↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
流れ星へ幸せを  作者: 本宮 律
PR
70/102

本編62

一体、なにが起きてるんだ……?


「そこの2人、動かないように!」


理解が追いつかないまま、俺らは数人のおじさんに拘束される。

恐らく研究員かなにかだろう。

ほぼ全員ひょろひょろの頼りなさそうな人達だが、多勢に無勢。


また殴ったり暴力で解決したら、今後に影響が出そうだよな……。

とくに、シバ……。


「捕まるようなことした覚えないっスけど」


シバの言い分もわかるけどな。


さっきの警備員のこともあって、俺たちは素直に大人しくした。

その間、セトは動かないどころか目も合わせてくれない。


「ダイチもシバも、ちょ~っとだけ大人しくしてて~!」


貼り付けられた笑顔は、どこか強ばっている。

俺らに向けられた顔と声は確かなのに、視線は交わらない。


……こいつ。

なんかあったか?


長年の付き合いの勘というか。

いつもヘラヘラしてて何にも考えてないように見えて、常に何かを抱えている。

セトは、そんな奴だ。


「………セト」


声をかければ、後ろ手に拘束された手が引っ張られた。


くそ、このおっさん…。

地味に痛えんだ、覚えてろ…!


「なに〜?」


「俺、シュリ迎えに来たんだけど、知らね?」


素直に言えば、セトのまつ毛が少しだけ揺れる。


十中八九知ってるんだろうけど、なにか事情があるみたいだ。

きっと、俺らには言えないような。

だって絶対に、意地悪とか出来心でこんな事するような奴じゃない。

向こう側に立つ理由が、きっとある。


「もし……────!?」


さらに口を開こうとしたとき、突然フロアの電気が切れて真っ暗闇に包まれた。


「はじまるのか!」

「来たな」


急にザワつく中、俺は辺りを見渡した。


なんだ?

何も見えないけど、空気が高揚している。

こんなの、サプライズ動画でしか見た事ないぞ。

今日、誰かの誕生日?それとも記念日か何かか…?


エレベーター前から、90度右側。

暗がりの中で映されたモニターには、


『準備が整ったので、ゲートを開けます。ゲート内の確認ができ次第、彼女と共に出発します!』


「は………?」


シュリ。

俺が迎えに来た女の子が映っている。

それは1階で見た映像と大差なかったから、そこまで驚愕したわけじゃない。


……問題は、隣にいる人物。


ニコニコと手を振りながら挨拶している男。


姉ちゃんがアルバムを引っ張り出てきたあの日。

若い頃のばあちゃんと一緒に写ってた。

その姿でここにいるはずない。

だって……


「神野、ユウ……」


「!」


じいちゃんが、若返るわけないじゃないか。

つい先日、テレビで見た時は俺の知ってる普通のじいちゃんだったのに。

そこにいる人物は、まるで……


『では、しばらくお待ちを!』


それこそ、タイムスリップでもしてきたのかと疑いたいくらい。

信じ難いが、写真でしか見たことの無い若いじいちゃんがいた。


「ゲートってなんだ…?シュリちゃん、またあの機械に乗るんじゃないのか?」


驚きの連続で言葉も発せない俺に、シバがセトに問う。


そうだ。

シュリがまたあの機械に乗って、元の世界に帰るんじゃないかと危惧してここまできたんだ。


「……時代も進化したんだよ。もう、機械なんていらなくなった」


モニターから視線を移すも、セトは淡々と告げるだけ。


それは、確かに目の前にいる友人から発せられた言葉なのに。


「…………」


お前、誰だ……?


そんな気持ちが大きくなった。


上手く言えない、言葉に出来ないけど。

俺の知っているセトとは違う。

いっそセトの皮を被った他人と言われた方が、まだ信じられるレベルで…。


だって、お前が淡々と感情も乗せず話すところなんて見たことない。

出会った時から、たぶん家族以外で1番近くにいた。

親友の2人のうちの片割れ。


「シュリちゃん、別の世界から来たみたい。そこに帰るんだって」


すとん、と面白いくらいあっけなく、セトの言葉が心に落ちた。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。