地獄行き
「どうも、お初にお目にかかります。桃太郎のお供のポチと申します。」
犬は「伏せ」をした。
おそらくお辞儀のつもりなのだろう。
その丁寧な口調につられて。犬養も挨拶を返す。
「これはどうもご丁寧に。」
可愛い。と、犬養は思った。
暫く、真面目な犬の可愛さにほっこりする。
「…。ほっこりしている場合ではありませんよ。」
「そ、そうだった!!」
犬養は慌てて桃の方を見る。
桃は猿飛と雉羽田をふるい落としているところであった。
既に鬼頭は虫の息である。
「だが、俺には桃を止めることが出来ない…。」犬養の顔がかげった。
「一つだけ。方法があります。」
犬が言った。
「本当か!?」
「私の霊力で貴方を数秒間だけ生き返らせましょう。しかし、その代償として貴方は死ぬより辛い無間地獄に落ちます。
犬の言った言葉は、まさに絶望だった。
しかし、犬養は迷わなかった。
「そうしてくれ。」
「…final answer?」
「迷っている時間も惜しい。」
犬養の決意に満ちた顔を見て、犬はその覚悟を受けっとった。
「貴方は、本当に素晴らしい人だ。」
犬が微笑む。ちょっと怖い。
「桃の事を頼んだ。」桃太郎が犬養の手を握る。
「頼まれた。」
犬と桃太郎が顔を見合わせてうなづきあう。
そして、口を揃えてこう叫んだ。
「魂魄注入!!!!」
次の瞬間、犬養は腹部に激痛を覚えた。
体に戻ったのだ。




