリート君も彼女を?」
「みたいですね。」
「とりあえずダメ犬の話はおいておき、別の話をしない?」
「ルドルフ!リネアは馬鹿だがダメ犬じゃない。」
「そうですよ、失礼な。どうしようもない阿呆ですが犬と一緒にしないでください。あれはどちらかと言えば猫ですよ。」
「犬だろ」
「猫です。」
「…とりあえず、飲みますか?」
ルイーズさんがビールを配り出す。
「そうだな。」
フリッツがビールをグラスに注ぐ。
「あ、僕次ワイン」
ルイさんがワインを上げた。
「なんで?!」
何なんだこの流れは…。
「ヴィル、そなたも飲め。何良い子ぶってんだ?」
「そうだよ。こんな男だけのむさ苦しい集まり、楽しみは飲むことぐらいじゃない。」
「あ、みんなでこれやりません?最近リネアとミーシャとはまってて。」
ルイーズさんがカードを取り出した。
ホルスデアガイラー、リネアの好きなゲームだ。
これを、男4人で…?何か集まりの目的を忘れてないか?
「…いいぞ。」
フリッツ…ノリよすぎだよ。
「何それ?やりたい」
ルドルフさんまで?
「ヴィルは?」
「はー…やりますよ。」
「何かかけようよ」
「そうだな…。」
「あ!一日女装してスクール行くとか。」
「嫌ですよ、女装は。」
「ヴィル君似合いそうだね。」
「似合うぞ、二人もおとしたくらいだ。な、リリアナ」
「フリッツ…!」
僕はフリッツの腕をつねった。
カードが配られゲームが始まる。
一番とりたいカードを見送り手頃なカードを数毎集めるか、それとも賭けにでるか、カードの取り方に性格がでる。
このルイーズさん、ノリは軽いけど結構いろいろよく見てるな。フリッツが強いのは予想通りだったけど…。
ルドルフさんがわりと分かりやすい取り方をしてくるけど何故か運良くカードが取れてる。
これは…簡単には勝てないな。
「ルイーズさん、リネアは強いでしょう?」
僕は一応確認してみる。
「強いよー、大抵ミーシャばっかり負けてさ。あ、セルゲイもめちゃくちゃ強い。」
「ルイ、なんでそこにセルゲイがいるんだ?」
「ミーシャが拗ねていなくなるとリネアがセルゲイを代打に呼びつけるから。」
「だからなんでセルゲイなんだ?」
「あの二人、生物の授業で今一緒に研究しているんで最近よく一緒にいるんです。リネアが懐かれているというか。あ、でも飲み物やお菓子を買いに行かせてこき使ってますね。」
「あいつは何をしているんだ…」
フリッツがため息をつく。
「セルゲイってミハイルの弟でしたっけ?」
「あのイケメン君、弟いたんだ。」
「そうだ、あれはおとなしそうだがリネアに薬を飲ませて意識を朦朧とさせたりするヤバい奴だぞ。リネアも何考えてんだか。」
「何ですか今の話は…。」
話をしながらどんどんゲームは進んでいく。
今のところみんな一勝ずつの成績だ。
「リネアは何か探ろうとしているのかも…」
ルイーズさんが呟いた。
「え?」
「あ、いや。…あ、10のカードいただきました。」
一筋縄ではいかない人たちばかりらしい。
結局この日は夜更けまで飲んでゲームをしておわった。
みんな最後は意識が朦朧としていたから勝負は次回に持ち越しになった。
「フリッツ…これのどこが国際会議だったんですか?何の話し合いもできなかったじゃないですか。」
飲みすぎて気持ち悪くなった僕は城に泊めてもらう事にした。
「もし本当にそなたがそのように思っているなら、そなたは外交に向かないぞ。」
「どういう事ですか?」
「今日の二人は我々が組むに値する人間か確認していったじゃないか。特にルイはかなりの奴だ。カードゲームを持ってきてみたり、こちらが興味のある情報をちょいちょいおいていったぞ。」
「じゃああのカードゲームは…。」
「ま、とりあえず次回の日程も決まったしこれからだ。」
フリッツが僕の頭をぽんぽんした。




