本編15
「え……日崎以外どうした?」
「補習の手伝いに」
翌日。
急に登校してきたセト以外の3人は、きょとんとした顔の担任に出迎えられた。
セトの横。
左からシバ、俺、シュリの順に目線がうごく。
そして、俺の肩に手を置いた担任。
「ダイチ……去年のお前にこの姿を見せたいよ…」
反対の手で口元を抑える姿は、泣いているのか笑っているのか。
心做しか、声も震えていた。
「うるせ!」
担任の手を振り払う。
去年はいやいや来てたけど、今年は違うし。
心持ちが違うのよ。
強制されるのと自主的に来るのは。
「とりあえず日崎はこっち。星河……あぁ2人いるんだった…シュリの方はこっちな」
セトとシュリはそれぞれプリントを貰う。
「えー、俺の分厚くない?シュリちゃんうっす~い!」
辞典レベルに分厚いプリントの束。
うっわあ、俺も補習だったらあれやる事になってたんか…。
危な、勉強大事。
「シュリのは一応、期末のコピーだから。自分の学力を試してみて、わからないところは木崎に聞いてくれ」
「はい」
シュリが頷く。
おい、そこは俺じゃないんかい。
俺だって一応、今年は赤点回避したぞ。
……今年は、な。
「木崎、すまんな。ダイチは……応援でもしとけ」
「なんでだよ!地学だけなら満点だったわ!」
親指を立ててウインクされ、思わずツッコミを入れてしまった。
…まあ、ほかの教科はギリだったから、それ以上は強く出られなかった。
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「なんでここにxがあんだよ~」
「お前はまず方程式覚えるところから始めようか……」
開始10分。
シュリは少し離れたところでテストに励んでいる。
……一方、俺らは。
「方程式って覚えて将来なんの役に立つん~?」
泣き言が止まらないセトの面倒を見ていた。
「それは俺も思う……っいて!」
「余計なこと言うな」
口を挟んだら、シバに叩かれる。
いやだって、本当に思うし…。
普通に生活してれば使わない気しかせん。
数学とか古典とか、あと美術も…。
なんて思いながら、俺は頬杖をついてセトとシバを眺めた。
…なんかコイツら、横顔似てんな。
ペンをクルクルさせながら頭を悩ませるセト。
プリントの横に逆さまに公式を書いていくシバ。
今まで2人いっぺんに横から見た事がなかったから、新たな発見だ。
…まあ、仲良いと、似てくるって言うしな。
てか2人ともイケメンで普通にむかつく。
あ、俺も仲良いと思うし他人から見たら似てるってことは…
「有り得ん」
呟いたシバに、意識がハッとする。
え、俺声に出てた…?
いや別にお前らになんて微塵も似たくないけどな!
やっぱこっちから願い下げだ!けど……。
ビクビクしながら様子を伺えば、
「お前そこ足し算だそ。小学生からやり直せ」
どうやらセトが計算ミスをしただけだったようだ。
すまん…
心の中で勝手に持ち上げて、その上貶した。
「ダイチ~何変な顔してんの」
プリントから目を背け、俺と視線が交わったセトに首を傾げられる。
普段なら、誰が変な顔じゃ!とツッこむ所だが…
「生まれつき変な顔ですよ、すいませんね」
さっきの心のやり取りがモヤとなり、強く出られない。
…これでチャラだからな!
お前らに絶対貸しなんて作らない!
「え、ほんとに変じゃん」
「怖。近寄らんとこ」
珍しく反抗しなかった俺に意外だったのか、2人は怪訝そうな顔をしながら勉強に戻った。




